美術史学専修
美術史学専修では、絵画、彫刻、工芸はもとより、写真や映像、建築や庭園など、あらゆる「イメージ」を研究対象としています。作品の様式や意味についての研究、制作の背景や受容の歴史を考える研究など、その手法はさまざまです。ただし、特定の思想や先入観にひきずられることなく、あくまで作品の的確な観察に基づいた実証的研究をめざしています。美術史学専修は、日本・東洋美術史と西洋美術史のふたつの専門分野に分かれています。教授、准教授あわせて5名の専任スタッフに加え、総合学術博物館の教授1名が芸術史講座のスタッフを兼任し、6名(2010.04現在欠員1)が幅広い授業を開講しています。日本の大学では、最も充実した体制をもつ美術史研究室のひとつです。隣接の美学・文芸学、音楽学・演劇学専修、あるいは歴史や文学など他分野との連携や、海外の研究者との交流も積極的に行っています。近年はコンピューターによる画像データベースの作成、画像処理などにも力を入れています。
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教員紹介
教授 奥平俊六
おくだいら しゅんろく 日本美術史 日本の絵画史。とくに風俗画、狩野派、琳派など。最近は東洋古典主題やアールブリュットも。 |
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- メッセージ
- 大学に入るまで、美術史という学問があることを知らなかった。そこを選んだのは、届けを出しに行った教務課の前で、先に出した友達が、なんやらおもしろそうなので美術史にした、というので、自分もその場でなんやら書いたのである。計画性がなく、たいがい成り行きで生きてきた。あれこれ計画してもうまくいったためしがないので、ほとんどのことを直感にしたがって決めている。ただ、ときどきだが、ものすごく夢中になることがあって、それだけでやっと保っているような気がしている。美術と向き合うとき、私は、実感からしか出発しない。すべては見に行くところから始まり、そして、その作品と十分に親しくなれるまで見続ける。それで、何をいうのか、というと、何もいわないし、書かないことも多い。たまに書くことがあっても、よくよく読み直してみると実は作品の周りをうろうろしているだけであったりする。でも、それでもかまわないのではないか、もっとうろうろしたいと思ったりしている。
- 趣味
- 犬に連れて行ってもらう散歩。川と空と野鳥の観察。
教授 圀府寺司
こうでら つかさ 西洋近現代美術史 西洋の近現代美術、建築、視覚文化の研究。現在の研究テーマは「近代美術とユダヤ」で、ここ数年はイディッシュ語(東欧ユダヤ人の使っていた言語)文化圏の芸術活動について研究。 |
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- メッセージ
- 書斎、絵画、旅の切符、この三つの中から二つしか選べないとすれば、美術史家はためらいなく絵と切符を手にとるだろう。美術史は「眼」と「旅」の学問だからである。フィールドが遠くにある西洋美術史の場合「旅」の比重は特に大きい。「西洋」の名を冠しているが、阪大の西洋美術史の伝統は「西洋」を越えたフィールドの広さにある。これまでにもアフリカ、トルコ、南米などの研究者が輩出してきたし、欧米圏でも英米独仏伊のほか、チェコ、デンマーク、オランダ、スペインなど学生の留学先は多彩。イスラム圏、中米などもぜひ研究してほしい領域だ。楽しく厳しい旅立ちの準備をする場と言っていいだろうか。旅に出る若者の後ろ姿を見送るのは、何とも清々しく心地よい。
- 趣味
- 野球、ラグビー、他多数
教授 橋爪節也
はしづめ せつや 日本美術史/近世近代絵画史 木村蒹葭堂など近世大坂の文人画研究、並びに近代の “大大阪”の時代の都市と美術のかかわり方を探っている。 |
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- メッセージ
- 美術館の現場でつねに新しい美術作品に接してきた立場から言えば、研究対象として取りあげるべき作家や作品、ジャンルはまだまだ残されているし、それに切り込む新しい視点の発見もまだまだあり得るはずです。そのとき重要になるものの一つが作品を読み解くシャープな〈眼〉です。過去の研究や社会との関係を尊重しつつも、新しい時代の風に吹かれながら直接、作品に接して“美術”に携わることで自立したシャープな〈眼〉を養うことができればと思います。同時にそれをどのように文章などで表現し、人に伝えるかも重要な課題となります。
- 趣味
- 紙もの道楽(同人誌の発行と古書・各種資料の蒐集)
教授 藤岡穣
ふじおか ゆたか 東洋美術史 東アジアにおける仏教美術の歴史。彫刻作品が主な対象。体系よりも個別の事象にこだわりたい。 |
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- メッセージ
- 美術史といいながら専門は仏像。インド、東南アジアのヒンドゥー教の神像にも関心はあるが、いずれにしても信仰の所産である。美術というより文化財、文化遺産の歴史というべきか。とまれ、形あるものから文化の歴史を探り、そして作り手の創造力に思いを馳せるのが仕事だと思っている。モノは時に文字よりも雄弁に歴史を物語る。これが美術史の魅力であり、醍醐味でもある。この分野の研究には、単に机や書物に向かうだけでなく、フィールドをめぐる活力、文化財を取り扱う、写真を撮るといったスキルが必要である。また、寺社やコレクター、美術館や博物館の学芸員の方々とより良い人間関係を築くことも必須である。言うなれば総合力が試される。美術本は高価だし、作品を見に行くのにお金もかかる。コミュニケーションのためには酒代もやむなし。だが、国宝に直に手を触れ、名品をナマで見た時の心のざわめき、幸福感は何物にも代え難い。それは感性が磨かれる瞬間でもある。そんな体験をしたい方、是非、美術史研究室の扉を叩いてみてください。
- 趣味
- 人との対話。おいしく食べること。テレビでのスポーツ観戦。
准教授 岡田裕成
おかだ ひろしげ 西洋美術史 キリスト教美術を中心とする、16-17世紀スペインと植民地時代ラテンアメリカの美術史 |
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- メッセージ
- ヒッチハイクしながらスペイン・アンダルシアの教会美術を見て回った学生時代から、どちらかというと埃っぽいところで、人があまり興味を持たない作品を探索するのが好きであったような気がします。30代の半ばからは、思い立って南米アンデス山中の植民地時代キリスト教聖堂の調査に熱中しました。険阻な山道を延々と走って聖堂をめぐり、大量の写真を撮影し、記録をとり、さらに関連する史資料を丹念に掘り起こす、という作業です。美術史というと、高尚な「名作」のみを論じる学問と思われがちですが、今は、対象の領域も、扱う地域も大きく広がりつつあります。イメージに込められた多様なメッセージを読み解く知的な関心、その表現の質を見定めるすぐれた感覚、そして、作品が生みだされ受容された場に乗り込んでゆく行動力と、多様な力を求められる美術史の研究ですが、それだけにやりがいのあるものだと思います。どうでしょう、あなたもチャレンジしてみては?
- 趣味
- 下手なクラシックギターで地味な曲をポロンポロンと。
准教授 桑木野幸司
くわきの こうじ 西洋美術・建築・庭園史 初期近代西欧の建築・庭園・都市空間における知識の表象および伝達の問題について |
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- メッセージ
- 芸術作品は一般に、作り手や依頼主のメッセージを伝えるために制作されるものですが、その意味は、作品がおかれる場所や環境によって大きく変化します。アートの制作や鑑賞という行為を、一種の情報伝達のプロセスと見なし、それが行われる「空間」に光を当てることで、新しい美術の見方ができるのではと考えています。この観点から興味深いのが、庭園や広場や街路といった屋外のスペースです。いずれもそれ自体が建築家の手による一つの芸術品とみなせるばかりでなく、絵画や彫刻といった各種のアートを展示し、人々にメッセージを伝える特権的な場としても機能してきた歴史があります。芸術をとりまくこのような情報伝達のダイナミックなプロセスを、「空間史」という大きな枠組みのなかで有機的にとらえ、人と美術と建築が創造的に交錯する瞬間を切り取ってみたいと思っています。
- 小さい頃の夢
- 外国で暮らすこと
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