オーストラリア辞典
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Australian Colonies Act (1850)

オーストラリア植民地政府法


 植民地大臣のグレイ伯によって考案された、イングランドの海外領土に対する政策の一部であり、オーストラリアからの請願に対する対応であるこの法律は、オーストラリア植民地に関する広範囲にわたる規定を含むものであった。この法律によって、ニューサウスウェールズ植民地からポートフィリップ地区が切り離され、ヴィクトリア植民地が創設された。また、1842年にニューサウスウェールズに与えられていた公選・任命制混合議会が、西オーストラリアを除く全ての植民地に与えられることになった。

 この法律はまた、1842年にニューサウスウェールズに与えられた選挙法の制限を緩和した。選挙権と被選挙権に必要な財産制限を半減にした。有権者にとって最低必要な自由土地保有の価格を100ポンド、年間貸借額を10ポンドに減額したのである。これはイギリス本国と同じ水準であったが、名目賃金の高かったオーストラリアでは、事実上ほとんどすべての成人男子に選挙権を与えることになった。議員資格についてはそれぞれ1000ポンド、50ポンドに減額した。

 この法律の最も重要な面は、自治政府(責任政府)設立の計画を提出することを植民地に促したことである。この規定に基づいて、オーストラリアの各植民地は、二院制議会を持つ自治政府設立のための憲法草案を起草した。しかしながら、イギリスがオーストラリア植民地の公有地処分の権限を保持した点に、オーストラリアは不満を抱き、ロンドンに対して抗議の請願を行った。1860年までには、西オーストラリアを除くすべての植民地が自治植民地となり、イギリスが保持していた権力の大部分はオーストラリアの諸植民地に移譲された。 

 真水晃・藤川隆男0403