1810年6月3日、陸軍少将の3男として生まれ、アングリカンとして育つ。イングランドで教育を受け、ダブリンのトリニティ・カレッジ卒業後、1838年にアイルランドで弁護士となる。

　1839年のオーストラリア移住後はメルボルンの法廷弁護士として働き、1843年には下級裁判所の判事に就任する。さらに、1851年にヴィクトリアがニューサウスウェールズから分離すると、ヴィクトリアで最初の法務次官となり、続く1852年にはヴィクトリア最高裁判所の判事となる。彼が判事を務めた主な裁判には、ユリーカの反乱（1855年）、ネッド・ケリーの裁判（1880年）などがある。

　さらに、彼は法律家としてだけではなく、メルボルンの発展にも関与した人物として名を残している。代表的な貢献としては、メルボルン・メカニックス・インスティチュートや公立図書館、公立美術館の設立、さらには1853年から死ぬまで自身が学長を務めることになるメルボルン大学の創立などが挙げられる。

　生活面においては、彼は生涯独身を通したが、ルイザ・バロウLouisa Barrowとの間に4人の子ども（ニコラス、イライザ、ジョージ、フレッド）をもうけた。また、1877年にナイトの称号を与えられる。ケリーの公判後わずか12日目（1880年11月23日）に、病気のためイースト・メルボルンで死去した。

　遠藤貴弘0501