美学・文芸学(芸術学講座)

美および芸術活動に関する一切の事象と思索を研究テーマにすることができる。時代は古典ギリシャから現代まで。地域は洋の東西を問わない。

教育スタッフの専門分野は、古典ギリシャ、ヨーロッパ中世、ルネサンス・イタリア、近代のドイツ・フランス・イギリス美学であり、ジャンルは文学・絵画・建築・デザイン・演劇・映画さらに環境美学といった芸術諸学であるが、ここで勉強し研究をすすめている院生諸君のテーマは、絵巻の時間論から舞踊、また近代ロシヤの文学思想に近世中国の美術教育制度と、じつに多彩である。けれど雑多ではない。

思索のことばと作品が大切にあつかわれていること、研究の方法が緻密に鍛えあげられていること、研究者の創意が尊重されていることを、どれにも共通 する特色として挙げておきたい。

教員紹介

教授 上倉庸敬

かみくら つねゆき
1949年生。
専攻:美学/芸術学/映画学
研究紹介
フランスの中世哲学史家エチエンヌ・ジルソンが「芸術に捧げた」三冊の本を理解することが、わたくしの勉強の出発点だった。ジルソンは中世哲学の研究で画期の業績を残した博学のひとで、芸術ことに文学と美術を愛し、娘のひとりは画家になった。絵画についての書物は、「わたしがなにを愛しているか教えてくれた」そのお嬢さんに献げられている。愛はわたくしの大きなテーマになった。ジルソンを見ならいたかったが、色彩と形態に鈍感なので、どちらかといえば人間の言葉と肉体に興味をもち、文学と劇について専門家の、せめて教えを乞えればと努めてきた。芸術作品の時間構造を考えたとき、ジルソンの扱わなかった映画を勉強する必要を感じた。もちろんヨーロッパ・キリスト教の伝統と思想はたえず関心のうちである。こうした枠のなかでわたくしはジタバタしてきた。
メッセージ
羽目を外す大胆さと、自分に十分な自信をもてぬ謙虚さとを併せもつひとを歓迎する
主要業績
「ジルソンの芸術哲学ー創造的技芸についてー」(『美学』 1977 年);「詩におけるイメージと概念」(『美学』 1979 年);「観客の現在」(『美学』 1983 年);「物語・語り口・時間―森田芳光の方法をめぐって―」(『映像学』 1989 年) 他
概説・一般書
『美の変貌―西洋美学史への展望』(共著、当津武彦編、1988 年、世界思想社刊);『芸術の楽しみ』(共著、原田平作・神林恒道編、1996 年、晃洋書房刊);『生と死の文化史 懐徳堂ライブラリー 4』(共著、懐徳堂記念会編、2001 年、和泉書院刊) 他

教授 藤田治彦

ふじた はるひこ
1951年生。大阪市立大学大学院生活科学研究科博士課程修了。学術博士 (大阪市立大学 1983年)。京都工芸繊維大学工芸学部准教授、ルーヴェン・カトリック大学客員教授、大阪大学大学院文学研究科准教授などを経て、現職。
専攻:環境美学/芸術学
研究紹介
造形芸術全般を研究対象とし、とくに英米と日本の美術、工芸、デザインを中心に、芸術空間と生活空間をひとつの視野に入れた風景画論、景観論、建築論、庭園の研究など、環境の美と芸術に関わる比較研究を行っている。
メッセージ
環境美学あるいは環境芸術学。もし、あなたが環境の美を専門とするなら、どちらの名を選ぶでしょう。インスタレーション的作品を連想させる環境芸術学より、自然環境をも対象とする環境美学のほうが包括的で、普遍性の高い選択かもしれません。しかし、もはや地球が実質的にひとつの人工物と化し、私たち自身が環境に責任を持たねばならない現在、つくるにせよ守るにせよ、環境の美を扱う学は環境芸術学なのだという認識は重要でしょう。名称はともあれ、私たちが環境の美をも対象としつつあること自体、大きく変貌しつつある美学・芸術学の今日の姿なのです。地球環境をここまで人工化させた人間の「デザイン」が、元来は「超越者の創意」であったことの意味がいま問われているのです。
主要業績
“American Design in the Nineteenth Century : Architectural Expression, 1838-1880.” (学位論文 1983);『風景画の光』講談社 (1989);『ウィリアム・モリス:近代デザインの原点』鹿島出版会 (1996);『現代デザイン論』昭和堂 (1999); “Notomi Kaijiro: An Industrial Art Pioneer and the First Design Educator of Modern Japan.” Design Issues, No.17 (2001);『国際デザイン史』思文閣出版(共編著2001);“The Ways of Arts or Ethics in Aesthetics”, International Yearbook of Aesthetics, No.7 (2003);『ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ』梧桐書院(共編著2004);『アーツ・アンド・クラフツと日本』思文閣出版(共編著2004);『天体の図像学』八坂書房(2006);『近代工芸運動とデザイン史』思文閣出版(共編著、2008);"Letters on Images," International Yearbook of Aesthetics, No. 12 (2008)
概説・一般書
『マンハッタンの建築』講談社 (1991);『美術とデザインの歴史』NHKきんきメディアプラン (1992);『ナショナル・トラストの国:イギリスの自然と文化』淡交社 (1994);『ウィリアム・モリスへの旅』淡交社 (1996);『ターナー:近代絵画に先駆けたイギリス風景画の巨匠の世界』六耀社 (2001);『ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ』東京美術 (2009)

教授 内田次信

うちだ つぐのぶ
1952年生。京都大学大学院文学研究科西洋古典文学専攻博士課程修了。2006年より現職。
専攻:西洋古典文学/文芸学
研究紹介
西洋古典(古代ギリシャ・ローマ)文学、とくにホメロス等の叙事詩、ピンダロス等の叙情詩、エウリピデスやアリストパネスらのドラマ、ルキアノス等の散文文学、また中世や近代以降の西洋文学に対する古典の影響や需要、そして文学という芸術の本質について研究している。
メッセージ
西洋文学は、人間中心主義的である。それが現代文明の危機をもたらしている一因だとよく批判される。しかし人間は、草木野獣の成す自然に全く同一化することはできないことはたしかであり、それと共通するまた相違する点について考えながら、人間がいちばんという思い上がりは避けつつ、「他者」との関係において人間の特質を知ろうとする自己省察の営みをこれからも続けなければならない。「なんじ自身を知れ」という諺とか、哲学者ヘラクレイトスの説く「自分自身の探求」は、古代ギリシャ人の人間の本質への持続的な強い関心を示すよい例である。西洋古典にはそういう自己探求のモデルのいくつかが見いだされる。
主要業績
「オデュッセウスとその妻」(『西洋古典論集』1994年)、「Die Gestalt des Dichters in Pindars Erster Olympischer Ode」(Antike und Abendland,1986年)、「呼びかけるドラマ—アリストパネスとギリシア劇」(学位論文、2003年)
概説・一般書
『ルキアノス選集』(国文社、1999年)[訳]

准教授 加藤浩

かとう ひろし
1960年生。1983年、大阪大学文学部美学科卒業。1987年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程(芸術学専攻)単位取得退学。文学修士 (大阪大学、1985 年)。1987.10 岡山大学助手、1992.4 岡山大学講師、1995.4 岡山大学助教授、1998.10 大阪大学助教授。
専攻:古典詩学/文芸学
研究紹介
古典詩学の成立とその展開を、古代ギリシャから17世紀のフランス古典主義に至るまで追尋している。そして、古典詩学の限界を乗り越える学としての文芸学の可能性に思いを巡らせている。また現在は、古典詩学の中で最大規模を誇るユリウス・カエサル・スカリゲルの『詩学七巻』(1561年)の全訳・註解に取り組んでいる。
主要業績
“Mythos and Poiesis-A Possibility of Plato's Poetics,” Aesthetics, 6, 1994;「ユリウス・カエサル・スカリゲル『詩学七巻』の基本構想」、『文芸学研究』2,2000.
概説・一般書
「叙事詩から小説へ」『芸術学フォーラム』第7巻 1997.

准教授 三宅祥雄

みやけ よしお
1951年生。岡山大学法文学部哲学科卒業、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。文学修士(大阪大学、1977)。大阪外国語大学外国語学部講師、同准教授を経て、2007年10月より大阪大学大学院文学研究科准教授。
専攻:現代フランス哲学/映像論
研究紹介
学生時代から飽きもせずサルトル、バルト、ドゥルーズのテクストを読み続けています。この三人に共通するのはいずれも映像 (image) に関して重要かつ基盤的な仕事を残していること。修論に選んだサルトルの想像力論をたずさえ勇んで旅に出たものの、バルトの写真論でみごとに哲学の正道を踏みはずし、あちこちさまよったあげくドゥルーズの『シネマ』という巨大な森の入口にたどり着いたのがほぼ10年前のことでした。以後うす暗い木漏れ日の下で古参の固有名たち(バザン、ミトリ、メッツ)と戯れながら、研究も大学の授業も映画理論・映画美学に偏りがちです。分析哲学や精神分析など人並みの好奇心が疼かないわけではないのですが、S-B-Dによる三点測量の習慣は変えようのない体質としてわが身に固着してしまったかのごとくです。
メッセージ
年間500本をこなすと豪語したかつてのシネフィルやシネマディクトの存在は、このご時勢ではもはや望むべくもない(というより社会的に許容されない)お荷物なのでしょうか。それでも冗談半分に映画検定を受験したり、ジョン・カーペンターのお宝ヴィデオをこっそり収集している絶滅寸前の映画オタクが今なお生息しているとすれば、これを手篤く保護し種の存続をうながすベく尽力することにやぶさかではありません。映画を学問として極めるなどと大仰に構える前に、映画という密室の快楽をとりあえずの社会的実践や職業訓練に向けて開いていく工夫を学生諸君とともに重ねていきたいと思います。
主要業績
「〈心的なもの〉の疎外構造――初期サルトルにおける心理学批判の射程」『カルテシアーナ』第2号(1979);「『意味の論理学』注解(一)」etudes francaises no. 30(1997);「『意味の論理学』注解(二-a)」etudes francaises no. 31(1998);「表層の映像――ロラン・バルトは暗い部屋をいかに改装したか」EX ORIENTE vol. 12(2005)
概説・一般書
『現代思想のトポロジー』(共著、法律文化社、1991);『哲学基本事典』(共著、富士書店、1992);ロベルト・ザッペーリ『妊娠した男』(共訳、青山社、1995);『ラルース哲学事典』(共訳、弘文堂、1998)

このページのトップへ

大学院専門分野・コース紹介一覧に戻る

受験生の方へ
ご挨拶
沿革
文学部特色
大学院特色
学部専修紹介
大学院専門分野・コース紹介
学部アドミッション・ポリシー
大学院アドミッション・ポリシー
博士号・修士号
在学生の声
卒業生・修了生の進路*
修了生のメッセージ
学部説明会
学部入試情報
大学院入試情報
アクセス案内
在学生の方へ
学部専修紹介
大学院専門分野・コース紹介
広域共同研究
シラバス・時間割*
時間割*
大阪大学ポータル**
学習支援
奨学金情報*
就職・進路
留学
留学生支援
博士号・修士号
修了生のメッセージ
セクシュアル・ハラスメント相談*
院内限定サービス
教職員の方へ
トピックス
COE*
研究推進室*
教育支援室*
国際連携室*
大阪大学ポータル**
院内限定サービス
Prospective international students
History
Undergraduate programmes
Graduate programmes
Interdisciplinary studies
Archaeological heritage on campus
Academic support
Financial matters
Graduate school application procedure
General information**