教員紹介
-
石井 正彦 (いしい まさひこ)教授
- 研究分野:
- 現代日本語学
- 専門:
- 日本語学、計量言語学
- 研究テーマ:
- 現代日本語の語彙、語形成、専門語
- E-mail:
- ishiiアットマークlet.osaka-u.ac.jp
研究紹介
現代日本語の「言語使用」の研究を、コーパス言語学、計量言語学、批判的言語学、通時言語学などの立場から研究している。とくに、言語と非言語行動・パラ言語情報との関係を計量的に調査・分析するための「マルチメディア・コーパス」の開発、マス・メディアの言語使用におけるイデオロギー的側面(社会・文化的な意味)の研究、通時コーパスを用いた20世紀後半の日本語における言語変化の研究、探索的データ解析を用いた日本語研究法の開発などにとりくんでいる。
メッセージ
新聞で「沖縄の人々」はあっても「東京の人々」という言い方がほとんどないのはなぜか、歴史教科書で「たとえば」という単語が使われないのはなぜか、テレビ放送で「(私は)~と思います」という発話が特定の立場の出演者に偏るのはなぜか。言語には、我々をとりまく社会の「ものの見方」がくみこまれており、言語を使うということは、知らず知らずのうちに、そうしたものの見方に従い、それを維持・強化することにもなる。無意識の言語使用の背後に潜む「イデオロギー」の暴露に意識的にとりくむことが必要だと思う。
-
三宅 知宏(みやけ ともひろ)教授
- 研究分野:
- 日本語学・言語学
- 専門:
- 日本語学・言語学
- 研究テーマ:
- 普遍的な一般言語研究を視野に入れた,個別言語としての日本語の研究
- E-mail:
研究紹介
普遍的な一般言語研究を視野に入れつつ,個別言語としての日本語の具体的な言語現象について,分析を行っています。その際,日本語を母語としない人向けの日本語教育や,母語話者向けの国語科教育への応用可能性も念頭においた「観察」,「記述」を心掛け,一般言語研究における言語理論への展開をふまえた「説明」を目指しています。なお,対象とする言語現象,および依拠する言語理論に,制限は加えていません。興味を持てば,何でも対象にし,何でも方法にする,というスタイルです。
メッセージ
(学部志望者に) 例えば「太郎が部屋( )出た」,「煙が煙突( )出た」という二つの文の( )内に適切な助詞を入れる場合,前者は“から”“を”のどちらでもよいのに対し,後者は“を”が不可で,“から”のみ可能であることを,日本語を母語とする人であれば「知っている」はずです。しかしそれをすぐに説明できるでしょうか。「知らない」ことを「知る」ようになるのではなく,「無意識に知っている」ことを「意識的に知る」ようになるという学問分野の面白さを紹介したいと思っています。 (大学院志望者に) 日本語と呼ばれる言語(諸方言も含む)は,どのような性格の言語なのか,他の言語とどのように違い,どのように同じなのか,そもそも人間の言語(日本語も含まれる)とはどのようなものか,というようなことに関心を持ち,その解明に挑んでみようとする人にとって,本学は最高の研究環境にあると断言できます。 -
眞野 美穂(まの みほ)准教授
- 研究分野:
- 言語学・日本語学
- 専門:
- 形態論・統語論
- 研究テーマ:
- 通言語学的な一般化を目指した、日本語の研究。
- E-mail:
- m.mano.hmtアットマークosaka-u.ac.jp
研究紹介
これまで、主に現代日本語を対象とし、語自体が持つ情報と、それが文の中で果たす機能、そして作り出される文の構造との関係に焦点を当てながら、与格主語構文、類別詞や同格名詞句などの研究を行ってきました。他言語の言語現象との共通点や差異を考えることで、通言語的な一般化を目指しています。ただ、特に名詞に関しては、まだまだ十分に記述されていない言語現象も多いことから、これからは、より多角的に名詞を観察し、動詞研究の知見と融合させることで、体系的な分析につなげたいと考えています。
メッセージ
日本語は研究の蓄積が多い言語の1つですが、それでもまだまだわからないことの方が多いのが現状です。皆さんが日々ことばを使う中でふと感じた疑問が何かを解き明かす問いになるかもしれません。ただ、その疑問から仕組みを探り、そこに潜む法則を解き明かすためには、できるだけ多くの言語現象やその特徴を知っておく必要があると思います。様々な言語現象(そして言語にも)に出会える本学で一緒に日本語の研究に取り組んでみませんか?
(Webサイトはこちら) -
田野村 忠温(たのむら ただはる)教授
- 研究分野:
- 言語学・日本語学
- 専門:
- 文法・形態論、意味論など
- 研究テーマ:
- 日本語の諸現象の分析
- E-mail:
- tanomuraアットマークlet.osaka-u.ac.jp
研究紹介
現代日本語を中心として、人間の言語の文法・語彙・意味・音韻などの諸現象に見出される規則性やその変化の様子を分析・考察しています。また、現在は国立国語研究所を中心とする日本語コーパス構築計画(特定領域研究「日本語コーパス」、2006〜2010年度)および同研究所の共同研究プロジェクト「コーパス日本語学の創成」(2009〜2013年度)に参加し、電子資料の利用によって日本語研究をいかに深化・発展させられるかという課題にも取り組んでいます。
メッセージ
言語の研究にはその対象と方法の両面に関して無限の可能性があり得ます。対象面でも方法面でも、興味の範囲を始めから限定するのではなく、自由な意識で多様な可能性に向き合おうとする学生を歓迎します。広く学び、よく考える過程で、今まで取り立てて考えることもしなかった言語の側面に興味が芽生えることも多いはずです。
-
渋谷 勝己(しぶや かつみ)教授
- 研究分野:
- 社会言語学
- 専門:
- 日本語学
- 研究テーマ:
- 日本語バリエーションの史的研究
- E-mail:
- sbjアットマークlet.osaka-u.ac.jp
研究紹介
一口に日本語といっても、そのなかには方言があり、古典語があり、また最近では外国人の話す日本語も加えられてきました。これまでの日本語研究では、このうち書きことばと共通語だけが脚光を浴びてきましたが、規則があるという点ではほかの日本語も同じです。文法面を中心にして、このような多様な日本語のなかにはそれぞれどのような規則があるのか、また、それらの規則は世界のさまざまな言語とくらべたとき、どのような特徴をもっているのか、といった問題を解明するのが私の研究です。
メッセージ
言語学という研究分野は、混沌として見える言語事象の裏にある規則や規則性を探り出し、そのような規則を生み出すにいたった人間の言語能力を明らかにしつつ発展してきました。ふだんあたりまえのように使い、また耳にしていることばの後ろには、見事な規則や規則性が横たわっています。どのようなことばであれ、そのことばのなかに、これまで見出されていない規則や規則性を発見したとき、大きな充足感を味わうことができます。いろいろなことばをじっくりと見極めてみたいという方を歓迎します。
(Webサイトはこちら) -
高木 千恵(たかぎ ちえ)教授
- 研究分野:
- 社会言語学
- 専門:
- 社会言語学、方言学
- 研究テーマ:
- 接触による言語の変容、方言文法の記述、方言の記録と保存
- E-mail:
- takagicアットマークlet.osaka-u.ac.jp
研究紹介
社会言語学を専門にしています。具体的には、異なる体系を持つ言語(方言)どうしの接触によって起こるダイナミックな言語変化に興味を持っています。これまでは、関西の若年層の話しことばに注目して、メディアによる標準語の影響を受けながらも独自性を保ち続ける地域語の姿を明らかにしてきました。地域社会に生きる人々が、標準語という絶対的権威をもつ言語変種と日常的に接触しながら自身のことばをどのように運用しているか、その実態を解明し、地域社会のことばの動向を追究したいと考えています。
メッセージ
社会言語学は、ことばと、それを操る人間とのかかわりに関心を寄せる学問分野です。わたしたちは決して、日本語の教科書に出てくるようなことばづかいだけで生きているわけではありません。相手に応じて、場面に応じて、ときには無意識のうちにことばを切換えています。その、とらえどころのない生きたことばたちと向き合いながら、ことばの使い手である人間を理解していくのが社会言語学だと思っています。みなさんが日常生活のなかで感じることばへの疑問の多くが、社会言語学のテーマになりうることと思います。
(Webサイトはこちら) -
Matthew Burdelski(マシュー・バーデルスキー)教授
- 研究分野:
- 応用言語学
- 専門:
- 語用論、言語社会化
- 研究テーマ:
- 第一言語、第二言語又は継承語としての日本語による幼児の言語社会化
- E-mail:
- mburdelアットマークlet.osaka-u.ac.jp
研究紹介
日本語を第一言語、第二言語又は継承語として学習する幼児の言語社会化を研究しています。主に、家庭、保育園、公園などという場面における日常会話を観察し、ビデオ撮影を行い、相互作用を語用論的な視点から分析します。幼児を取り巻く様々な場面においてどのような発話行動が期待されているのか、また、親、兄弟、保育士などがどのような言語的・非言語的資源を使用し、幼児の適切な発話行動の習得を促進するのか、つまり言語を通した社会化のプロセスを調査しています。
メッセージ
日本語学専門の学生は日本語をより深く理解するために、言語と文化の相互関係も理解する必要があると思われます。「文化」というのは会話的相互作用で生み出される「言語的・非言語的資源」及び「社会的実践」であると考えられます。授業では、日本語話者がどのようにその言語的・非言語的資源及び社会的実践を習得するのか、またそれらを使用しどのようにアイデンティティーを構築するのか、というような問いを主にビデオデータの分析を通し一緒に考察してゆきたいと思います。
(Webサイトはこちら) -
李 頌雅(り しょうが)助教
- 研究分野:
- 応用言語学
- 専門:
- 語用論、会話分析、言語社会化
- 研究テーマ:
- 会話分析の観点からみた留学生の授業外活動における言語社会化の過程
- E-mail:
- sylee.hmtアットマークosaka-u.ac.jp
研究紹介
会話分析の方法を用いて、外国人留学生と日本人大学生の授業外活動に見られる伝達実践を研究しています。これまでは、留学生と学生チューターの活動を中心に研究を行ってきました。こうした授業外の活動では、学生が自主的に活動を進めており、自ら言語、文化について学ぶ機会を作り出しています。その過程を調査し、日本語・日本文化の学習の可能性について考えていきます。
メッセージ
私の研究の出発点は、日本語を母語とする人と日本語学習をしている人の会話がどのように進むのかという問いでした。異なるバックグラウンドを持っている人同士の会話を録画し、それを繰り返し観察することによって、当事者の文化知識、意見の伝達方法、表現方法などが明らかになってきます。日本語によるコミュニケーションを様々な観点から観察することで、自分たちの言語生活がいかなるものなのか、皆さんと共に考えていきたいと思っています。