西オーストラリア南西部を流れる川。1836年に川に到達したジョージ・フレッチャー・モーGeorge Fletcher Mooreにちなんで名づけられた。河口はパースの北80キロに位置し、その周辺はモー川国定公園となっている。かつてこの地域に居住していたのはYuat、あるいはより広域的にはニュンガーのアボリジナルであった。

　第1次世界大戦中にここにアボリジナル居留地が指定された。当初、ここでは援助・保護を必要とする南西部のアボリジナルだけを受け入れる予定であったが、非行や違法行為を口実として、実際には州全体からの受け入れを実施した。1918年から1950年の間に北部のアボリジナルが多数ここに移送された。

　しかし、様々な地域から送り込まれたアボリジナルには、共通の文化的基盤はなく、人々は混乱し、訓練が施されることはほとんどなかった。また、医療も整っておらず、食生活も貧しかった。保護施設とは名ばかりで、実際には監獄に等しかった。第2次世界大戦後状況は徐々に改善され、アボリジナルの手に管理権が移った。ジャック・デイヴィスJack DavisがKullarkの中でこの居留地を詳しく描写している。

　新村祐規・藤川隆男0403