2011年度
考古学研究室秋旅行紀
@南九州




10月28日

大阪大学考古学研究室では毎年秋に研究室旅行を行っています。
今回の旅行の行き先は南九州。古くは縄文草創期・早期の文化が栄えた地であり、古墳時代には前方後円墳とともに地下式横穴墓などといたこの地域独自の墓制が見られる興味深い地域です。

集合場所は鹿児島中央駅。開通したばかりの九州新幹線の終着駅です。新幹線で来る者もいれば、遠路はるばる夜行バスで来る者もいます。

今日は鹿児島の北西部に位置する薩摩川内市の遺跡や資料館を見学する予定です。

11時に出立!早速、遺跡・・


ではなく、まずは腹ごしらえへ。
今日のお昼は黒豚とんかつです。

「黒豚とんかつ 壱番館」というお店で絶品とんかつをいただきます。



さて、腹ごしらえも終わり、いざ遺跡へ。

まずは横岡地下式板積石室墓に向かいます。古墳の見学をしていると・・・雨!?予報にはありませんでしたが、日ごろの行いが悪いせいか、小雨が降りはじめました。急いで公園の東屋に避難します。

しかし、幸いにも通り雨だったようです。

次は薩摩川内市教育委員会の方に案内していただいて、天辰寺前古墳に向かいます。薩摩川内市教育委員会のご好意で、貴重な調査成果を見学することが出来ました。

続いては、薩摩川内市の歴史資料館に向かいました。
鹿児島は考古資料だけでなく、文献や民俗資料も豊富で興味深いです。

資料館の横には薩摩国国分寺跡があり、合わせて見学することが出来ました。

今晩の宿は桜島です。フェリーに乗って桜島に渡ります。

宿でおいしい夕飯をいただいた後はお待ちかねの温泉です!
露天風呂からは錦江湾が一望でき、日ごろの疲れを癒すことが出来ました。

明日は大隈半島の古墳などを見学する予定です。




10月29日

朝起きてホテルを出ると・・

目の前にはお怒りの桜島… 
鹿児島の方々にとっては迷惑な火山灰ですが、関西ではめったに見れない景色に、朝からなんとなく得した気分になりつつ、バスに乗り込みます。

今日は大隈半島のある古墳を中心に見学する予定です。しかし天気予報は雨。何とかもってくれることを願うしかありません。

早速、鹿児島県埋蔵文化財センターの方の案内のもと、立小野堀遺跡に向かいます。立小野堀遺跡は現在発掘中の遺跡で、多くの地下式横穴墓が発見されています。鹿児島県埋蔵文化財センターの方のご好意で、一部の墓の内部まで見せていただき、貴重な経験となりました。

その後、肝属町の資料館に向かいました。ここには今から向かう予定の古墳群の資料もあり、参考になるものでした。

いよいよ次の目的地は最南端の前方後円墳をふくむ、塚崎古墳群。

大阪から約600km。なんとも遠くに来たものです。

今日はこの後も古墳尽くしの一日です。
学史的にも有名な唐仁古墳群、最近、華々しい成果を挙げた神領古墳群などをまわりました。

最後は横瀬古墳。やはり巨大。圧巻です。
地下式横穴墓を見学し、こういった大型前方後円墳を見学すると、古墳とはいったいなんなのか、考えさせられます。

しかし、ここにきて雨。
やはり誰かの日ごろの行いが悪いせいでしょうか。
雨にも負けず見学し、びしょぬれになってバスに乗り込みます。

本日の宿は霧島。宿に着く頃には雨が強くなってきていました。

宿では温泉につかりつつ、古墳時代談義で盛り上がりました。


10月30日

旅行もとうとう最終日です。

天気はあいにくの雨模様です。しかし、今日は資料館など室内での展示見学が中心なので、不幸中の幸いといったところでしょうか。気を取り直してまずは上野原遺跡に向かいます。

上野原遺跡は縄文時代、特に草創期から早期に栄えた遺跡で、博物館には縄文時代の遺物を中心に、多くの遺物が展示されています。

時間がなく今回は見学できませんでしたが、外には竪穴住居などを復元した公園がみえています。


次は鹿児島市内。いよいよ旅も終盤です。

まずはふるさと考古資料館に向かいます。ふるさと考古資料館では、館の方々に特別展示について解説をしていただきました。また、関西ではなかなか見ることの出来ない縄文時代早期以前の資料も多く、みな熱心に見学しています。

昼食をはさみ、次はいよいよ最後の見学地、鹿児島県歴史資料センター・黎明館です。

黎明館は鹿児島城の跡にたてられた博物館で、今でも内堀はその面影を残しています。

特に、西南戦争時の砲弾跡を見ることの出来る正門前の石垣は壮観です。

黎明館と解散場所である鹿児島中央駅は目と鼻の先です。

これから鹿児島に資料調査で残る者、大阪に戻る者、ほかの遺跡を見学しに行く者など様々ですが、ここで解散です。

3日間、実りのある旅行になりました。




今回の旅行を行うことが出来たのは鹿児島大学総合研究博物館・橋本達也先生、薩摩川内市教育委員会、薩摩川内市歴史資料館、鹿児島県埋蔵文化財センター、肝属町歴史資料館、上野原縄文の森公園、鹿児島市ふるさと考古資料館、鹿児島県歴史資料センター・黎明館のご協力によるものでした。末筆ながら感謝申し上げます。
(文責:学部3回生 K)



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