比較文学専修
比較文学は、主に西洋と日本の近代文学の相互関係を研究する学問です。ただ個々の作品の影響関係を貸借表や成分表示のように並べるだけではありません。そうした受容や変容をもたらした文学のグローバリゼーションという大前提や、それに対する抵抗についても検討する必要があります。たとえば、オリエンタリズムやジャポニスムといった西洋の東洋に対する関心は、日本でどのように交錯したのか、その結果、「日本」や「西洋」という枠組み自体が、どのように作られ、変化していったのか。そんな相互干渉を扱うことこそが比較文学の本領といえます。このほか、ある主題に従って世界の文学を横断するテーマ研究、絵画と文学といったジャンル間交渉、帝国と(脱)植民地主義をめぐる問題なども比較文学の対象となります。いずれにせよ、一方ともう一方とを比較する以上、その両方について綿密な調査と実証が欠かせません。そして両者の比較を可能にするだけの確かな外国語運用能力と綿密な方法論も求められることになります。(*論文審査などには、言語文化研究科の中直一教授、北村卓教授に兼任をしていただいております。)
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教員紹介
教授 清水康次
しみず やすつぐ 日本近代文学/書誌出版文化研究 芥川龍之介・志賀直哉・夏目漱石などの近代の文学研究と、近代の書誌や出版などの文化研究。 |
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- メッセージ
- 研究を始めた頃、『芥川龍之介全集』と向かい合って、作品を少しずつ書き写しては自分のコメントを加えて、ひとつずつ読んでいった。一方、その作品を掲載した雑誌や当時の本に惹かれ、古びた雑誌や本を買い集めてきた。冷たく静かな全集のテクストと、時代の照り返しを帯びたノイズの多いテクストと。今も、その両方に惹かれつつ、複数の視点で、文学というものを考えていこうとしている。別の言い方をすれば、文学作品というものは、それだけで完結した世界を作っているものであり、その内部に深く入り込んで、その構造や主題を読み取っていかなければならない。しかし、一方で、文学作品は、一つの時代の、一つの地域の産物であり、それを成立させている文化のシステムの上に成り立ったものである。文学作品を、完結したテクストと見る視点と、文化という動態の中に生ずる現象と見る視点との両方が必要であり、複眼を持った研究をしていきたいと思っている。
- 趣味
- 京都・滋賀などの寺院や史跡・文化遺産などの探訪。
准教授 橋本順光
はしもと よりみつ 比較文学/英国地域研究 日英における黄禍論・ジャポニスム・旅行記の研究 |
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- メッセージ
- イルカの前ヒレとパンダの手は、形は違いますが、同じ哺乳類の前足です。一方、イルカの前ヒレとマグロの前ヒレの形は似ていますが、器官が違います。生物の授業で習ったかもしれませんが、前者を相同、後者を相似と呼びます。両者は十九世紀英国の比較解剖学者リチャード・オーウェンによって区別されました。比較文学は、いわば文学の相同と相似を研究する学問です。ある作品の受容と変貌を、言語や時代を越境して跡づけるのが「相同」だとすれば、「相似」は、起源が異なる文学の共通点と、相違点を生み出した文脈を明らかにすることになります。いずれにせよ、形の類似点だけで比較はできず、解剖にも似た綿密なテクスト分析が必要となります。オーウェンは進化論に否定的だったのですが、文学の場合も進歩史観や本場主義が通用しません。では、そんな横断と精読が相乗効果をもたらす比較文学のためには具体的にどうすればよいのか、みなさんと一緒に探ってゆきたいと思います。
- 趣味
- 散歩と雑談(出張先での動物園巡りなど、折々の脱線や寄り道が好きです)
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