戦国楚簡研究会は、中国の「諸子百家」の時代の新資料を解読し、中国古代思想研究を進展させようとする研究会です。
現在、主な研究対象としているのは、郭店楚墓竹簡(かくてんそぼちくかん、略称「郭店楚簡(かくてんそかん)」)および上海博物館蔵戦国楚竹書(しゃんはいはくぶつかんぞうせんごくそちくしょ、略称「上博楚簡(しゃんはくそかん)」です。これらの竹簡の出土地が戦国時代の楚の領域に属することから「楚簡(そかん)」と呼ばれています。
郭店楚簡は、1993年に湖北省(こほくしょう)荊門市(けいもんし)郭店村(かくてんそん)で発見され、1998年にその全容が『郭店楚墓竹簡』(文物出版社)として公開されました。また、上博楚簡は、1994年、上海博物館が香港で購入した戦国時代の楚簡で、現在『上海博物館蔵戦国楚竹書』(上海古籍出版社)として公開が進められています。
これらの新出土資料は、戦国時代の古文字で記されており、そこには、『周易』『詩経』『礼記』『老子』など伝世の主要な古典と密接な関係を持つ諸文献の他、儒家・道家・兵家系などの知られざる思想文献が大量に含まれていました。これらの解読が進めば、中国古代思想史研究にとっては無論のこと、東洋史学・古文字学・中国文学など周辺領域の研究にとっても、画期的な状況をもたらすこととなるでしょう。
この研究会は、『郭店楚墓竹簡』の刊行によって郭店楚簡の全容が公開されたのを受け、1998年(平成10年)秋、浅野裕一(東北大学、研究会代表)・湯浅邦弘(大阪大学、研究会事務局)・福田哲之(島根大学)・竹田健二(同)・菅本大二(梅花女子大学)の5名で組織されました。研究会合には、準会員として出土資料に関心を持つ若手研究者や院生が参加することもあります。
活動は、国内での定期的な研究会合を主としますが、平成12〜15年度には、科学研究費補助金の交付を受け(研究代表者:竹田健二、基盤研究B「戦国楚系文字資料の研究」)、研究会の活動は大きな展開を遂げました。2004年(平成16年)3月には、国際シンポジウム「戦国楚簡と中国思想史研究」を開催するなど、国際交流も活発に行っています。
さらに平成17〜20年度についても、科学研究費補助金の交付を受けることが決まりました(研究代表者:湯浅邦弘、基盤研究B「戦国楚簡の総合的研究」)。国際学術交流を含む、研究会の飛躍的な発展が期待されます。
郭店楚簡の閲覧については、湖北省荊門市博物館の御高配を賜りました。上博楚簡の閲覧については、上海博物館前館長の馬承源先生の御高配を賜りました。竹簡の諸情報については、濮茅左・陳佩芬を初めとする同博物館の諸氏より御教示をいただきました。また、出土資料関係の画像の一部について、台湾・東呉大学の郭梨華氏より御提供いただきました。ともに厚く御礼申し上げます。
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