正式名称はthe Australian National Federation、ときにthe National Partyとも呼ばれる。第1次世界大戦中に結成されたオーストラリアの政党。地方党が改称した現在の国民党とは異なるので、注意する必要がある。

　1917年7月に、徴兵制導入をめぐって生じた労働党の分裂に伴い、労働党を離脱したヒューズ首相率いる国民労働党と自由党が合同して結成された。国民労働党の党首で首相でもあるW.M.ヒューズがその中心となり、戦争の準備と遂行を第1の目的とした。1917年5月の総選挙において両院で過半数を確保した。徴兵制導入の是非をめぐる国民投票では敗れたものの政権は維持し、1919年の選挙でも勝利した。しかし、国民党政府は内部抗争やスキャンダルに悩まされ続けた。ヒューズは戦時中リーダーシップを発揮したが、戦争が終わるとその政治姿勢や労働党との関係が問題となった。1922年の総選挙に敗北すると、政権維持には地方党の協力が不可欠となり、その圧力によって1923年にヒューズは辞任し、ブルースが首相・党首を引き継いだ。その後1929年まで、地方党との連立政権ブルース=ペイジ内閣が続いた。ブルース政権は「人、資本、市場」を標語とした政策を推進したが、1929年の総選挙で国民党は労働党に惨敗した。ブルースは辞任し、労働党に政権を明け渡した。再起を期す国民党は、2年後の1931年に、労働党を離脱したJ.A.ライオンズのグループと組んで統一オーストラリア党結成し、政権を奪還することになる。

　三木一太朗00