大学院特色

新時代の人文学研究をめざして

大阪大学大学院文学研究科は、1948年に文学部の前身である法文学部(旧制)が開設されてから5年目の1953年に新制大学の大学院として設置されました。爾来、今日までのおよそ半世紀のあいだ、本研究科は人文学諸分野の拠点として学界をリ?ドし、また多くの優秀な研究者を育てて、わが国の人文学研究の水準向上に大きく貢献してきました。この半世紀という歴史は、かならずしも長いとはいえないかもしれませんが、その分、本研究科は旧弊にとらわれない、常に時代の動きに即した清新な研究を展開して、本研究科ならではの特色というものを形成しています。また、1999年度には、本研究科の重点化が完了し、文化形態論専攻と文化表現論専攻(博士前期・後期課程)の設置にともなって、これまでの学部を主体とした体制から文学研究科を主体とした体制に移行し、新時代にむけての体制の整備も順調に進んでいます。さらに、2007年度には、既存2専攻に加えて、文化動態論専攻(修士課程)が設置され、大学院の教育・研究内容がますます充実する運びとなりました。ここでは、このような現状にある本研究科の特色を3項目に要約して紹介することにします。

1. 多彩でユニークな専門分野やコース

人文学研究は一口でいえば「文化」を対象とする学問ですが、それだけにそこにかかわる領域はたいへん広大なものになります。それは大づかみにいえば、思想・歴史・文学・社会・言語・芸術などですが、これらの領域それぞれのなかにはさらにまた多種多様なジャンルがふくまれています。そして、これらの大小さまざまな領域それぞれに独自の方法があって研究が進められているのですが、対象となる「文化」の多様性を考えるならば、大学院の文学研究科にはなるべく多くの領域についての専門分野が求められることになります。

本研究科の文化形態論専攻と文化表現論専攻(博士前期・後期課程)には28の専門分野が置かれていて、それぞれにおいて学界をリードする教育・研究がなされています。そのなかには、他大学の大学院にはない専門分野や、共同研究によって各領域間の相互交流をはかることを目的とした専門分野もふくまれています。

また、2007年度に設置される文化動態論専攻(修士課程)には4つのコースが置かれます。本専攻では、旧来の伝統的な人文学の体系の中では解決困難な文化的諸問題を解明するために、専門分野にとらわれない広域的な研究が行われます。本専攻の教育・研究は人文学の新しい潮流の導入を重視した点で既存2専攻の教育・研究を補完するものと言えます。

21世紀には人文学研究の持つ意味がいっそう増大することが予想されますが、ここにはそうした新時代に対応しうる体制が十分に整っているものと確信しています。

2. 実証研究の伝統と分野横断的で総合的な視点

自然科学であれ人文学であれ、研究の根幹は実証ということです。人文学研究における実証とは、可能なかぎりの関連資料を収集して、知られずにいた文化的事象や感情や心理などを論理的に証明することですが、本研究科は約半世紀のあいだ、そのような実証を根幹とした研究を進めてきました。その結果、本研究科には各学界で主導的な立場にある研究者が多く集まり、どの専門分野もそれぞれの領域の拠点となるにいたっています。この姿勢はもちろん今後も継承されてゆくことになりますが、一方、近年はいわゆる「研究の細分化」によって、どの分野においても分野横断的で総合的な視点の喪失が大きな問題となっています。それは人文学研究においても例外ではありませんが、本研究科としては、分野横断的で総合的な視点は精緻な実証と背反するものではないという理念のもとに、この現代的状況を克服してゆこうとしています。1999年度に完成した文化形態論専攻と文化表現論専攻はそうした点にも十分な配慮がなされています。一方、2007年度に設置される文化動態論専攻はむしろ分野横断的で総合的な視点を最も重要なものとして捉えています。

3. 社会と海外に開かれた大学

学業に精を出す学生たち本研究科は、半世紀にわたって蓄積された研究成果の開放という面にも大きな関心を持っています。たとえば、この半世紀のあいだ、一般向けに質の高い講演や講座を提供してきた懐徳堂記念会の諸活動は主に本研究科の教官によって運営されてきました。つまり、本研究科は、近年その必要性が叫ばれている「社会人の生涯教育」を半世紀も前から実践してきているのですが、そのような長年の実績をうけて、1998年度から社会人を院生して受け入れる制度がスタートしています。この制度は社会人に研究の場を提供するというだけでなく、経験ゆたかな社会人が院生として加わることによって、研究科全体に従来とはことなる活気をもたらすことが期待されます。また、本研究科国際交流という面でも海外の多くの大学とのあいだに学術交流協定を結んで、その進展に寄与してきました。本研究科で学ぶ留学生も増加の一途をたどっていますが、優秀で多彩な留学生が多数在籍していることも、本研究科の大きな特色です。既存2専攻(文化形態論、文化表現論)に加えて、2007年度に設置される文化動態論専攻により、社会人や外国人留学生の教育・研究および海外学術交流活動がますます活発に行われる体制が整いつつあります。

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