日本文学・国語学専修

日本文学では、古代中世の和歌や源氏物語などの物語文学、説話、随筆、御伽草子、近世では西鶴・秋成らの浮世草子や読本などの小説、狂歌・俳諧などの韻文、近代をも視野に入れた日本漢文学、近代では明治期の鷗外や漱石、樋口一葉から現代文学にいたるまで、ほとんどの時代とジャンルを研究の対象としています。また美術史や歴史学の成果、古写本や版本を扱う書誌学、海外との研究交流なども重視しています。国語学では、音韻・文字・語彙・文法などの各分野について、日本の言語を歴史的に研究します。さまざまな言語現象を論理的・体系的に明らかにして行くのですが、社会的・文化的、また心理的な面を考慮することも必要です。古典など文学作品の言語から現代の言語まで、国語に関することは全て対象となりますが、歴史的変遷を考える研究や、文献に基づく研究に重点がおかれます。

教員紹介

教授 出原隆俊

いずはら たかとし
日本近代文学
明治期以降の小説研究。一葉・漱石・鷗外などの作家。<内部>と<外部>、<狂気>などのテーマ。
メッセージ
「此手紙が君の手に届いたときには、僕はもう此世にはゐないだらう。」これを読むとたいていの人は漱石の「心」を想起するだろう。しかし、「心」は「此手紙があなたの手に落ちる頃には、私はもう此世には居ないでせう。」である。漱石は鷗外の翻訳小説「不可説」を秘かに利用したのである。研究され尽くしている感もある「心」だが、まだ、思いがけないことが発見できるのである。「先生」の遺書を書くために、漱石はどのように模索したのだろうか。ここから様々な問題も想起されよう。これは一例に過ぎないが、文学テクストに正面から立ち向かうとき、時として自分という人間を問いたくなることもある。久しい以前から、小説を丸ごと読むことを提唱している。それは分析のための分析のような、人間に無関心なやせ細った文学研究が少なくないからである。<心>は大事だ。
趣味
酒を飲みながら見ているドラマや映画を批評する。

教授 金水敏

きんすい さとし
国語学(日本語文法、文法史)
日本語の文法の歴史的研究、日本語のステレオタイプ(役割語)についての研究
メッセージ
マンガやアニメで、「わしは知っておるんじゃ」といった話し方をする老人キャラクターを見たことがありませんか。なぜ老人は、「わし」「知っておる」「じゃ」といったせりふで表現されるのでしょう。その起源は、250年以上も前の、江戸の町に遡ります。当時、標準的で品のいい言葉づかいとされていた上方語(「わし」「おる」「じゃ」等を用いる)と、新興の言葉で若者や下層階級の人びとが使い始めた江戸語(「おれ」「いる」「だ」等を用いる)が併用されており、江戸語はやがて明治時代の東京語から標準語(共通語)へと受け継がれていきました。一方、上方語は、保守的な老人のことばとして、大衆的な演劇・小説等の表現に継承されていったのです。日本語は、実は驚くほどの多様性をはらんでおり、それらの多様性は歴史的に形成されています。歴史的資料を掘り下げていくことで、今まで気づかなかった日本語の魅力(そして限界)も見えてくることでしょう。私たちといっしょに、言葉のタイムマシンに乗って、知の冒険へと旅立ちませんか?
趣味
キノコ探し(キャンパスにもいろいろなキノコが生えています)

教授 飯倉洋一

いいくら よういち
日本近世文学
上田秋成、奇談、京坂文壇などを中心とする日本近世(江戸時代)文芸
メッセージ
江戸時代の文芸においては、ありとあらゆることが題材とされ、ありとあらゆる表現の試みがなされていると言っても過言ではありません。それは現代人の及びもつかない深い思想、超絶技巧の言語トリック、あっと驚く趣向、波乱万丈の物語、世の中を生き抜く指針・・・に満ち満ちているのです。現代人の及びもつかない知恵と勇気と笑いと教訓と言葉の力を、私たちは江戸時代の文芸から学ぶことができるのです。原本を手にとって研究すれば、学ぶ意義はさらに増すでしょう。江戸時代の本を自分のものにすることは千円以内でも可能ですし、図書館にいけばいくらでも見ることができます。手のついていない宝物がすぐそこにあるのが江戸時代文芸研究の魅力です。未開の沃野であるこの世界にあなたも飛び込んでみませんか?
趣味
雑文(書く)・和本(見る)・料理(よく失敗する)

教授 岡島昭浩

おかじま あきひろ
国語学(国語史、日本語学史・意識史、漢字受容史、辞書史)
日本における漢字・漢語の歴史、およびその研究史・意識史
メッセージ
人が使っていることばについて、自分のことばと違うと感じた時、どのように考えますか。どちらが正しいのだろう、などとは考えないで下さい。 自分のことばを人から「おかしい、まちがってる」などと指摘された時、どのように考えますか。「間違ってたから覚え直そう」だとか、「間違っているのはそっちだ」と考えるだけに留めないで下さい。人のことばと自分のことばは、どこがどう違うのか。地域差を反映しているのか、年代差なのか、教養の差なのか、読んできた本が違うのか、見聞きしてきたものが違うのか。地域差や年代差があるのなら、それはどのようになっているのか、どのようにしてそのようになったのか。ことばについての問題を考えるのは、自分のことばと人のことばとの違いに気付くところから出発できますが、文献上のことばも含めて、人のことばに敏感になって、そこで感じたことについて、調べてみましょう。くわしい調べ方は研究室で。
趣味
古書市めぐり・言語遊戯・鼻歌・つぶやき

教授 加藤洋介

かとう ようすけ
日本平安文学
源氏物語・伊勢物語・古今和歌集といった平安文学の写本やその本文に関する研究。
メッセージ
源氏物語という作品を読んだり、鎌倉時代や室町時代の源氏物語注釈書のおもしろさに気づいたところから、研究の世界に入ることになりました。まずは自分がおもしろいと思えるもの、楽しいと感じられる対象を見つけることから始まります。手当たり次第に、やみくもに、いろいろなものに接してみるということも大事でしょう。そして、なぜそうなのか、どうしてこうなるのか、と絶えず問い続ける探求心と、その解決に向けての努力を継続させる強靱さとが、人が生きていく力の源であると思います。なんとなくそうだと思いこんでしまっている通説や常識を、時には根底から疑ってみるという柔軟な批判的精神も必要でしょう。自分を磨く場として、知的刺激に満ちた大学生活を満喫してほしいと願っています。
趣味
スピード狂で、最後はKAWASAKIのGPZ900Rに乗っていました。

講師 合山林太郎

ごうやま りんたろう
日本漢文学(近世、近代)
江戸から明治期にかけての日本漢詩文及び漢詩人の研究。俳句や小説などの明治文学の研究。
メッセージ
日本文学というと、どうしても文学史に登場するような、よく知られた作家や作品に目が行きがちですが、とくに江戸時代以降の文芸には、光の当てられていない領域がまだまだたくさんあります。研究されていないのは、多くの場合、我々の知識や感性から遠いところにあるからなのですが、実はこうした人や作品にこそ、物事を新しい角度から見るためのヒントが隠されているように思うのです。たとえば、私が研究している明治時代の漢詩を見ていると、言語芸術が驚くほど過去の伝統の蓄積に依存し得るものであることを実感できますが、それを知ることで、今日の文芸についての常識を相対化する視点を得ることができます。面白いと思ったら、人跡稀な小径であっても、どんどん進んでゆく勇気を持って欲しい。きっとその道は今まで見たことのない風景へと皆さんを導いてくれるでしょう。
趣味
和本収集。和紙に墨で摺られた江戸時代の本を手に取ると心が落ち着きます。

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