現代思想文化学(哲学講座)

本専門分野は、平成10年度より従来の専門分野「哲学哲学史」から分かれて設立された新しい分野です。

欧米の近現代の哲学研究を基盤としながら、対応が焦眉の課題となっている社会的・文化的諸問題に哲学的視点から積極的にアプローチすることを目指しています

具体的には、デカルトから現代にいたるフランス哲学、ドイツ観念論、生の哲学、実存哲学、存在論、解釈学および現象学など幅広い領域を研究対象としており、そうした研究を基礎に、生命、環境、科学、技術さらには宗教などの抱える現代的諸問題の哲学的考究にも努めています。

研究室の活動は、哲学哲学史専門分野と密接な連携のもとに行われており、研究室員の交流、研究会そして読書会なども盛んになされています。

教員紹介

教授 須藤 訓任

すとう のりひで
1955年生。1983年京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。文学修士(京都大学)。大谷大学准教授、同教授を経て、2004年10月より現職。
専攻:西洋近現代哲学
研究紹介
主たる研究領域はニーチェの哲学およびその衣鉢を継ぐ現代思想家たち。ちょうど1900年に没したフリードリヒ・ニーチェはさまざまな意味で二十世紀哲学の出発点となった。実存哲学・現象学・解釈学・構造主義・ポスト構造主義といった思潮は多かれ少なかれその影響下にある。ニーチェが突きつけたのは、近代世界において生に意味は可能かという問題であったが、この問題意識の追求の中で浮かび上がってくるのは「言葉」の重要性である。哲学が語る言葉とはいったい何なのか。それにはどのような特質があり、またいかなる機能を果たすのか。こうした問題を、生と思想とが交錯する地点に焦点を定めながら考察することに、関心を寄せている。
メッセージ
ニーチェの「神の死」の宣言は、西洋の理性主義がその発展の涯てにみずからの基盤を掘り崩すにいたる必然性を予見する。われわれのまえにはいま無限の可能性が花開いているように見えるが、他方で人々は深い徒労感・閉塞感に取り憑かれているようにも感じられる。「自由」がその可能領域をどんどん現実化していく一方で、どうしようもない自己の不全感に逆にあえぎ苦しむ。—このことは、文化的伝統として超越神への信仰を共有することなしに科学的合理主義の成果の上澄みだけを享受しようとしてきた現代日本にこそ顕著な情況なのかもしれない。この情況に風穴を穿つ思想とはどのようなものなのであろうか。今に生きる人間として、若い方々と共に考えてゆくことができるなら、と願っています。
主要業績
著書:『ニーチェ 〈永劫回帰〉という迷宮』(講談社選書メチエ、1999年)。論文:「対立の転轍—ユートピアン=ローティ」(『思想』910号、2000年)、「認識者の系譜学—「時代」という名の自己」(『思想』919号、2000年)。翻訳:ローティ『リベラル・ユートピアという希望』(共訳、岩波書店、2002年)、『フロイト全集』第17巻(共訳、岩波書店、2006年)
概説・一般書
『知の教科書 ヘーゲル』(共著、講談社選書メチエ、2004年)、『自分ってなんだろう』(共著、校成出版社、2007年)。

教授 望月太郎

もちづき たろう
1962年生。1985年、国際基督教大学教養学部人文科学科卒業(教養学士)。1988年、大阪大学大学院文学研究科博士前期課程(修士課程)哲学哲学史専攻修了(文学修士)。1991年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程哲学哲学史専攻中退。文学博士(大阪大学、1997年)。1991年4月、徳島大学教養部講師。1993年4月、徳島大学総合科学部講師。1994年4月、東海大学文明研究所講師。1997年4月、東海大学文明研究所准教授。1998年4月、大阪大学大学院文学研究科准教授。2004年4月、大阪大学大学教育実践センター准教授。
専攻:西洋近世哲学史/フランス哲学
研究紹介
主な教育・研究のテーマは、次のとおりです。1)オルターグローバリゼーションの思想、2)市民運動の哲学、3)教育の現代思想、4)クリティカル・シンキング。現代世界を生き抜いていくために、思想は力でありうるのか?また哲学者は「権力に対して真実を語ろうとする言葉の使い手」(E・W・サイード『知識人とは何か』)としての役割を果たしているのか?―これらの問いを自分自身に投げかけたとき、他を措いて、いま急いで、また全力で取り組むべきこととして、以上のテーマが見えてきました。
メッセージ
社会運動に関心のある若い学生諸君に期待しています。大学を出て、社会で批判的に活動するために必要な知識を身に付け、能力を磨くことを重視します。私は、「阪大・9条の会」の発起人代表として、改憲に反対する運動を進めています。
主要業績
「教育評価の国際的基準についての研究(1)・(2)」大阪大学大学教育実践センター紀要第1号(2004)・第2号(2005);'Challenges to University Autonomy and Evaluation' 大阪大学大学教育実践センター紀要第3号(2007);「グローバリゼーションのなかのボローニャプロセス―ヨーロッパ高等教育の地域統合と知の世界市場化」『大学と教育』第45号(2007)
概説・一般書
木戸・長野編『平和の探究』(共著)解放出版社(2008);『技術の知と哲学の知?哲学的科学技術批判の試み?』 世界思想社(1996);ミシェル・アンリ著『野蛮―科学主義の独裁と文化の危機―』(共訳)法政大学出版局(1990)

准教授 中村征樹(兼)

なかむら まさき
1974年生。1997年、東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学分科卒業(学士(学術))。1999年、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻修士課程修了(修士(学術))。2005年、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了(博士(学術))。2002年4月、東京大学大学院工学系研究科助手。2006年3月、文部科学省科学技術政策研究所研究官を経て、2007年10月より大阪大学大学教育実践センター准教授。同年11月より同大学大学院文学研究科准教授(兼任)。
専攻:科学技術社会論、科学技術コミュニケーション、科学技術史、大学論
研究紹介
科学技術と社会をめぐる問題について、科学技術と社会とのコミュニケーション、科学技術への市民参加、ユニバーサルデザインなどに着目して検討してきました。また、科学と公共性や科学的知と権力をめぐる問題、技術的知識・技能知のありかたなどについても、思想史的・歴史的なアプローチを援用しながら研究してきました。今後、これまでの研究を引き継ぎながら、市民社会・地域コミュニティに根ざした科学技術や学問のありかた、そして、そのような知を生産する大学・高等教育機関のありかたについても検討していきたいと考えています。
メッセージ
現代社会について考えるにあたって、科学技術をめぐる問題を無視することはできません。たとえば先端医療や生命科学における研究の進展は、「生きること」や「人であること」の理解にも大きく影響を与えるようになっています。また、社会的に論議を呼ぶ問題では、科学者や技術者といった専門家だけではなく、市民を含めたさまざまな関係者が、それぞれの立場・観点から、一緒になって問題を考えていくことが必要になってきています。  科学技術と社会の界面で発生している諸問題や、科学技術への市民参加、科学技術をめぐる公共討論のあり方など、科学技術をめぐるさまざまな課題について、あるいはより広く、現代社会における「知」をめぐる問題について、多様なバックグランドを持ち、さまざまな考えをもつみなさんと、一緒に考えていきたいと思っています。
主要業績
『共生のための技術哲学?「ユニバーサルデザイン」の思想』(共著、未来社、2006)、『大学界改造要綱』(共編著、藤原書店、2003)。論文:「サイエンスカフェ?現状と課題」(『科学技術社会論研究』、第5号(印刷中))、「復古王政期フランスの技術書出版ブーム」(『科学史研究』44巻、2005)、「フランス革命と技師の《近代》?書き換えられる技術的実践の正統性」(『年報 科学・技術・社会』10号、2001)。 概説・一般書:「カフェ・シアンティフィークにようこそ?行こう、開こう科学を自由に語りあう場」(『バイオニクス』、2005)、「「知識のための科学」から「社会のための科学」へ」(『理戦』81号、2005)、「ハイテク社会における市民の役割」(『理戦』71号、2002)、『科学大博物館』(共訳、朝倉書店、2005)

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