オーストラリア辞典
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George,Henry

ジョージ、ヘンリー


1839-1897
フィラデルフィア、アメリカ生まれ。
政治経済学者


 フィラデルフィア生まれ。19世紀後半、特に1879年の『進歩と貧困』の出版以来、政治経済学者として、世界中の著名人を惹きつけた。土地と税制に関する見解、特に土地から得る「単一税」が公平かつ公正な社会を維持するために十分であるとする主張は、オーストラリアにおける彼に対する関心を高めた。

 1840年代以来、オーストラリアで社会問題の中核をなしていた土地問題に、ジョージが再び火をつけることになった。そこで、シドニーで1887年に設立された土地国有化連盟Land Nationalisation Leagueは、1890年に彼をオーストラリアへ招いた。ただし、この組織は、1889年に単一税連盟Single Tax Leagueと名称を変えていた。

 彼は、東部の3つの主要植民地と南オーストラリアを回り、政治信念を説き、多くの聴衆を集めた。というのも、ジョージが単一税の立場ゆえに、熱心な自由貿易主義者であり、しかも私的土地所有に反対していたからである。しかし、オーストラリアでの彼の主張は、単純に人々に受け入れられたわけではなかった。自由貿易擁護は、富裕な階級に訴えるものがあったが、その土地に関する主張は彼らの疑念を呼びおこした。労働運動は、単一税に関する彼の主張を喜んで受け入れたが、彼の社会主義と組合運動に対する敵意は、労働者がその支持者となることをためらわせた。

 ジョージの主張は社会政策となるというよりは、むしろ主として討論そのものを活発化させるだけに終わった。

 遠藤貴弘0701