日本史学(日本史講座)
本講座では、古代2・中世1・近世1・近代2(助教1)の計6名の教員を揃え、充実した研究・教育活動を行っています。近年の日本史研究の高度化にはめざましいものがありますが、私たちは演習での厳密な資史料の読解や論文の検討を通して、精緻な実証力や独創的な構想力の養成に努めています。
また、定期的に院生発表会を行って、時代や分野の枠にとらわれない幅広い視座やプレゼンテーション能力の育成に配慮しています。研究室では自主的な勉強会が盛んに行われ、学会活動も活発です。春と秋には研究室旅行があり、フィールドワークに汗を流し、夜のコンパでは大いに歓談し交流を深めています。研究室のこの厳しく和やかで開放的な雰囲気は、今後とも大切にしたいと考えています。
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教員紹介
教授 平雅行
たいら まさゆき 1951年生。1981年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。文学博士(大阪大学)。京都橘女子大学、関西大学、大阪大学助教授を経て1996年1月より現職。
専攻:日本中世史/古代中世仏教史 |
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- 研究紹介
- 日本の中世仏教をめぐる諸問題について思想史、権力論、社会史、宗教政策論などの観点から研究している。具体的な研究テーマは、1法然・親鸞・浄土教・末法思想・女性差別観・肉食禁忌についての思想史研究、2中世仏教の歴史的形成論、3中世の神国思想と仏教、4中世仏教と暴力、5中世仏教における呪術性と合理性など。ここ15年ほどは、東国鎌倉における顕密仏教の展開を実証的に復元し、鎌倉幕府の宗教政策の特徴とその時期的変化の解明を研究課題の中心に据えている。
- メッセージ
- 鎌倉仏教の思想家明恵はかつてこう語った。「私に弟子はいらない。世間では弟子をとって仕込みたがる者が多いが、弟子を仕込む暇があるなら、一生涯、自分自身を仕込めばよいのだ」。この点については全く同感だ。しかし、私は明恵の言葉にもう一言付け加えたく思う。私たちは弟子などほしくない。しかし仲間は欲しい。鋭敏な感受性と先鋭な問題意識をいだき、熱くきびしい議論を交わすことのできる若い友人がほしい。共に切磋琢磨し、ともに成長してゆけるような若い仲間がほしい。阪大日本史研究室はそういう若い仲間とつどえる場であり、またそういう場でありつづけたいと私は願っている。
- 主要業績
- 『日本中世の社会と仏教』(塙書房、1992年);『周縁文化と身分制』(共編著、思文閣出版、2005年);『日本史講座4』(共著、東京大学出版会、2004年);『日本通史中世2』(共著、岩波書店、1994年)、『アイデンティティ・周縁・媒介』(共著、吉川弘文館、2000年);「鎌倉寺門派の成立と展開」(『大阪大学大学院文学研究科紀要』49巻、2009年)
- 概説・一般書
- 『親鸞とその時代』(法蔵館、2001年);『世界史を書き直す日本史を書き直す』(共著、和泉書院、2008年);『概説日本歴史』(共著、吉川弘文館、2000年);『中世寺院の姿とくらし』(共著、山川出版社、2004年);『日本歴史大事典』全4巻(共編著、小学館、2001年);『日本史B』(共著、実教出版社、2008年)
教授 村田路人
むらた みちひと 1955年生。1977年大阪大学文学部史学科卒業。1981年大阪大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程中途退学。文学博士(大阪大学、1994年)。大阪大学文学部助手、京都橘女子大学文学部専任講師、同助教授、大阪大学文学部助教授を経て、2002年4月より現職。
専攻:日本近世史 |
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- 研究紹介
- 日本近世における支配の特質を研究している。特に、畿内近国地域を対象に、支配の実現メカニズムという観点から、非武士身分の者の支配への関わり、民意確認のシステム、触の伝達経路などを明らかにし、従来とは異なる近世支配像の提示を行っている。また、江戸幕府の地方支配機構の変化を幕政史との関わりにおいて検討するとともに、近世の治水を新たな視角からとらえ直そうと努めている。
- メッセージ
- どの学問分野についてもあてはまることだが、まずは「視点を変える」という姿勢をたえず持ち続けることが大切である。一見やり尽くされたと思われるテーマでも、少し視点をずらしてみると、いくらでも課題が見つかるものである。そして、歴史学の場合は、史料に徹底的にこだわることが求められる。同じ史料でも、書かれている文章の再解釈はもちろん、史料の存在形態や筆跡も含めた史料分析によって、従来の解釈や位置づけが覆されていく。地道な努力が必要だが、史料の新しい読み方ができたときの楽しさは格別である。
- 主要業績
- 『近世広域支配の研究』(大阪大学出版会1995、単著);「近世の地域支配と触」(『歴史評論』587号、1999);「元禄期における伏見・堺両奉行の一時廃止と幕府の遠国奉行政策」(『大阪大学大学院文学研究科紀要』第43巻、2003);「幕府上方支配機構の再編」(大石学編『日本の時代史16享保改革と社会変容』吉川弘文館2003);『日本史リブレット93近世の淀川治水』(山川出版社2009、単著);「堤外地政策からみた元禄・宝永期における摂河治水政策の転換」(『大阪大学大学院文学研究科紀要』第50巻、2010)
- 概説・一般書
- 豊能町史編纂委員会編『豊能町史』本文編(豊能町1987、共編著);新修大阪市史編纂委員会編『新修大阪市史』第4巻(大阪市1990、共著);羽曳野市史編纂委員会編『羽曳野市史』第二巻本文編2(羽曳野市1998、共著);藤本篤監修『江戸時代人づくり風土記27・49大阪見る・読む・調べる大阪の歴史力』(農山漁村文化協会2000、共編著);今井修平・村田路人編『街道の日本史33大坂―摂津・河内・和泉―』(吉川弘文館2006、共編著);豊中市史編さん委員会編『新修豊中市史第一巻通史一』(豊中市2009、共編著)
教授 飯塚一幸
いいづか かずゆき 1958年生。1988年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。文学修士(京都大学、1985年)。舞鶴工業高等専門学校専任講師、佐賀大学助教授、大阪大学准教授を経て、2010年1月より現職。
専攻:日本近代史 |
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- 研究紹介
- 近代化による地域社会の変容を様々な視点から検討することで、伝統と近代の問題を研究している。特に、地方政治の担い手であった地方名望家について、欧米起源の諸学を近代日本に導入する際に果した役割などにも着目しながら、多角的に分析している。また、近年は士族反乱や自由民権運動に関する研究にも手を広げている。
- メッセージ
- 近年、近代史に限らず史料へのアクセスは飛躍的に改善され、史料の森への旅は格段に容易になりつつある。けれども、大量の史料からテーマを発見し問題をつかみ出すことは難しい。歴史学を学ぶ者としてのセンスを問われるのもそこだ。ならば、そうした力を身につけるにはどうすればよいか。私は社会への批判精神に富んだ関心を持ち続けることが肝要だと思う。率直に議論を闘わすことのできる集団も重要だろう。新しい発想で史料と格闘し、問題を徹底的に考え抜く気迫を持った若い世代が登場してほしい。我々も「昭和の老人」扱いされぬよう自戒しつつ、皆さんを待っている。
- 主要業績
- 『近代日本の政党と官僚』(共著、東京創元社、1991年);『近代日本の軌跡3日清・日露戦争』(共著、吉川弘文館、1994年);『日本近代国家の形成と展開』(共著、吉川弘文館、1996年);『田中秀央 近代西洋学の黎明─『憶い出の記』を中心に─』(共編著、京都大学学術出版会、2005年);「国会期成同盟第二回大会の再検討」(『九州史学』第143号、2005年);「京都府における国会開設運動の展開―私擬憲法案「大日本国憲法」の成立と沢辺正修―」(『史林』第92巻第2号、2009年)
- 概説・一般書
- 『京都府の歴史』(共著、山川出版社、1999年);アエラムック『日本史がわかる。』(共著、朝日新聞社、2000年);『佐賀県議会史続二』(共著、佐賀県議会、2002年);『宮津市史通史編下巻』(共著、宮津市、2004年);『新修彦根市史通史編近代』(共著、彦根市、2009年);『鳥栖市誌近代・現代編』(共著、鳥栖市、2009年)
教授 武田佐知子
たけだ さちこ 1948年東京生。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業、早稲田大学大学院文学研究科日本史学専攻修士課程修了、東京都立大学大学院人文科学研究科史学専攻博士課程修了。文学博士(東京都立大学、1985)。大阪外国語大学外国語学部助教授、同教授を経て、2007年10月より大阪大学大学院文学研究科教授。サントリー学芸賞思想歴史部門(1985)、濱田青陵賞(1995)、紫綬褒章(2003)。
専攻 日本古代史/服装史
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- 研究紹介
- 私は一貫して、「着衣する身体」を研究の対象とし、着ている衣服が表象する人間の意志、性、力といった側面の、歴史と現在を見てきました。衣服の形や衣服形態の諸相を、社会構造や国際関係の分析の具として位置づけ、衣服を着用する人間相互の、社会的位置関係を考える作業をしています。具体的には当面、遣唐使が着て行った衣服や、古代の浴衣の復元、そして現代東アジア世界の民族衣装の激しい変化を、国家や民族とのかかわりで考えています。
- メッセージ
- ヒトはみーんな服を着ています。服を着ているのがヒトのしるしです。ヒトのあかしの衣服は、現代でさえ、周囲の環境によって規定されます。けっして自由に衣服が着られるわけではありません。どんな衣服を着るか、着なければならなかったかが、その時代の社会を知る鍵になるのです。そうした手法で、みんなで歴史を考えてみたいと思っています。
- 主要業績
- 『講座 天皇と王権を考える』9(共著、岩波書店、2003);『天神祭―火と水の都市祭礼―』(共著、思文閣出版、2001);『アイデンティティ・周縁・媒介』(共編、吉川弘文館、2000);「民族衣装のゆくえ―中国西南部少数民族の世界から―」『EXORIENTE』4(2000);『古代国家の形成と衣服制―袴と貫頭衣―』(吉川弘文館、1984)
- 概説・一般書
- 『娘が語る母の昭和』(朝日新聞社、2000);『衣服で読み直す日本史』(朝日新聞社、1998);『信仰の王権聖徳太子―太子像をよみとく―』(中央公論社、1993)
准教授 市大樹
いち ひろき 1971年生まれ。2000年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。文学博士(大阪大学、2001年)。奈良文化財研究所研 究員、同主任研究員を経て、2009年4月より現職。
専攻:日本古代史 |
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- 研究紹介
- 学問的にいくつかの理由もあるが、一番は旅行が好きだということもあって、学生・院生時代は古代交通史の諸問題に取り組んできた。その後、奈良文化財研究所では、古代都城の発掘調査と木簡整理を日常業務とし、特に飛鳥・藤原地域出土の7世紀木簡の研究に力を注いできた。阪大への異動とほぼ重なって、『飛鳥藤原木簡の研究』を一応まとめることができたので、今後は交通史の問題に重点をおきたいと考えている。文献史学の枠にとらわれず、考古学をはじめとする隣接分野の成果をいかに組み込むかが大きな課題である。
- メッセージ
- 日本古代史の論文を執筆するためには、相対的に数の少ない史料を突き詰めて読み込み、膨大な研究史を吸収・理解した上で、独自の見解をださなければならない。じっくりと取り組む必要があることはいうまでもないが、あまり根を詰めすぎると、見えるものも見えなくなってしまう。まったく別のことをやっているとき、ふとわかる瞬間は誰にもあるに違いない。そのためには、適度な息抜き、心の余裕が必要である。自分の狭い専門の枠に閉じこもらず、旺盛な知的好奇心をもって、さまざまな分野の人たちと積極的に交流してほしい。
- 主要業績
- 『飛鳥藤原木簡の研究』(単著、塙書房、2010年);『評制下荷札木簡集成』(編著、東京大学出版会、2006年);『飛鳥藤原京木簡1―飛鳥池・山田寺木簡―』(編著、吉川弘文館、2007年);『飛鳥藤原京木簡2―藤原京木簡1―』(編著、吉川弘文館、2009年);「日本古代伝馬制度の法的特徴と運用実態―日唐比較を手がかりに―」(『日本史研究』544号、2007年)
- 概説・一般書
- 『奈良の寺』(共著、岩波書店、2003年);『続明日香村史上巻』(共著、明日香村、2006年);『大化改新 古代国家誕生』(共著、新人物往来社、2008年);『古代地方木簡の世紀』(共著、サンライズ出版、2008年);『史跡で読む日本の歴史3』(共著、吉川弘文館、2010年)
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