広域文化形態論講座と広域文化表現論講座では、それぞれ、現在、以下の協同研究を行っています。
コミュニケーションの重要さはいつの時代でも変わることはないが、現代社会にはコミュニケーションに伴う特有の諸位相がある。社会のミクロな現場に根ざし、そこで通用する固有の言葉にコミットする(参加観察を含む)半面で、場合によれば、その言葉をマクロな次元のコミュニケーションへと開放する手助けをしていくことも重要であると思われる。各領域の専門家と非専門家(市民)との公共的対話をサポートすることにも留意したい。
本共同研究では、コミュニケーションについての基礎的な理解・分析と並んで、以上のテーマについて探求していく。(写真:中国・南開大学主催の国際シンポジウムに出席して)
本共同研究は2004年度より開始されるものですが、1998?2000年度に本専門分野で実施された共同研究、「死の習俗の比較史研究」を継続・発展させる性格ももっています。前共同研究の成果は、江川・中村生雄編『死の文化誌:心性・習俗・社会』(昭和堂、2002年10月)という論文集の形で刊行されていますので、関心のある方はぜひお読みください。
前共同研究における成果のひとつとして、「死」の問題が生前の「生」のあり方をも一定程度規定している点が浮かび上がってきました。そこで「生の習俗」との関連も追及することを意図して、テーマを上記のように名づけました。ただし、本共同研究で取りあげられる問題が「死と生の習俗」のみ、というわけではありません。日本、アジア、欧米などの諸文明圏、あるいは文明圏のなかの個別地域における、死の習俗のあり方(とその「生」のあり方への影響)、およびその時代的変化等の意味、さらに習俗という実態と理念との間の相関などを、地域社会や国家・宗教・民族・ジェンダーの問題と関連させながら解明するとともに、これら個別研究を人類史全体のなかに位置づける方向をめざしています。
本研究には、大阪大学および関西地区を始めとする大学等の教育研究機関に所属している研究者が参加しますが、大学院博士後期課程の学生の積極的参加および前期課程の学生の聴講をおおいに期待しています。
テクストがいかにして生成したかという問いへの答えは、「作者」の創作意識を探ったり、草稿から定稿への生成過程を辿ることのみには求められません。口伝・口承・談義・講釈などの言説の場からテクストが生成したり、〈うたげ〉〈座〉などのような、共同体的な磁場からテクストが生まれることがあります。その場合はテクスト生成の場と、そこに関与するさまざまな社会的・文化的事象を解析しなければなりません。
また、テクストは常に流動しています。現代作家の手になる「作品」でさえ、草稿段階、新聞・雑誌掲載時、単行本としての出版時、全集収録時、文庫本収録時と、刻々と変化することは珍しくありません。まして神話や古典において、テクストが流動・変容していくのは常識です。なぜテクストは変容しつづけるのでしょうか。
本共同研究でいうテクストは限定的なものではありません。哲学・文学・美術・演劇・音楽など、あらゆる領域のテクストを扱ってゆくことになるでしょう。もちろん、テクストの出自は日本・東洋・西洋を問いません。テクストの動態に注目し、テクスト研究のあらたな地平を拓くべく、共同研究を進めていきたいと思います。研究会は随時開催しますので、大学院博士後期課程の学生諸君の参加と、前期課程学生の聴講を期待しています。