インド学・仏教学(哲学講座)

本専門分野は、主に古典インド語(サンスクリット、パーリなど)文献を用いて、思想・宗教・言語・文学・歴史などの諸分野に及ぶインドの古典一般と仏教学を扱う。授業科目として数種の原典読解演習と修士論文・博士論文作成指導演習を開講。学生は学部・大学院とも根気強く語学の訓練を積んだ少数精鋭である。研究室には、インド学・仏教学に必要となる膨大な文献資料が完備されており、学生一人一人が勉強・研究のための十分なスペースを確保できる。また学生同士の、あるいは教員とのコミュニケーションも盛んである。学生はこうした環境の中で、諸文献・諸資料を使いこなすための必要な知識と技術とを習得するだけでなく、国内外における最近の学界の動向や最新の研究等についても情報を収集・活用することができる。各教員は大学外での教育・研究活動にも積極的に関わっており、また元助手や卒業生の中には、海外に留学したり、欧米でPh.D.を取得後、学界で活躍している者もいる。

教員紹介

教授 榎本文雄

えのもと ふみお
1954年生。京都大学文学部卒、京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学。文学修士(京都大学)、博士(文学、京都大学)。京都大学助手、華頂短期大学専任講師、同助教授、大阪大学文学部助教授を経て、1999年8月現職。
専攻:インド仏教学
研究紹介
ブッダを中心とした最初期のインド仏教の文献や思想を、当時のインドの言語や思想全体の視点から研究している。とりわけ、初期のインド仏教における業・煩悩・解脱などの基本的な諸概念の解明を目指し、その過程で仏教文献のサンスクリット写本の校訂出版、『雑阿含経』に対応するサンスクリット原典の研究、説一切有部を中心とした初期仏教経典の系統や展開の研究、『ダンマパダ』(法句経)の原典研究、漢訳の初期仏教経典の研究なども行ってきた。
メッセージ
仏教を含めインドに生れた種々の思想・宗教は、不安や苦悩を脱し、安らぎや幸福に至る仕組みを幾重にも構築してきました。その仕組みをインド語原典から共に辿ってみたいと思います。初期の仏典には、「人々が楽しみと思うことが苦しみであり、苦しみと思うことが楽しみである」と伝えられています。何が幸福であり、何が不幸なのか、インドの思想は人生に対する根本的な問いかけに満ちています。さらに、通説とされるものが、詳しく精査すると、本当は何もわかっていないことの多いのも、この学界です。
主要業績
asrava (漏) の成立について」『佛教史學研究』22 巻1号, 1979年, pp. 17-42; Sanskrit-Texte aus dem buddhistischen Kanon: Neuentdeckungen und Neueditionen, 1, Göttingen 1989 (共著); A Study of the Nilamata : Aspects of Hinduism in Ancient Kashmir, Kyoto 1994 (共著); mulasaravastivadin and sarvastivadin,” in: Ch. Chojnacki et al. (eds.), vividharatnakarndaka: Festgabe fur Adelheid Mette, Swisttal-Odendorf 2000, pp. 239-250; “「輪廻思想と初期仏教」『インド世界への憧れ』、なら・シルクロード博記念国際交流財団、2008年、pp.5-13.
概説・一般書
『ブッダの詩I』(『原始仏典7』)、講談社、1986年(共著);『インド仏教1』(『岩波講座・東洋思想』8)、岩波書店、1988年(共著);『岩波哲学・思想事典』、岩波書店、1998年(共著);『NHKスペシャル・ブッダ大いなる旅路1:輪廻する大地・仏教誕生』、日本放送出版協会、1998年(共著);『真理の偈と物語・「法句譬喩経」現代語訳』、大蔵出版社、2001年(共著)

講師 堂山英次郎

どうやま えいじろう
1972年生。大阪外国語大学外国語学部卒、東北大学大学院文学研究科博士後期3年の課程単位取得退学。文学修士(東北大学)、博士(文学、東北大学)。京都大学人文科学研究所助手を経て、2004年4月現職。
研究紹介
専門は古代インド・イラン文献学、比較言語学。ヴェーダ語(サンスクリット語の古層)の文献を中心とする古代インド語、及びゾロアスター教聖典『アヴェスタ』や古ペルシア語碑文を中心とする古イラン語を、比較歴史文法の立場から研究している。現在は、主にインド最古の文献『リグヴェーダ』を対象に、動詞組織、特に法(叙法、話法、ムード)に関する研究を進めている。
メッセージ
インドの文献研究は18世紀にまで遡りますが、真に科学的な方法論、道具、材料が揃ったのは最近のことです。かつて印欧語比較言語学を生み出す原動力となった古代インドの文献群はまさに宝の山であり、それらの本格的な文献学的、言語学的研究は、人文学全般にとって計り知れない意義を持つと言えるでしょう。文献の精密な理解に基づいて、これまでの研究を発展させ、世界に発信してゆく意欲のある人を募集しています。
主要業績
R.gveda I 82、「新しい歌」、1. Sg. Konjunktiv」印度学宗教学会『論集』第27号、2000年、pp. 75-95;『リグヴェーダにおける1人称接続法の研究』(『大阪大学大学院文学研究科紀要』モノグラフ編 第45巻?2)、大阪大学、2005年;「古代イランにおける社会組織の再編―『アヴェスタ』の記述を中心に―」『国家形成の比較研究』(前川和也・岡村秀典 編)、学生社、2005年、pp. 232-257; "A morphological study of the first person subjunctive in the Rigveda"『待兼山論叢』第39号哲学編、2005年、pp. 1-19;Der Rig-Veda: Das heilige Wissen (Erster und zweiter Liederkreis), Fransfurt am Main/Leipzig, 2007 (共訳);"On the Function of the Root-Aorist Participle"『印度學佛教學研究』第56巻第3号、2008、pp. 1043-1048 (7-12)
概説・一般書
辞典項目担当:「ガンダーラ」、「ゾロアスター」(三木紀人・山形孝夫編『宗教のキーワード集』別冊國文学No.57、学燈社、2004年)

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