小林茂名誉教授ほか編『鎖国時代 海を渡った日本図』が刊行されました

小林茂名誉教授らが編集した書籍が大阪大学出版会より刊行されました。

書誌情報は以下のとおりです。

小林茂・永用俊彦・鳴海邦匡・臼井公宏・小野寺淳・立石尚之編(2019.7.13)『鎖国時代 海を渡った日本図』大阪大学出版会、協力 古河歴史博物館、P92、
ISBN: 978-4-87259-686-1 、定価1900円+税 。

カバー。表は長久保赤水の日本図、裏はそれをもとに作製されたクルーゼンシュテルンの地図。

本書は、 茨城県古河市の古河歴史博物館にて同タイトルで行われている展覧会の図録として刊行されたものです。

この展覧会は、2019年7月13日(土)から、9月1日(日)まで開かれています。詳細は下記のリンクをご覧ください。

古河歴史博物館リンク:展覧会『鎖国時代 海を渡った日本図』

◆◆小林茂名誉教授コメント◆◆

 大阪大学文学部では、1995年に人文地理学教室が発足する前から地図史・地理学史の分野で成果をあげ、多くの論文や書物を刊行してきました。日本や中国の地図の発展とその西洋の地図との関係に注目する研究にくわえて、日本の城下町や欧米の近世都市について並行して発展した各種景観図に注目する研究はその代表的なもので、学界をリードしてきました。近年では日本軍がアジア太平洋地域について作製した「外邦図」の研究が、関係の研究者の協力のもとに進められています。4月に刊行された繁体字版『外邦圖:帝國日本的亞細亞地圖』は、「外邦図」に対する関心が海外でも広がっていることを示しています。ただし江戸時代の地図への関心を忘れたわけではありません。

 今回刊行の『鎖国時代 海を渡った日本図』では、国際的な視野の中で日本の古地図を考えるという大阪大学のスタンスをひきつぎ、江戸時代の日本図の西洋における翻訳・複製に注目しています。18世紀初頭以降、西洋での日本図の翻訳・複製が進行しますが、とくに1779年に刊行が開始された長久保赤水(1717-1801)の「改正日本輿地路程全図」が、オランダ商館長、ティツィング(1745-1812)、ロシアの航海家、クルーゼンシュテルン(1770-1846)、ドイツの東洋学者、クラプロート(1783-1835)らの努力によってどのように翻訳・複製され、19世紀前半のヨーロッパに普及したかを示しています。長久保赤水の死後におもに進行したこのプロセスを知ることによって、「改正日本輿地路程全図」に対する従来の評価が大きく転換されることを期待しています。

 また本書は、古河歴史博物館(茨城県古河市)で開催中(2019年7月13日~9月1日)の同名の展覧会の図録を兼ねていますが、内外の諸機関所蔵の関係地図の画像を掲載しており、同展覧会が終了しても広く参照していただければと思っています。