■今回の調査の目的と計画
昨年度の調査では、おおよそ以下のような成果を得ることができました。

勝福寺古墳がこれまで考えられていたような二基の円墳ではなく、一基の前方後円墳であること。
後円部の斜面にテラスが存在し、後円部は2段築成であること。
後円部のテラスには埴輪列が存在する。
前方部墳頂に、人為的な掘り込みが認められた。この掘り込みは、昭和に五獣形鏡が出土したという場所に近く、北棺と呼ばれた埋葬施設にかかわる掘り込みである可能性が高い。
後円部の西側は、地山に到るまで攪乱が及ぶ。

 以上のように昨年度は多大な成果を得ることができました。しかし、墳形の細部については不明な部分があり、北棺の構造がどのようなものであるか等、不明な点も多かったのです。また、墳丘測量図を見ますと前方部の西側と南側には後世の攪乱があり、大きく墳丘が損なわれている様子が分かります。古墳の保存と活用を考える上で、墳丘の破壊の程度を調べておく必要があります。本年度に課された調査の課題をまとめると以下のようになりましょう。

 a.前方部の墳端の解明
 b.クビレ部の位置、前方部の開き方の解明
 c.北棺の構造の解明
 d.前方部西側と南側における墳丘破壊の度合い

 以上のような課題を解決するため、4つの調査区を設定しました。

課題aの解決のために前方部南トレンチ、課題b解明のために東クビレ部トレンチと前方部西トレンチ、課題c解明のため前方部墳頂調査区、課題d解明のため前方部西トレンチ、前方部南トレンチをそれぞれ設定したのです。

勝福寺古墳発掘調査