伊井春樹 編『古代中世文学研究論集』(和泉書院 刊)
第1集〜第3集

本書に収録した論考は、中古を中心とした古代から、中世、さらには近世とのかかわりにいたるまでを対象とし、古典文学研究に共通する方法論を模索しながら、徹底した資料批判と深い読解を背景にした内容を収めており、学界への大きな問題提起であるとともに、研究の進展に寄与するものと思う。

(カバー記載の紹介文より)

 

第1集

A5版 369ページ 本体6000円+税 和泉書院 平成8年11月刊行

 

一条朝文壇の形成
 
─重陽宴の変容を通して─

滝川 幸司

 

『蜻蛉日記』上巻の最初の引歌表現
 
─いかにして網代の氷魚にこと問はむ─

堤  和博

 

長能と長保元年彰子入内屏風
 
─雲葉集八八五番・後拾遺集四七番をめぐって─

田島 智子

 

救済のゆくえ
 
─横川僧都の消息をめぐって─

渡會 敦幸

 

伝宗長作『紫塵残幽』について

岩坪  健

 

猪苗代兼寿『狭衣物語抄』に関する考察

川崎 佐知子

 

「卯の花月」の歌

佐藤 明浩

 

顕注密勘伝本考

海野 圭介

 

『楞伽山伝』考
 
─『明恵上人伝記』の一資料として─

山崎  淳

 

『弁内侍日記』の執筆時期に関する一考察

阿部 真弓

 

宮内庁書陵部蔵『名器秘抄』考
 
─楽器名物譚を記す楽書─

中原 香苗

 

浄土宗談義書における説話覚書(二)
 
─『当麻曼陀羅疏』の綴る『発心集』依拠説話をめぐって─

近本 謙介

 

「鉄枴仙」像の受容と定着

中本  大

2集

A5版 382ページ 本体6000円+税 和泉書院 平成11年3月刊行

 

菅原道真における〈祖業〉

滝川 幸司

 

「臥待月」意義考
 ―「臥待月」は十九日の月か―

堤  和博

 

『紫明抄』の成立過程
 ―『異本紫明抄』との関係―

岩坪  健

 

〈名を隠す恋〉の狭衣
 ―飛鳥井の君物語の表現―

倉田  実

 

謡曲『狭衣』についての考察

川崎 佐知子

 

歌語「ありそ」「あらいそ」考

佐藤 明浩

 

『顕注密勘』古筆資料の検討

海野 圭介

 

『明恵上人行状』中巻部の依拠資料について
 ―「漢文行状」春日明神託宣記事を中心に―

山崎  淳

 

『弁内侍日記』の伝本に関する報告

阿部 真弓

 

豊原統秋撰『舞曲之口伝』考

中原 香苗

 

天文・永禄年間の雅交 
 ―仁如集尭・策彦周良・紹巴そして聖護院道澄―

中本  大

3集

A5版 602ページ 本体9000円+税 和泉書院 平成13年1月刊行

 

公的文学としての和歌
 ―古今作者の官歴を通して―

滝川 幸司

 

古今集時代から後撰集時代への屏風歌の変化
 ―子日をめぐって―

田島 智子

 

歌語りの実際と伊勢の歌

加藤 雄一

 

『源氏物語』における空蝉の出家

チョーティカプラカーイアッタヤ

 

御陵の桐壺帝

藤井 由紀子

 

明石一族の皇位継承権獲得の表現
 ―『源氏物語』明石巻における催馬楽「伊勢海」引用を中心に―

岡田 ひろみ

 

源氏物語の中の手習巻という寄生体

加藤 昌嘉

 

源氏物語古写本における傍記異文の本行本文化について
 ―天理図書館蔵麦生本「若紫」の場合―

伊藤 鉄也

 

もう一つの源氏物語
 ―梗概書と連歌における源氏物語の世界―

岩坪  健

 

瓜を詠む込む歌
 ―付・『師輔集』の「大和瓜」の歌―

堤  和博

 

稲の名を詠んだ和歌

佐藤 明浩

 

富をめぐる話と『宇治拾遺物語』
 ―現実から現実の彼方の物語世界へ―

大村 誠一郎

 

『僻案抄』古筆資料の検討

海野 圭介

 

『中務内侍日記』論
 ―野上の行幸をめぐって―

阿部 真弓

 

『金文玉軸集』とその端に記された和歌
 ―『明恵上人行状』の一記事から―

山崎  淳

 

輻輳する伝承の相
 ―『直談因縁集』をめぐって―

近本 謙介

 

『體源鈔』の生成

中原 香苗

 

『大仏供養物語』考

箕浦 尚美

 

『後素説』について

中本  大

 

河村秀根『狭衣入紐』について
 ―自筆稿本跋文の解釈と作成事情を中心に―

川崎 佐知子

 

『伊勢物語』段別研究論文目録[平成一〜平成一〇]

本田 恵美

 

『伊勢物語秘注事』の解説と翻刻
 ―東海大学附属図書館桃園文庫蔵本―

松原 一義

 

豊子■訳に見る『源氏物語』の受容
 ―「和歌」と「もののあはれ」訳を中心に―

胡  秀敏