人文地理学(人文地理学講座)
人文地理学講座の開設は1995年であるが、それ以前の日本学比較文化学講座時代から研究・教育の蓄積があり、とくに古地図研究、歴史地理学の領域で大きな成果をあげてきた。現在の講座担当教員は小林茂教授、堤研二教授の二名である。小林教授は人間・環境関係を研究テーマとし、内外でフィールド調査を行うとともに、歴史・考古資料にも関心をよせている。堤教授は、人口流出地域の社会と経済の変動を分析し、欧米の研究者たちとも交流を行ってきた。これまで人文地理学が蓄積してきた理論や手法を確実に身につけるとともに、関連分野の方法論の検討や摂取にも関心を広げたい。このことは、拡大が著しい現代の人文地理学の研究フロンティアの理解とともに、将来さらに盛んになるであろう学際的研究への参加においても役立つであろう。
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教員紹介
教授 小林茂
教授 堤研二
教授 小林茂
こばやし しげる 1948年生。京都大学文学研究科博士課程1974年中退。博士(文学)(京都大学)。東京都立大学助手、九州大学講師・助教授・教授、大阪大学文学部教授を経て1999年現職。2003年より放送大学客員教授をつとめている。2004年、人文地理学会賞、2010年、日本国際地図学会特別賞(ただし受賞団体の代表として)、日本地理学会優秀賞を受賞。
専攻:文化地理学/文化生態学
研究紹介
ネパール・ヒマラヤ、琉球列島、九州の人間―環境関係研究に従事。農耕・牧畜など生業活動のほか、土地利用や景観変化、さらに災害や疾病にも関心をよせている。またこれらの素材として絵図・地図にも関心をもち、現在は旧日本軍がアジア太平洋地域で作製・撮影した「外邦図」・空中写真の研究を推進している。
メッセージ
近年の人文地理学は、先進国の社会的、イデオロギー的現象に関心が集中し、表象の世界に閉じこもるような傾向がみとめられる。このため社会の動きとは逆に、環境や発展途上国に対する関心を急速にうしない、現場からはなれつつあるといってもよい。そのいきつく先はまだ明確ではないが、環境変動や発展途上国の多様な問題へのアプローチがつよくもとめられている現在、これらを新しい視点から研究の枠組みのなかにとりこみ、フィールド・サイエンスとしての人文地理学の再生をめざしたい。
主要業績
『福岡平野の古環境と遺跡立地』九州大学出版会(共編著、1998);『太宰府市史・環境資料編』太宰府市(共編著、2001);『農耕・景観・災害:琉球列島の環境史』第一書房(2003);『近代日本の地図作製とアジア太平洋地域:「外邦図」へのアプローチ』大阪大学出版会(編著、2009)。
概説・一般書
『日本の自然、地域編7、九州』岩波書店(共編著、1995);『改訂版人文地理学』放送大学教育振興会(共編著、2008)。
教授 堤研二
つつみ けんじ 1960年生。1986年3月、九州大学大学院文学研究科修士課程修了(史学・地理学専攻)。博士(文学)(九州大学)。国立佐世保工業高等専門学校助手、同講師、島根大学法文学部講師、同助教授、大阪大学大学院文学研究科助教授、同准教授を経て2009年11月より現職。1997年、地域地理科学会賞、2005年、昭和シェル石油環境研究助成財団研究課題賞を受賞。
専攻:人文地理学
研究紹介
日本における社会経済的な変動の甚だしい地域をとりあげて、(1)伝統的環境利用やその変遷、近代化・産業化の過程、(2)人口流出・過疎・高齢化、(3)地域生活機能などに着目した研究を実施している。また、単なる地域研究ではなく、(4)地域変動の理論的追究にも留意しており、(5)海外地域との比較研究も行っている。さらに、(6)研究の地域社会への還元を意識した活動も行っている。
メッセージ
人文地理学は多様な視点から環境や地域と人間との関係を考察する学問分野です。さまざまな問題関心を抱えることを歓迎する分野と言えます。また、古文書や絵図の読解・分析、複数の外国語を用いた調査・研究、コンピュータを駆使した分析など、多面的な手法での切り口が考えられます。好奇心や勉強意欲が旺盛な人、行動的な人に向いている分野でもあります。
主要業績
Kobayashi, K., Matsuo, Y. and Tsutsumi, K.(eds.)Local Knowledge and Innovation: Enhancing the Substance of Non-Metropolitan Regions, MARG(Kyoto),357P, 1999 Dec.;「過疎山村・大分県上津江村からの人口移動の分析」、『人文 地理』(人文地理学会)39巻3号、1987、pp. 1-23;「ドイツ社 会地理学の一系譜:社会地理学論争の周辺」、『人文地理』(人文地 理学会)44巻2号、1992、pp. 44-65;「産業近代化とエージェ ント:近代の八女地方における茶業を事例として」、『経済地理学年 報』(経済地理学会)41巻3号、1995、pp. 17-37。
概説・一般書
「人口移動と過密・過疎」、日本人口学会編『人口大事典』、2002、pp.170-175、培風館;「太宰府の観光産業」、太宰府市史編集委員会編『「古都太宰府」の展開』(『太宰府市史・通史編・別編』)、2004、pp.327-379、太宰府市;「金屋子神信仰形態の分類」、鉄の道文化圏推進協議会編『金屋子神信仰の基礎的研究』、2004、pp.245-257、岩田書院;「社会地理学研究の系譜」、水内俊雄編『空間の社会地理』(「シリーズ人文地理学」、第5巻)、2004、pp.1-22、朝倉書店。
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