オーストラリア辞典
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Maritime Strike

海運ストライキ


 19世紀オーストラリアにおけるオーストラリア最大のストライキ。1890年の8月から11月にわたるこのストライキの後、数年間植民地でストライキが相次いで起こることになる。海運ストライキという名称にも係わらず、実際には、最初の海運関係のストライキだけでなく、その後の一連のストライキも含む一種のゼネストであった。

 最初は航海士組合のストライキであったが、他の海運関係の労働組合も参加し、石炭産業、羊毛産業などでもストライキが行われ、各地で約5万人がストライキに加わった。しかし、ニューサウスウェールズやクィーンズランド、西オーストラリアでは、ストライキを破るために警察や軍隊が動員され、労働組合は全て敗北し、消滅する組合もあった。

 ストライキにおいて、労働者は労働組合主義とクローズドショップのために闘い、雇用主は労働者を自由に選べる「契約の自由」を主張して闘った。海運ストライキは、一般的に労働史の転換点とみなされてきた。これに対してニューレフトの反論もあったが、海運ストライキの敗北がオーストラリア労働党の結成に大きな影響を与えたことだけは間違いない。

 新村祐規0401