哲学・思想文化学専修

講義室でのゼミの様子哲学は諸学の基礎の基礎に位置する学問です。たとえば、何かが「存在する」とはどういうことか。「意味する」とはどういうことか。意見が違うのに、違うということだけは一緒に確認できてしまうのはなぜか。根拠付けができたためしがないのに、なぜ現実は崩壊せず歴史は終わらないのか。そして、こんなことを問うているのは、心なのか脳なのか何なのか。哲学はこうした問題に取り組んできました。あまりに基礎的なので、現在でもこれに代わる分野は他にありません。

私たちの専修では、西洋の近世から現代までの哲学思想の研究と教授を行っています。教員紹介からわかるように、スタッフは全員古典と現代哲学思想の両方に通じ、専門領域をあわせるとドイツ系、フランス系、英米系のすべてをカバーしています。私たちは「なぜ」という疑問をとことん考えるための手ほどきと時間を提供し、助けます。

教員紹介

教授 上野修

うえの おさむ
西洋近世哲学/現代フランス哲学
西洋近世哲学の研究。「主体」「言語」「真理」をめぐる哲学的研究。
メッセージ
ヨーロッパ近世は知的にも社会的にも大変動を経験しました。十七世紀は「理性の世紀」と呼ばれていますが、理性といっても生易しいものではありません。神とは、人間、世界、法、国家とは何か、根本的な見直しを迫られたのです。私は当時の、デカルト、ホッブズ、スピノザ、ライプニッツといった知的冒険者たちのラジカルな問いを、今日への問い直しとしてよみがえらせようと試みています。これと並行してですが、自分のことを間違いなく「私」と指すことのできる存在、「主体」について研究しています。ただの生き物ではだめで、なぜか人間だけがそういう存在なのです。いったいそれは何なのか、また、なぜそんなものができあがるのか。こんな問題への明確な答えを、現代の言語哲学や真理論、精神分析理論を動員して探しています。まあしかし、哲学は生もの。まずは体験してみないとわかりません。
趣味
古式歩行。

教授 入江幸男

いりえ ゆきお
ドイツ観念論/言語哲学
ドイツ観念論〔特にフィヒテ〕と現代分析哲学の研究
メッセージ
哲学は、通常よりもより深くより広くより明晰に考えることです。そのための訓練は、哲学の古典を読解し分析することによって、また激しく静かな議論を繰り返すことによって、そして何よりも考えながら文章を書くことによって行われます。学生は、演習で古典を読み、ゼミで議論し、レポートや卒論で文章を書くことを通じて、おのずと哲学的に考える訓練をすることができます。この訓練は、仕事に生かせるでしょうし、人生で困難に出会ったときにも生かせると思います。私は問と答えの論理的関係、言語的関係の研究を通じて、新しい論理学や意味論を構築することを目指しています。これを元に存在論や認識論を構築し、社会問題や社会的ルールの研究を手がかりにした社会哲学、人文学の方法論の研究などに展開することを長期的に目指しています。
趣味
ドイツの昼メロドラマ“Hanna”に嵌っています

教授 須藤 訓任

すとう のりひで
西洋近代 / 現代哲学
西洋近代・現代哲学。とくにニーチェおよびその衣鉢を継ぐ現代哲学の研究。
メッセージ
「哲学」という日本語は(英語で言えば)philosophyの翻訳です。Philosophyは古代ギリシア語に由来しますが、その意味は「知恵への愛」ということです。ここには「哲学」の「学」にあたる語がありません。なぜでしょうか。哲学は2千5百年前の誕生以来いまにいたるまで、万国共通の確固とした学問体系として確立されていません。立場や流派によって、考え方がまるっきり違う哲学が多数併存しています。それほど、「なぜものはあるのか」、「生きることの意味とは何か」、「<わたし>とは何か」といった哲学の基本問いは、一義的な普遍的解答を拒む、奥の深い問題なのです。その意味で、哲学とは、既成の問題に対する答えを与えるというよりは、問いそのものを発見してゆく営みだと思います。自分なりの問題を発見することによって、自分の人生の光景が一変することもあるのです。それは困難にして、ワクワクするような作業です。皆さんとこの作業を共にできたなら、と願っています。
趣味
ごろ寝

教授 望月太郎

もちづき たろう
フランスを中心とした近代哲学史 / 現代思想文化
フランス哲学、戦後日本の市民運動とその思想、オルタグローバリゼーションの研究と実践、Philosophical Practice
メッセージ
社会運動に関心のある若い学生諸君に期待しています。大学を出て、社会で批判的に活動するために必要な知識を身に付け、能力を磨くことを重視します。私は、「阪大・9条の会」の発起人代表として、改憲に反対する運動を進めています。
主要業績
鶴見俊輔は「すれちがい〜哲学入門以前」と題された小論のなかで、「思想と哲学との小さなちがい、それが問題だ」と述べている。 鶴見は、思想とは「 人がそれぞれの仕方で自分が生きてゆくことについてもっている、その納得の仕方」であると定義して、次のように言う。「今、自分は、生きてゆくということについて、どのようにこれを受けいれているのか。なぜ、これをしりぞけないか。それは、思想にとって第一の問題で、誰の思想も、それをはなれるわけにはゆかない」(鶴見俊輔集4)。今の世の中には抵抗しなければならない現実がある。その現実を避けることなく、たたかうことをとおして、私は、私自身の思想を培いながら生きていきたい。私にとって哲学することは、それからのことであるような気がする。
趣味
自転車で自宅とキャンパスの間を往復しています。

准教授 舟場保之

ふなば やすゆき
哲学哲学史
18世紀ドイツの哲学者カントおよび現代ドイツの哲学、とくにハーバーマスらの研究
メッセージ
現在、啓蒙主義や原理原則主義の評判はあまり芳しくありませんが、しかしこれらがいまだかつて徹底されたことのない言説空間においては、その有効性はなお疑う余地がありません。カントは200年以上も前の哲学者であり、もちろん「時代の子」であって、カントおたくでもないかぎり、その哲学を全面的に受け入れることはナンセンスです。しかしカントが普遍主義的に思考したことは間違いなく、その哲学のスタイルから学ぶべき事柄が少なくないこともまた事実です。たとえば、現代の哲学を代表するひとりであるハーバーマスは、コミュニケーション論を展開する際にこのカントのスタイルを批判的に継承しています。こうした先例を模倣しつつ改ざんしつつ、普遍主義的かつ批判的に思考してゆきたいと考えています。
趣味
旅行(したいなぁと思うだけです)

准教授 中村征樹

なかむら まさき
科学技術社会論/科学技術コミュニケーション/科学技術史/大学論
科学技術にかかわる社会的・倫理的問題や、科学技術と市民とのかかわり方について
メッセージ
現代社会について考えるにあたって、科学技術をめぐる問題を無視することはできません。たとえば先端医療や生命科学における研究の進展は、「生きること」や「人であること」の理解にも大きく影響を与えるようになっています。また、社会的に論議を呼ぶ問題では、科学者や技術者といった専門家だけではなく、市民を含めたさまざまな関係者が、それぞれの立場・観点から、一緒になって問題を考えていくことが必要になってきています。科学技術と社会の界面で発生している諸問題や、科学技術への市民参加、科学技術をめぐる公共討論のあり方など、科学技術をめぐるさまざまな課題について、あるいはより広く、現代社会における「知」をめぐる問題について、多様なバックグランドを持ち、さまざまな考えをもつみなさんと、一緒に考えていきたいと思っています。
趣味
面白い/居心地のいいカフェやバーの探索。

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