日本文学(国文学・東洋文学講座)

日本文学は、上代から、中古・中世・近世・近現代にいたる、各時代の日本の文学を研究の対象とする。個々の作品の詳細な読解をはじめとし、作家、時代思潮などについて、さまざまな方法によってアプローチし、これまでも大きな成果を得てきている。所属するのは、出原隆俊教授(近現代文学)、飯倉洋一教授(近世文学)、加藤洋介准教授(中古文学)、合山林太郎講師(漢文学)勢田道生助教(中世文学)で、このほか定期的に学外から非常勤講師を迎えている。

大阪大学国語国文学会の機関誌「語文」を年2回発行、大阪大学古代中世文学研究会では月1回の研究発表会と年2回の「詞林」の発行などを行い、大阪大学近代文学研究会では「阪大近代文学研究」を刊行している。上方文藝研究の会は学外の研究者とも連携して 「上方文藝研究」を刊行している。

写真:2001年研究室旅行(出雲北島家蔵書調査)

教員紹介

教授 出原隆俊

いずはら たかとし
1951年生。京都大学大学院博士後期課程中退。文学修士。県立広島女子大学講師・助教授・京都教育大学助教授・大阪大学助教授を経て現職。
専攻:日本近代文学
研究紹介
〈言葉の連鎖〉を追跡することを中軸とした、北村透谷、森鷗外、樋口一葉、夏目漱石、島崎藤村、三島由紀夫などの作品研究・注釈。できるだけ多くの作家・作品を見渡すことを踏まえた上での、〈狂気〉、〈先行作品の摂取〉、〈内部〉と〈外部〉、〈仕草〉、〈語彙による文学史〉などのテーマ研究、既成の枠を外した文学史的考察など。他に、泉鏡花、永井荷風、芥川龍之介、太宰治、国木田独歩、島田雅彦などの作品論。最近は小林多喜二の作品に言及することもある。
メッセージ
最近の日本近代文学研究においては、文学作品の流通・消費だとか、日本文学と複数言語の問題といった、かつては議論の俎上に上ることのなかった、しかし、当然おろそかにできない課題も取り組まれている。しかし、その一方で、作品を丸ごと徹底的に読むという基本的な作業・能力が欠落しつつあるのではないかという、ある種の危機感を持っている。言葉の絡み合いを、ごまかさずにいかに解きほぐすか。苦闘の果てに思いがけない光景までが立ち現れてくる至福のときを経験していただきたいと思う。
主要業績
著書『異説・日本近代文学』(大阪大学出版会 2010.1)。共著『キリスト者文学集』(「新日本古典文学大系明治篇26」岩波書店)。「洋行と“からゆき”―反「舞姫」小説の位相―」(『文学』53巻3号)、「たけくらべ」の成立基盤」(『国語国文』60巻12号)、「にごりえ」の〈彼の人〉」(季刊『文学』5巻2号)、「小六という〈他者〉―御米と火鉢―」(『漱石研究』第9集」)、「〈内部〉と〈外部〉という問題―日本近代文学の一面―」(『国語と国文学』81巻4号)、「Kの代理としての私―「心」における言葉の〈連鎖〉について―」(『国語国文』76巻10号)
概説・一般書
「洋行エリートたちの見た夢」(「週刊朝日百科 世界の文学 91」)

教授 飯倉洋一

いいくら よういち
1956年生。1985年九州大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)(九州大学、1998年)。九州大学助手・山口大学専任講師・同 助教授・同教授・大阪大学助教授を経て、2004年4月より現職。
専攻:日本近世文学
研究紹介
上田秋成の言説を思想史的文脈において考察する試みから出発し、現在は秋成の作品を多角的に分析しています。また近世説話の〈場〉と〈語り〉の問題、「奇談」書というジャンルの作品群、近世後期の京都文壇、近世中期の浪華文壇などにも関心があります。実証的な研究方法を基盤において、近世という時代に即した作家・作品の魅力を明らかにしたいと考えています。
メッセージ
近世文学研究の対象には、古典として認知されている有名な作品以外に、数限りない面白いテクストが存在し、その魅力の解明が待たれています。作品のみならず、人物・文壇・出版機構から学問・芸能にいたるまで、あらゆる文化事象が近世文学研究の対象です。それらは、人文系学問の持ちうるあらゆる問題意識に様々な示唆を与える豊饒な世界だと私は思います。
主要業績
『佚斎樗山集』(国書刊行会、1988);『秋成考』(翰林書房、2005);『秋成文学の生成』(共編、森話社、2008);「『春雨物語』論の前提」(『国語と国文学』85-5、2008)
概説・一般書
『読本【よみほん】事典』(分担執筆、2008)

教授 加藤洋介

かとう ようすけ
1962年生。1989年名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。文学修士。国文学研究資料館助手、愛知県立女子短期大学・愛知県立大学講師、同助教授、同教授を経て、2006年大阪大学助教授、2007年同准教授を経て、2010年10月より現職。
専攻:日本平安文学
研究紹介
源氏物語の文献学および注釈史を中心に研究を続けていますが、そこから派生して中世の歌人である藤原定家が携わった写本(自筆あるいは加筆、またはそこから写されていった後代の写本群)全般、あるいは古今和歌集や伊勢物語の文献学にも目を向けています。平安時代に成立した文学作品には、著者や編者による自筆資料が現存することはめったにありません。時代により作品の本文は流動し、変化していました。その具体的な様相を明らかにしたいと思っています。
メッセージ
ふだんは意識すらしない「常識」的なことがらでも、より深く、より根源から問い直してみると、その「常識」が揺らいでくることも珍しいことではありません。わたしは日本の古典文学という古いものを研究対象としていますが、対象に向かう姿勢は常に柔軟でありたいと思っています。研究室にはしなやかな感性と旺盛な意欲を持った学生が集っています。皆さんもその場に加わってみませんか。
主要業績
『河内本源氏物語校異集成』(風間書房、2001);「定家本源氏物語の復原とその限界」(『国語と国文学』82巻5号、2005);「建仁二年定家本伊勢物語の復原」(『中古文学』第79号、2007);「仙源抄の定家本源氏物語」(『皇統迭立と文学形成』、2009);「大島本源氏物語の本文成立事情―若菜下巻の場合―」(『大島本源氏物語の再検討』、2009)
概説・一般書
『源氏物語(絵入)〔承応版本〕CD-ROM』(共著、岩波書店、1999)

講師 合山林太郎

ごうやま りんたろう
1977年生。2009年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位修得退学。博士(文学)(東京大学、2010年)。国立国会図書館勤務を経て、2009年4月より現職。
専攻:日本漢文学(近世・近代)
研究紹介
幕末・明治期の漢詩壇の構造の把握、そこで生まれた作品の分析、森鷗外、正岡子規らと明治期漢詩人との間の影響関係の調査など。今日、漢詩文は専ら鑑賞のための文芸として存在しますが、明治期以前は、詩歌の主要ジャンルとして多くの作品が生み出されました。この漢詩文を中心に考察することによって、これまでの、新体詩や和歌・俳諧中心の検討では見えなかった明治詩歌の問題点が浮かび上がると考えています。
メッセージ
作品を読み、このように捉えられるのだと思う。しかし、よく読むと違う要素が出てくる。それなら、こういうことなのかと自分の考え方を修正する。こうした作品との対話を通して、新たな認識や発想を獲得できることが文学研究の面白さだと思います。対話において大切なのは、相手との距離を察知するセンスです。簡単に作品を理解したと思わないこと、すこしでも引っかかる部分がある場合には、いろいろな角度から考察することが重要と考えます。
主要業績
『パリ1900年・日本人留学生の交遊―『パンテオン会雑誌』資料と研究』(ブリュッケ、共著、2004年)
論文
「漢詩における明治調―森槐南と国分青厓」(『文学』9巻4号、2008年7月);「漢詩改良論―詩歌の近代化と漢詩」(『国語と国文学』84巻3号、2007年3月);「青少年期の森鷗外と近世日本漢文学―鷗外文庫の蔵書調査から得た知見を中心に」(『文学』8巻2号、2007年3月);「幕末明治期の艶体漢詩―森春濤・槐南一派の詩風をめぐって」(『和漢比較文学』37号、2006年8月)

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