オーストラリアは、1966年2月14日に10進法通貨を導入した。通貨の単位はドルとセント（1ドル=100セント）がポンド、シリング及びペンス（1ポンド=20シリング=240ペンス）に取って代わることとなったが、親英主義者のなかにはこれに反対するものもいたようである（たとえば、首相のメンジーズは、ドルではなくロイヤルRoyalの採用を主張した。）。1、2、5、10、20、50セントの硬貨が導入されるとともに、1、2、10、20ドルの紙幣が発行され、1ポンド対2ドルの比率で交換された。通貨の切り替えは当初の予想よりも迅速に進み、1967年末までには実質的に完了した。その後1967年に5ドル紙幣、1973年に50ドル紙幣、1984年に100ドル紙幣が新たに加えられた。また、1984年に1ドル、1988年に2ドルが、それぞれ紙幣から硬貨に変更された。1セントと2セントのコインは1992年に廃止された。これらの10進法に基づく紙幣には、ジョン・マッカーサーやカロライン・チザム等、オーストラリア史上の人物が描かれ、オーストラリアの独自性を打ち出そうとしている。

　浅野敬一00