研究科長より

片山剛 教授 人文学は、多言語多文化を研究対象とする学問分野です。このため、文学部・文学研究科の多くの専修・専門分野では、外国語で研究を発表し、討論に参加し、また論文を執筆するといった語学能力が求められます。必要とされる外国語は、専門分野の特性に応じて異なり、英語に特化されているわけではありません。加えて、研究内容を深め、豊かなものとするには、語学能力を高めることだけでなく、文化への視座を有していることが不可欠です。研究対象としてとりあげる特定の文化だけでなく、多様な文化を視野に入れておくことが重要です。そのためには、異なる文化や異なるコンテキストを背景としている研究者やその発想のあり方に、また、これまでに見聞したものとはスタンスの異なる研究スタイルに対して、柔軟に対応できる“基礎的な能力”を蓄えておくこと、言い換えると、幅広い教養を身につけておくことが求められます。
 海外に滞在して異なる文化に触れながら研究を進める、あるいは研究成果を外国語で国際的に発信するためのスキルを身につけるためのステップとして、本プログラムを活用していただければと思います。本プログラムへの参加が、人文学の研究者をめざす皆さんにとって、研究の深化と拡張の機会となることを願っています。

(片山剛・文学研究科長)

(掲載平成22年4月。肩書は掲載時)