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篠窯跡群大谷3号窯の研究

 京都府亀岡市篠町に所在する篠窯跡群大谷3号窯の調査成果を中心とする研究報告書『篠窯跡群大谷3号窯の研究』が刊行・増刷されました。大阪大学文学研究科考古学研究報告第5冊めとなります。

 大谷3号窯の調査は、2003年8月に踏査を実施した時からはじまります。2004年春の測量調査、2004年から2006年にかけての3度にわたる夏期発掘調査によって、発掘された9世紀末頃の2基の窖窯では緑釉陶器と須恵器が併焼されており、篠窯最古段階の緑釉陶器窯であることが判明しました。

発掘調査のようすはこちらから
2004年度 夏期発掘調査フィールドワーク 
2005年度 夏期発掘調査フィールドワーク 
2006年度 夏期発掘調査フィールドワーク

 正報告書では2万点に及ぶ出土資料すべてに対し、分類・計測などをおこなったうえで、生産器種や窯詰めの復元、窯場内での窯の操業動態、失敗品の廃棄過程などについて詳細な分析を実施しています。大谷3号窯の調査では、これまで想定されていなかった東海系の製作工人が参画した可能性が想定できる製品の出土もあり、産地間を越えた工人移動にかかわる新知見も提示することができました。
 これまでの篠窯出土品を網羅する器種分類図を作成し、大谷3号窯に限ることなく、篠窯跡群全体における製品の変遷や各窯の実年代観なども示した内容となっています。また、緑釉陶器の胎土や釉調を識別する色票(カラーチャート)も付図として添付しており、色を客観的に分析できるような取り組みにも挑戦しました。

 なお、本報告書の販売は有限会社真陽社が取り扱っております。
ご希望の方はお手数ですが、下記をご参照ください。
(有)真陽社 ホームページ: http://www.shinyosha.co.jp
    Tel.: 075-351-6034 Fax.: 075-351-6146
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発見された2基の窯跡
大阪大学考古学研究室篠窯調査団(2006年)
出土遺物の整理作業風景
大谷3号窯から出土した遺物
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