英米文学(西洋文学・語学講座)

本専門分野では、イギリス、アメリカを中心とした文学作品のテクストを綿密かつ正確に読むことを基本方針としています。研究対象とする作家、テーマ、時代、ジャンルは問いません。したがって、院生は、自分の文学的関心にもとづいて自由に研究テーマを選ぶことができます。

文学テクストを厳密に読む力を鍛えることと並んで、研究方法論の検討も欠かせません。近年、批評理論の著しい進展、キャノンの見直しが見られる状況にあって、院生たちは自分の文学的関心の理論的位置づけ、自分に合った研究方法の探求が求められています。 英米文学専門分野では、この要求に応えられるように講義・セミナー等に配慮がなされています。院生の全員が参加して行われる「談話会」は、教員・学生の隔壁を越えた自由な意見交換を目指しており、学会発表の実地訓練を行なっています。

教員紹介

教授 森岡裕一

もりおか ゆういち
1950年生。1979年、大阪大学大学院修士課程修了。文学修士(大阪大学、1979年)文学博士(大阪大学、2006年)。大阪大学助手、講師、奈良女子大学助教授、大阪大学文学部助教授を経て、2000年4月現職。
専攻:アメリカ文学
研究紹介
このところ19世紀禁酒小説・家庭小説の研究に取り組んでいる。とくに、このジャンルを代表するT.Sアーサー、L.サージェント等の作品分析をたとえばH.B.ストウなどとリンクさせながら行っている。あわせてフォークナー、へミングウエイを軸にモダニズムの見直しという観点から20世紀初頭のアメリカ文学を読んでいる。
メッセージ
テクストのしっかりとした読みができることがまず第一。それから強い問題意識と論理的思考能力。さらにはできるだけ多くの関連知識を得ようとする意気込みと実践能力が大事だろう。チャレンジするに足る広大な地平を抱くアメリカ文学の世界に一人でも多くの学生に参入してもらいたい。
主要業績
『「依存」する英米文学』英宝社(共編著、2008);『飲酒/禁酒の物語学―アメリカ文学とアルコール』大阪大学出版会、2005年;T.S.アーサー『酒場での十夜』(翻訳)松柏社、2006年;『スモールタウン・アメリカ』英宝社(共著、2003)「暗い笑いのモダニズム」『アメリカ文学とニューオーリンズ』鷹書房弓プレス(共著、2001);「『風と共に去りぬ』におけるアイリッシュ・ドラマ」『文学と女性』英宝社(共著、2000);『酔いどれアメリカ文学』英宝社(共著、1999);『シャーウッド・アンダソンの文学』ミネルヴァ書房(共編著、1999);『イメージとしての都市』南雲堂(共著、1996)
概説・一般書
『改訂増補版新世紀アメリカ文学史』英宝社(共編著、2007)『新世紀アメリカ文学史』英宝社(共編著、2004)『新版アメリカ文学史』ミネルヴァ書房(共著,2000);『楽しく読めるアメリカ文学』ミネルヴァ書房(共著、1994);『「ビジネス・ウイーク」を 読む』生産性出版(共編著、1994)

教授 服部典之

はっとり のりゆき
1958年生。1981年、大阪大学文学部(英文学専攻)卒業。1983年、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。同博士課程中途退学。文学博士(大阪大学、2003年)。和歌山大学教育学部助手、大阪大学言語文化部講師、同助教授を経て、2000年10月文学研究科助教授、2008年4月現職。
専攻:英文学
研究紹介
イギリス現代小説の最新のものを読み紹介し解釈しています。またイギリス小説=フィクションが生まれた18世紀の文学作品を読むことでフィクションの起源を探る研究をしています。ポストモダン、ポストコロニアルと言われる現代に書かれた小説を読むと、近代の先駆けになった18世紀と深い関連性が感じられ、両方の時代をあわせて考えることで、人間の営為の中でも重要な物語形成のレトリックが明らかになると考えているのです。
メッセージ
小説をあまり読まないという人でも映画やドラマを全く見ない人はいないでしょう。これらのメディアを包括するのが、「物語」や「フィクション」という概念です。人類が生まれた時に「物語」が同時に始まりました。なぜ私たちは物語を語り読むのか、なぜフィクションを作り聞くのか。これを理論的に考えるのは人間を考えることであり、とても大切な学問です。学生の皆さんと共に読み語りながら研究を進めていきたいと思っています。
主要業績
W.C.ブース『フィクションの修辞学』(共訳)水声社、1991;ケオルゲ・フォルスター『世界周航記』(上)(下)(翻訳)岩波書店、2006-7;『病いと身体の英米文学――阪大英文学会叢書1』英宝社(共著、2004);『詐術としてのフィクション――デフォーとスモレット』英宝社、2008
概説・一般書
『イギリスを旅する35章』明石書店(共著、2000)

准教授 片渕悦久

かたふち のぶひさ
1965年生。1995年、大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学修士(大阪大学、1991年)。博士(文学)(大阪大学、2007年)。北陸大学講師、同志社女子大学講師、助教授を経て、2003年4月現職。
専攻:ユダヤ系アメリカ文学、アダプテーション研究
研究紹介
アメリカ文学の中でもとくにユダヤ系小説を研究しています。とくにソール・ベローを中心に、20世紀はじめの移民作家エイブラハム・カーハンから現代作家のマイケル・シェイボンまでを、「物語意識」をキーワードとして系譜的観点から考察をつづけています。その他、「物語」そのものへの関心から、文学研究を超えたメディア横断的な物語生成のダイナミックスを探究し、新たな物語研究のありかたを模索しながら、アダプテーション(翻案)研究の可能性へと研究の視野を広げつつあります。
メッセージ
私がこれまでユダヤ系アメリカ文学を専門に研究してきたのは、そのストーリーテリングの豊かさに魅了されたからです。主要な作品から、出版したての最新小説までを精読しながら、多彩で濃密で赤裸々な語りを繰り出してくるユダヤ文学の伝統がアメリカ大陸で驚異的な進化をとげるその過程を、いっしょにたどってみませんか。また、教室外ではアダプテーション研究の名のもと、〈物語〉生成とメディア文化の濃密な関係について研究を深めています。これについても授業内容に還元していくつもりです。
主要業績
『病いと身体の英米文学―阪大英文学会叢書1』英宝社(共著、2004);『越境・周縁・ディアスポラ』南雲堂フェニックス(共著、2005);『ソール・ベローの物語意識』晃洋書房(単著、2007);『「依存」する英米文学―阪大英文学会叢書5』英宝社(共著、2008);『ユダヤ系文学の歴史と現在』大阪教育図書(共著、2009)
概説・一般書
『アメリカン・スタディーズ入門』萌書房(共編著、2003);『改訂増補版新世紀アメリカ文学史』英宝社(共編著、2007);ラーラ・ヴァプニャール『うちにユダヤ人がいます』朝日出版社(翻訳、2008)

准教授 石割隆喜

いしわり たかよし
1970年生まれ。大阪外国語大学外国語学部(英語学科)卒、大阪大学大学院文学研究科博士課程(英文学専攻)修了。博士(文学)(大阪大学、1999)。大阪外国語大学助手、同講師、同助教授、同准教授を経て、2007年10月より大阪大学大学院文学研究科准教授。
専攻:アメリカ文学
研究紹介
トマス・ピンチョンら「ポストモダン」の作家の作品ははたして「小説」と呼べるのか。「小説」は歴史のある時点で興り、今もしかしたらその役目を終えつつあるのかもしれないという、「小説」形式の歴史性とでも呼ぶべき問題に関心を抱いている。20世紀後半以降のポストモダン文学の分析を通して、広く「近代」という歴史的条件の中で「小説」がどのような役割を果たしてきたのか、「小説」という形式を必要としたのはどのような「人間」だったのか、といったことを探ってゆきたいと考えている。
メッセージ
そのままではまず使いこなせない機械の箱、ハードウェアであるコンピュータと、われわれユーザーとの間を仲立ちしてくれるのがOS(オペレーティング・システム)というソフトウェアであるように、文化とはわれわれ人間と環境(ハード)とのあいだを取り持ってくれる「ソフト」だといえるのではないでしょうか。その「ソフト」の一つ(たった一つ!)が「小説」―このような風通しのよい視点をもちながら「小説」についてもう少し深く考えてみませんか。
主要業績
「シュールリアリスティックな資本主義―Gravity's Rainbowあるいは Pynchon の『ポスト・ノヴェル』」『英文学研究』第85巻 (2008);「死者の〈怨〉の二つの型―フロイトの「文学」、Vineland の"Cahmmunism"」『関西英文学研究』第1号 (2007);「Is Pynchon Too Much with the World—?“Is It O.K. to Be a Luddite?” と『ビン・ラディン』」『大阪外国語大学英米研究』第31号(2007);「ヘーゲル主義者、Stencil—V. の他者」『英文学研究』第81巻(2005);「ポストモダンを目撃するということ-『小説の死』再考」鴨川卓博・伊藤貞基編『身体、ジェンダー、エスニシティ――21世紀転換期アメリカにおける主体』(英宝社、2003):Postmodern Metamorphosis: Capitalism and the Subject in Contemporary American Fiction.(英宝社、2001)
概説・一般書
「ポストモダンを目撃するということ―『小説の死』再考」鴨川卓博・伊藤貞基編『身体、ジェンダー、エスニシティ―21世紀転換期アメリカにおける主体』(英宝社、2003)

外国人教師 Paul Harvey

ポール・ハーヴィ
1961年生。1980年9月、Oriel College, Oxford University入学。1986年6月 Oriel College, Oxford University卒業退学(MA, MPhil 取得)。1986年10月、京都大学教養部招聘研究員(1年間)。1988年4月、大阪大学言語文化部講師。1990年4月、カナダ商工会 議所専務理事(1年間)。1991年4月、大阪大学言語文化部講師。1999年10月、大阪大学文学部・大阪大学大学院文学研究科外国人教師 に着任し現在に至る。
専攻:シェイクスピア/イギリスルネッサンス/英文学
研究紹介
I am working on Shakespeare in performance, looking at the way that different inflections change the meaning of particular speeches. What is beautiful verse-speaking on the Shakespearean stage? By comparing different spoken versions of famous speeches, and by studying the text very closely it is possible to learn a great deal. The way that the verse is spoken is of vital importance in performance, since it can alter the whole way that the audience will relate to a play.
メッセージ
The English Renaissance period was the beginning of the modern period, and all of modern English Literature has its roots in this period. This is just as true for American Literature as for British Literature. Past authors were steeped in the literature of the sixteenth and seventeenth centuries, particularly Shakespeare, Spenser, Sidney and Milton. For students who love English Literature, they should read at least one play by Shakespeare while they are still at university.
主要業績
Paul Harvey, Eco-Friendly Japan, (Tokyo: Eihosha, 2008); Stean Anthony, One Hundred Poems [百人一首の訳],(Kyoto: Yamaguchi, 2008); Stean Anthony, ed. Selections from Shakespeare 1-4, 4 vols. (Kyoto: Yamaguchi, 2009); Stean Anthony, Saint Paul 200, (Kyoto: Yamaguchi, 2009); Stean Anthony, Songs 365, (Kyoto: Yamaguchi, 2010).
概説・一般書
Saint Paul 200, by Stean Anthony (Yamaguchi Shoten, 2009);Songs 365, by Stean Anthony (Yamaguchi Shoten, 2009);Manyōshū 365, trans. by Stean Anthony (Yamaguchi Shoten, forthcoming).

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