大阪大学考古学研究室

2018年秋の研究室旅行にいってきました!

2018年10月29日から31日にかけて、考古学研究室では石川県・福井県方面へ研修旅行を実施した。

最初に訪問した小松市埋蔵文化財センターでは、担当者の方にご説明いただきながら、埋蔵文化財にかかわる仕事がどのようなものか、その具体的な様子を見学した。あわせて開催中であった特別展示では、非常に残りのよい木製品資料などをみることができ、発掘調査からその成果の公開までの大きな流れを勉強することができた。1日目はその後、石川県立歴史博物館のM氏のご案内のもと、横穴墓群や九州系の要素をもつ横穴式石室をもつ椀貸山古墳の見学を行った。現地での詳細な解説で、当地の古墳文化について理解を深めることができた。

2日目はあいにくの曇天であったが、海を臨む立地の大型古墳である免鳥長山古墳、早くに国史跡の指定を受けた弥生~古墳時代にかけての築造となる王山古墳群などを見学し、昼食にはおいしいおソバをいただいた。午後に訪れた一乗谷朝倉遺跡では、戦国城下町の造成プランや人々の生活様相が復元されており、貴重な史跡としての価値を知ることができた。資料館では、展示とともにバックヤードも見学させていただいた。膨大な資料を最大限活かし、その価値を正しく伝えていくための様々な作業やそれに尽力する職員の方々のお姿に触れ、貴重な文化財を扱う難しさを感じるとともに、一層の興味をもつことができた。

最終日に訪れた年縞博物館では、水月湖に堆積した年縞が世界標準の年代のものさしとなった成果やそこに至るまでの調査・過程について見学した。水月湖の年縞は、約7万3千年前からという、普段私たちが考古学のなかで触れる時代をはるかに卓越した期間で、さらにそれを連続した資料として示している。連綿とつづく縞自体に迫力があり、さらにそのうちのたった数mmの一筋が、数万年前の気候変化や噴火などの出来事を写していることには素直に驚きと感動があった。

今回の旅行は、たくさんの遺跡・資料を見学するとともに、資料を適切に保存し、その価値を次世代に伝えていくための実作業に触れる貴重な機会もあり、多くの面で勉強になった。この経験を普段の勉強・研究、そして将来につなげていきたい。(文責:Iw)