2002年7月30日(火) 掘削・精査・分層


上:前方部墳頂調査区を南東から
前方部墳頂調査区の盗掘坑は、直径1.5mの円形部分とそこから東へ延びる方形部分からなる。円形部分は掘削が完了し、実測するため断面の分層を行った。

下:梅原氏の図面
(「近畿地方古墳墓の調査 一」より)
この盗掘坑は、その位置関係から1935年に梅原末治氏によって報告されている盗掘坑である可能性が高い(右図面矢印。×印は鏡出土地点)。

鏡を出土したとされる北棺の痕跡は前方部墳頂部のどこにも観察されなかった。盗掘坑によって完全に破壊された可能性が高い。

前方部西トレンチを西から
前方部西トレンチでは掘削の段階をほぼ完了した。引き続き断面の分層とトレンチ周辺の清掃を行い、写真撮影の準備が整いつつある。

東クビレ部トレンチを南東から
東クビレ部トレンチの西拡張区(写真左上)北側に幅30㎝の掘り込みを入れて観察したところ、盛り土の可能性がある灰色の土層を検出した。明日以降、拡張区全体での検出に努める。
また、以前から検出されている礫層の裾に平坦面があるかどうかを確認するため、東側にも拡張区を設けた(写真右下)。しかし根による撹乱がひどく、未だ礫層を検出できていない。

前方部南トレンチ拡張区を北東から
前方部南トレンチの拡張区では、断面の観察の結果、礫層が潜っていることが判明したので、明日以降表土を除去して礫層を検出する。

墳頂部南棺調査区を東から
墳頂部南棺調査区の西側では盛土を検出した。また、東側で墓壙と考えられる土の変わり目を検出したが、この土の変化は古墳盛土の違いである可能性もある。
まとめ

北棺は、盗掘坑によって完全に破壊された可能性が残念ながら高い。東クビレ部トレンチを除く他の調査区はほぼ掘削を終了し、写真・図面の作業に順次移っていく。