「純血メリノ種」pure merinosと呼ばれることもある。これは彼らの多くが、メリノ種の羊の育成により特権階級に成り上がったことによる。初期の植民地社会の中で、保守派を形成した。

　エマンシピストが、英国人の権利をもっと大きな範囲の人々に広げるよう求めたのに対し、イクスクルーシヴズは、これを特権的な少数派に限られた権利であるとして、制限することに努力した。ジョン・マッカーサーと彼の一族は、イクスクルーシヴズとして有名であったが、その主なメンバーには成功した土地所有者、商人、司法界の人々、軍人、貿易業者などが含まれる。富裕な牧畜業者であったジェイムズ・ミューディーJames Mudie、ジェフリー・ベント判事とその弟の検察官であったエリス・ベント、および牧師で牧畜業を営むサミュエル・マーズデンはすべてイクスクルーシヴズであった。

　流刑囚やもと流刑囚が大半を占める社会の中で、彼らは少数派集団であり、彼らの利益や願望は、常に異質な要素と対立し、ある場合には彼らが自分たちよりも劣っていると考えたものの判断に従わざるをえなかった。特に彼らはエマンシピストを治安判事の一員に任ずることに対して強く反対し、このことはマクウォリー総督の時代(1810-1821)に大きな問題となった。1815年、ジェフリー・ベント判事はエマンシピストの弁護士採用に抗議して、開設されたばかりの最高裁判所を閉廷するという極端な行動をとり、決着を図ろうとした。

　マクウォリー総督が植民地を去ったあと、ブリスベン、ダーリングの両総督の時代に刑期満了の囚人や仮赦免囚に対し厳しい施策が採用され、彼らの要求の一部は、認められるようになった。しかし、1836年、もともと劣悪な社会的地位にあるとされていたエマンシピストが、その地位を一挙に解消せよという要求を出すに及び、イクスクルーシヴズはロンドンへの請願行動を緊急に行った。

　立法評議会議員の席は本来イクスクルーシヴズの指定席であったが、これに対してエマンシピストは権利の拡張を主張した。イクスクルーシヴズは、植民地は後進的であるとか、部分的には堕落した社会であるという表現を使った。また植民地の諸機関にエマンシピストが参入するのを妨害するために、植民地は英国人の権利を持つに値しないとの主張を行った。

　立法評議会の選挙権を拡大するという1842年の憲法により、エマンシピストの一部は、イクスクルーシヴズと共通の利益を確立した、すなわち植民地の中に育ってきた急進的な勢力に対抗してイクスクルーシヴズと連携するものも出てきた。彼らは「トーリー」と呼ばれる保守派をオーストラリア社会の中に形成した。イクスクルーシヴズは、初期にはイクスクルージョニストと呼ばれることも多かった。　

　安井倫子00