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セクシュアル・ハラスメントを考える:講演とパネル・ディスカッションの集い報告


文学研究科・文学部性差別問題委員会

大阪大学大学院文学研究科・文学部の主催で、2000年4月28日(金)午後 3時から5時まで、文41教室において、表記の企画が開催されました。文学部だけでなく他学部の教職員学生の方がたも来てくださり、主催者の予想を上回って、合計約100人の皆さんの参加が得られました。

当日は、肥塚隆文学研究科長の挨拶のあと、牟田和恵さん(甲南女子大)が「最 近のキャンパス・セクシュアル・ハラスメント事情」と題して、きわめて具体的な視点からセクシュアル・ハラスメントの現実を直視することの重要性を訴えられました。99年4月に施行された改正男女雇用機会均等法や、さらに人事院規則や文部省訓令などによって、大学にとっても、この問題が、もはや避けて通ることのできないものとなってきたこと、にもかかわらず大学人の認識は十分なものとはいえず、表層的な「セクハラ対策」で終わりかねないことに警鐘をならされました。

セクシュアル・ハラスメントは「どこにでもありうる」ことなのに、これまで表面化してこなかった理由として、牟田さんは、スピークアウトの困難をまず第一にあげられました。被害にあったことを明言できない環境、自分を責める傾向、報復への恐怖、性に関わる問題へのためらい、自分にとって重要な人間関係の中で起きることへの気遣い・・・こうしたことが複合的に作用して、名乗りをあげることは簡単ではありません。だからこそ、「被害者は悪くない」という理解を徹底させるような相談窓口・対応対策の充実が必要だと牟田さんは述べられました。第二の問題として、性に対する見方が男性中心的で、女性の性が夫や父といった他者のものと考えることに慣れきった常識が流布していることが指摘されました。女性の性に対する自己決定権を確立すること、このような認識のない「セクハラ対策」は、根本的な姿勢に問題があるということです。

最後に牟田さんは、セクシュアル・ハラスメントはきわめて日常的な次元で生じることであり、性に関わらずベストの教育を受ける権利、敬意をもって遇せられる権利、そして自己決定の権利こそ、尊重されるべき最重要なポイントであることを明快に指摘されて、結びとされました。

講演のあと、入江幸男さん(文学研究科相談員)の司会のもとで、3人からコメ ントがありました。沖田知子さん(言語文化部人権問題委員会委員)は、問題が発生して悩んでいる人物がいるにもかかわらず、自分の言動にその原因があるとは思いもしない当事者に、いかに自らの問題として考えてゆく道筋をつけるかの難しさを語られました。阿部真弓さん(文学研究科相談員)は、各大学のネットワークに参加した経験をもとに、被害者にとっての最初の相談員が多くの場合友人であることを指摘し、学生や院生の意識を高めるとともに、問題解決に参加できる仕組みを考えることを訴えました。杉原達さん(文学研究科相談員)は、セクシュアル・ハラスメントに対する一般的な態度として、これを敵視するだけでなく、揶揄したり皮肉って笑いをとるといった傾向が学生のなかに生まれていることを指摘し、新しい認識を形成するうえで克服すべきポイントのひとつと述べました。

コメントを受けて、牟田さんからそれらを深める形での発言があった後、会場と パネラーとの質疑応答がありました。その要点は、院生や学生が問題解決に具体的に関与していく方法の問題、情報公開の透明度を高める必要性、被害をうけスピークアウトした後も長く続く困難のケアの体制、等々、いずれも重要な論点の指摘であったと考えます。

今回の企画を担当した文学研究科・文学部性差別問題委員会としては、当日書い ていただいたアンケートも参考にしながら、今回の講演とパネル・ディスカッションをひとつのステップとして、今後、地道な日常的活動をさぐっていくつもりです。最後になりましたが、当日の集いの成功に協力してくださった多くの皆様にお礼を申し上げます。