Human Geography

教室概要

人文地理学とは

 人文地理学とは、人間と環境や地域との関係を考察する学問分野です。そこでの主なキーワードには、環境・地域・空間・景観・場所・ネットワーク・フローなどがあり、多彩な視点を持つのがこの分野の特長です。具体的にはこのウェブサイトの各項目をご参照下さい。

当教室での研究・教育

 人文地理学教室では、堤研二教授・佐藤廉也教授・井本恭子准教授が研究・教育の任に当たっています。このほか、関連科目も含め、非常勤講師による授業が開講されています。講義形式の授業のほか、論文講読演習(日本語・外国語)、調査法・統計処理・読図・作図などを扱う基礎演習、地誌学演習、卒業論文・修士論文・博士論文作成のための演習など、多岐にわたる授業が開講されています。これらの授業を通じて、フィールドワークと理論的思考の双方を重視した教育を行っています。図書館やインターネットで情報・データを収集したり、読図や作図をしたり、現地調査に出かけたり、統計処理をしたり・・・・・・。当教室では、色んな方法で人文地理学の研究を実践します。古文書を読んだり、海外をフィールドとしたりする学生・院生もいます。コンピュータ技術と外国語の修得は重要になります。また、理論的研究への視点も重視します。

施設・設備

 当教室は、文学部のある本館2階に人文地理学共同研究室・資料室(日本史学教室と共用)・教員研究室を有し、全学教育推進機構・総合棟3階には地図室併置の教員研究室を有します。共同研究室には、学生・院生用のパソコンがデスクトップ型・ノート型合わせて10台以上あり、表計算、文書作成、統計処理、画像処理、GISなどのソフトも完備しています。さらに、複合機、プリンタ、スキャナ、HDDなど、周辺機器も充実しています。また、当教室は地図学関係の研究の中心であったこともあり、資料室などには国内外の地図類が多数収蔵されています。

年間スケジュール

【春】

 前期授業開始(4月~)
 新入生・進学生歓迎コンパ(4月)

【夏】

 卒業論文・修士論文・博士論文向け地域調査など

【秋】

 後期授業開始(10月~)
 卒論・修論中間発表会(10月)
 地域調査実習(2・3年生対象。年度により実施。8~11月頃。毎回報告書を作成。)

【冬】

 博士論文提出(12月)
 卒業論文・修士論文提出(1月)
 卒論・修論発表会(2月)
 追い出しコンパ(2月)
 就職活動開始(3年生など。近年は早まる傾向)

メンバー

教員・スタッフ

堤 研二 教授     個人ページ大阪大学研究者総覧のページ

佐藤 廉也 教授    個人ページ大阪大学研究者総覧のページ

井本 恭子 准教授      大阪大学研究者総覧のページ

蒋 宏偉 助教

学振PD

土元 哲平 

大学院生

【博士後期課程】

 3年
  島田 広之宋 京原

【博士前期課程】

 2年
  王 立騰|松本 健佑
 1年
  滝川 陽稀|新城 裕太

学部生

【4年】

      木下 雄仁|舟守 神威|甫田 陽美|松木 三佳|植田 碧|大澤 悠|川瀬 健太郎|武元 由宣|樋口 泰蔵
      丸箸 里奈|水戸 萌来|山田 彩乃|山本 葵|横地 夏海

【3年】

      加藤 颯馬|佐伯 一真|茂木 雄希哉|谷口 菜穂|田村 郁人

【2年】

      尹 天華|筧 友輝|関原 美祐|高嶌 純平|西浦 憧|米田 幸祈佳

履修生

    佐々木 敏光|藤森 衣子

名誉教授・招へい教授

    小林 茂 名誉教授  個人ページ

教室の歴史

前身

 大阪大学では、すでに1950年代には地理学の専任教員が配置されていましたが、それは「講座外」の扱いでした。講座独立前の人文地理学分野は、 1975年の文学部における日本学専攻課程設置時点で比較文化学講座に位置づけられていました。そこでは、故矢守一彦教授(1991年3月退官、 1992年8月逝去)・高橋正助教授(1990年に教授昇任、1997年3月退官後、大阪大学名誉教授)の二人が人文地理学関係の研究・教育に携 わり、比較文化学講座は日本における城下町研究、古地図・絵図研究の中心となっていました。教養部には、地図学史を専門とする故海野(うんの)一 隆教授(1985年3月退官後、大阪大学名誉教授。2006年5月逝去)が在籍していました。その後、海野教授の後任の金坂清則教授(歴史地理 学、都市史、イザベラ・バード論)が1994年に教養部の改組にともない転任してきました(のち1996年3月に京都大学大学院人間・環境学研究 科へ転任、翌年度まで併任)。このことによって、実験講座として当教室が充実することとなりました。

創設と担当教員の一新

 1995 年、人文地理学分野は教室(講座)として独立します。そして、つづく1997年4月に戦国城下町の研究で知られる小林健太郎教授が滋賀大学教育学 部より転任してきました。しかし、小林健太郎教授は同年7月に急逝されました。このために数か月間指導教官が不在という深刻な事態となったのです。こうした状況の中で、小林茂教授(文化地理学、ネパール・琉球列島研究、古地図研究)が半年間にわたって九州大学大学院比較社会文化研究科と 当教室を併任し、1998年4月、正式に着任しました。さらに1999年4月には堤研二助教授(社会経済地理学、過疎地域・地域変動研究、2009年11月に教授昇任)が島根大学法文学部より着任します。このように、人文地理学分野では1990年代に入って担当教員の退官・着任など が相次いだことになります。

助手(助教)の変遷

 なおこの間、人文地理学関係の助手は佐々木高弘(文化地理学・民俗地理学、現京都学園大学)、荒山正彦(文化地理学・歴史地理学、現関西学院大学)、山田朋子(文化地理学・歴史地理学・都市論)、今里悟之(村落社会地理学、現九州大学)、鳴海邦匡(歴史地理学・絵図研究、現甲南大学)の各氏によって務められてきました。鳴海氏の退職以後しばらく助教(2007年度より助手から名称変更)が不在の状況でしたが、2010年4月に波江彰彦(都市地理学・廃棄物研究)が助教に着任しました(2013年3月末で退任)。波江氏は、助教退任後も引き続き助教代理(コース・アシスタント)として教室運営を支え、2016年4月に再び助教に着任しました。

現在、そしてこれから

 このような歴史を経験して、人文地理学教室は、講座として独立後担当教員が一新し、2000年4月からの大学院重点化の中、研究・教育活動において 着実な発展をみせてきました。現在、当教室は大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻に属します。2001年度からは、文法経本館(豊中キャンパス)に独立した共同研究室と教員室、さらに日本史学教室と共同の資料室を得ました(文法経本館の改修工事により、2009年3月に現在の場所に移 転)。年々学生数は増加し、随時設備の充実が図られてきました。このように、大阪大学文学研究科・文学部の中では歴史が浅いながらも、20年近く の蓄積を重ねてきた当教室ですが、2012年3月末をもって小林茂教授が定年退職することにより(2012年4月からは大阪大学名誉教授・文学研 究科招へい教授)、新たな局面を迎えています。

教室創設20周年

 2015年4月、人文地理学教室は1995年4月の講座化から20周年を迎えました。この記念すべき年度に、佐藤廉也教授(前九州大学)が新たに着任しました。学生数はコンスタン トに増加し、30名以上のメンバーが所属するまでに成長しています。近年は、鳥取県日南町や島根県隠岐の島町などで、教室の多くのメンバーが参加して大規模な地域調査を実施しています。また、2015年11月には、23年ぶりに大阪大学において人文地理学会大会が開催され、教室総出で大会運営にあたりました。今後も、教室全体としてしっかりと力をつけ、各方面で活躍・貢献できる教室を目指していきたいと考えています。