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ご挨拶

文学研究科・文学部へようこそ

文学研究科長・文学部長 金水 敏

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大阪大学文学研究科・文学部は、1948年の創設以来、哲学、史学、文学という伝統的な人文学の学問分野から出発し、1973年には美学科、1986年には日本学科というユニークな学科の創設、また2007年の大阪外国語大学との統合の折には、現代的な課題にも対応する分野横断的な文化動態論専攻を設置するなど、着実に発展してきました。

人文学の多彩な領域に対応すべく、本研究科・本学部は文字通り古今東西の人間文化の教育・研究に取り組んでいます。古語、漢文、ラテン語、サンスクリット語など日本、東洋、西洋の古い時代の思想・文化に迫るための言語能力・探究能力の育成から、現代の医療現場や劇場運営への学究的参画に至るまで、カバーする領域は実に広大です。このように研究分野は多岐に分かれていますが、学生は幅広い教養と知識を身につけることにより、多角的、多面的な見方の習得が求められています。

最近、本研究科・本学部を含む、国立大学の文系部局を不要とする論調が官庁やマスコミ等で、しばしば見られるようになりましたが、今日の日本社会で、ほんとうに本研究科・本学部が推進している人文学は不要なのでしょうか。また、本研究科・本学部が送り出す人材は「役に立たない」のでしょうか。ここで、近年よく聞かれるようになった、「レジリエンス (resilience)」ということばを例にとって、この問題を考えたいと思います。

レジリエンスは本来、心理学のなかで使われるようになった概念で、災害や事故に遭った人間がそのショックをはねのけて、心身の健全な状態に立ち戻る力を表すものとして使われており、「復元力」「回復力」などと訳されることもあります。私見では、人文学の重要な機能として、「社会のレジリエンスを高める」という働きがあると考えています。単一の理念や、単純な経済的効率性ばかりを追い求める社会は、逆に古びやすく、不安定化しやすく、また災害や社会変動に対してもろい側面を有しています。文学部・文学研究科が推進している人文学の蓄積は、常に多用で深いものの見方を提供し、今日的な課題に対応するさまざまな代案を社会に提示する力を持っています。近年に特徴的と思われた現象も、古典を紐解けば、古くから論じられ、考察されてきた問題であると知られることもよくあります。またアートが社会復興に果たす役割についても既にいくつもの事例が報告されています。本研究科・本学部の卒・修了生の就職先における評価も、そのような力の大事さを裏付けていると思います。詳しくは、平成27年度に行われた一般企業を対象とする外部評価の報告書をご覧下さい(→外部評価報告書2015)。

自由と独立を重んじ、町人武士の区別なく学べた学問所の「懐徳堂」を精神的な源泉とする本研究科・本学部は、市民に開かれた部局として、公開講座、市民講座などを数多く開催するとともに、平成26年度からは「クラスター」という名称のもと、国際的かつ社会的な連携を基盤とした複数の共同研究を立ち上げ、地球規模の広がりの中で研究教育をいっそう活発に進めていきます。また、グローバル化あるいは国際化の流れの中、世界に開かれた教育・研究をめざし、いくつものプログラムや助成金を活用して、多くの若手研究者や学生を海外に派遣してきました。エラスムス・ムンドゥス・マスタープログラムやISAPプログラムを通じて、ヨーロッパの主要大学と教員・学生の交換を積極的に実施し、また「教育ゆめ基金」を活用して学部生の留学を支援しています。

ぜひ、多くの方に本学文学研究科・文学部にご参加いただき、人文学の醍醐味を学んでいただければと切に願います。