−研究室旅行記・信州編−

 2000年10月31日から11月1日にかけて研究室旅行が催された。本年度の目的地は南信州。伊那谷から松本平にかけて点在する遺跡とその考古資料館を見学するする事が目的であった。

時間や天候の関係でバスの中からの見学となった遺跡も少なくなかったが、信州の雄大な風景を背景にする遺跡に、学生達は原始・古代の人々の暮らしに思いをはせていた。

また宿舎においては、恒例の宴会並びにミーティングが催され、教官から学部生まで一同和やかな雰囲気の中、歓談を楽しんだ。

なお今回の旅行に際し、多くの資料館・博物館で丁寧なご説明を頂くなど、多大なご厚意を賜わりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

尖石遺跡にて記念撮影




(左:当日配布されたガイドブックの表紙)
10月30日(月)
初日は7時15分(旅行委員は7時)に大学に集合でした。それからバスに乗ること五時間あまり、まず飯田市から長野県に入りました。

最初の見学地は飯田市考古資料館で、時代ごとの遺物を見せてもらった後、少し歩いて馬背塚古墳の石室を実際に入って見学しました。前方部石室が予想していたよりもずっと広く、驚きました。

次に飯田市上郷考古資料館で、「特別展・信濃で文字が使われ始めた頃—律令時代の文字事情—」を中心に見学しました。特展の墨書土器がおもしろくて、平常展示をじっくり見る時間がなくなったのが残念でした。

そしてこの日最後の見学地、高森町歴史民俗資料館では、武陵1号墳から出土した富本銭を見せてもらい、大変ていねいな説明を受けました。夜は、旅館のほうに北條さんのご両親から豪華な差し入れ(馬刺し、りんごなど)がありました。
 
10月31日(火)
2日目は縄文三昧でした。まず、伊那市考古資料館で顔面付釣手土器などの縄文土器を中心とした展示を見ました。ここの資料館はものすごく寒く、縄文土器の充実とともに長野に来ていることを実感しました。

次に行ったのは上伊那郷土館で、考古博物館ではなかったのですが神子柴遺跡出土の石器を見ることができました。午後は井戸尻考古館、尖石縄文考古館へ行きました。井戸尻考古館は縄文の土器や石器が大変充実していました。土器や土偶の造形について、宗教観・世界観に踏み込んだ独自の解説がされており、興味深く見学しました。

尖石縄文考古館は、「縄文のビーナス」土偶を目玉にした、まだとても新しい博物館でした。「縄文のビーナス」と有名な土偶のレプリカを中心としたコーナーでは、とても詳しい説明を受けました。縄文土器や和田峠産黒曜石の石器などもたくさん展示されており、また体験学習コーナーも充実しているようでした。尖石の石本体は博物館の建物から少し離れていたので、集合時間ぎりぎりに、走って見に行きました。

 11月1日(水)
この日は、あいにくの雨でしたが、平出遺跡・博物館と松本市博物館をまわりました。平出博物館では、メインの縄文の資料だけでなく新しい時代のものもあり、平安時代の緑釉水瓶はとてもきれいなものでした。また銅鐸関連の特別展示も見ることができました。

次に行った松本市博物館では、休館日でしかも1時間到着が遅れたにもかかわらず大変親切にしていただきました。ここでは弘法山古墳関連の資料を見ることができました。弘法山古墳には実際に上って見学する予定だったのですが、どしゃぶりの雨で残念ながら車中からの見学となりました。

JR松本駅解散だったのでバスを降りる人は降り、バスは大阪へと向かいました。途中渋滞に巻き込まれそうになったりもしましたが、ほぼ予定通りに大阪に到着しました。長野は寒かったのでバスを降りると、生暖かく感じました。 

大きなトラブルもなく、無事に旅行を終えることができたのは本当に良かったと思います。
 


井戸尻遺跡

見学風景(平出遺跡)

馬背塚古墳

尖石考古資料館

井戸尻遺跡より山々を望む