イギリスからオーストラリアへの囚人輸送が行われていた時期の囚人convictsの通称。コンヴィクトという表現に対して、囚人たちは自らの呼称として「政府の人間」という間接的な呼称を好み、これが植民地では一般化した。

　囚人輸送は、17世紀から1868年までイギリスの刑罰のひとつとして行われていた。オーストラリアへは、1788年から1868年の間に、約161,700人（うち25,000人が女性）が送られた。その4分の3がイングランド、スコットランド、ウェールズからで、4分の1弱がアイルランド、残りが他のイギリス植民地からであった。最も多い犯罪は窃盗で、約1,000人が政治犯であった。囚人の約半数はニューサウスウェールズに送られた。初期植民地では、囚人はほとんど公共事業に使われたが、1820、30年代になると入植者への割り当て制度が広まった。1840年代から1850年代初頭にはさまざまな形で囚人がオーストラリアに送られた。

　山崎雅子・藤川隆男0103