人文地理学専修

人文地理学専修では人間-環境関係、人間-空間関係を、様々な角度から分析しています。当専修では、これらの大きなテーマに関して、研究の枠組みと方法を学びます。講義を通じて図式・モデルや手法・方法を理解し、演習・実習で論文講読、フィールドワーク、コンピュータを使ったデータ解析、図表の作成、さらにはプレゼンテーションを体験し、それを基礎に多様で複雑な現象の理解にチャレンジします。人文地理学を学ぶことによって、皆さんの地域観・世界観は大きく変わるでしょう。発展途上国の資源利用を研究するために海外へフィールド調査に出かけたり、現代都市住民の複雑な行動を解析するためにコンピュータを駆使するなど、人文地理学者の行動の外見は多彩ですが、いずれの場合でも環境や空間という視角を重視しています。阪大人文地理学の伝統である地図研究や近年の都市・農村コミュニティの研究もそうした視角からの成果を蓄積してきています。

教員紹介

教授 小林茂

こばやし しげる
文化地理学/文化生態学/環境史
アジア太平洋地域の近代地図、ネパール・ヒマラヤおよび東アジアの伝染病の流行秩序
メッセージ
放送大学で『人文地理学(’08)』というテレビ講義を担当している。高校まで教えられている地理のイメージがつきまとい、人文地理学というと既視感がつよいが、先端的な研究を多く紹介するこの講義の受講後は、それがゆらぎ、視野が広がったという感想を持つ人が少なくない(学生による授業評価、2009年12月)。思えば学生の頃から、まわりがもつこの既視感に悩まされ、結局は他の学問分野では発想できないような、オリジナルな研究をおこなう以外にないと考えてきた。ただし、いくらすぐれた研究でも、世に知られなければ、学者の独善となってしまう。一昨年に還暦をこえ、慣れないこととはいえ、そろそろこれまでの研究をわかりやすく示す努力も始めるべきかと思い始めている。
趣味
博物館の見学ならびに展示の企画立案および実行

教授 堤研二

つつみ けんじ
社会経済地理学
人口減少地域の変動・生活機能維持の研究や、地域コミュニティ・地域変動の理論的研究。
メッセージ
人文地理学の長所は対象が幅広く、学際的であることです。私は二十代前半で過疎山村研究を始めましたが、二十代のうちに、焼畑後の自生山茶の利用や炭鉱閉山による人口流出の研究もしました。こうした振幅は、「研究対象が変節してきた」と評されもしましたが、自分の中では「地域空間の縁辺化」というテーマでの統合が為されていきました。その過程では、社会学・文化人類学・社会医学などの異分野の研究者との共同研究から重大な影響を受けました。今や、過疎山村と同様の人口減少・高齢化は大都市圏内においても見られるに至っており、より普遍性を持った研究対象となりました。私の研究は、究極的には人間生活と環境・地域との関係をどのように考えるのかという問題にいきつくでしょう。今後も人文地理学だけでなく、近隣分野の研究も吸収しながら実証的地域分析と理論構築の双方向から、課題に取り組んでいきます。その為には、もっと知識や経験を身につけ現実に敏感でないといけないと思います。
趣味
森林・寺社散策、関節技の研究。

准教授 井本恭子

いもと やすこ
地域研究/文化人類学
サルデーニャ島をフィールドに、人間の個体性と共同性を捉える構造主義の可能性を模索しています。
メッセージ
ヒトは北極圏から砂漠、そして熱帯雨林に至るまで、さまざまな地理的条件や気候条件のもとで暮しています。住居形式、親族組織、習俗、信仰など、そこに住む人びとにとっての「あたりまえ」で「自然」なものが、それぞれ異なることは容易に想像できるでしょう。また、わたし/わたしたちにとって馴染みのないものは、「奇異なもの」に見えてしまうということもあるでしょう。では、このような多様なあらわれかたは何によるのか、このわたしの見えかたは何によって形成されたのか。わたしのヒトをめぐる問いかけの旅のはじまりです。こうして、自然と文化にわたる最大限の視野で、その多様性を説明する理論を求め、構造主義にたどりつくのですが、一番の導き手となったのはサルデーニャ島の集落の人びとの個別的で具体的な生活空間や日常的な実践でした。人びとの関係性のみに立脚したフィールドに身を置くことは、自らの感覚と思考を鍛えることになるのです。
趣味
ぶらぶらと歩くこと。

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