スコットランド人技師クリフォード・Ｈ・ダグラスによって提出された経済改革理論。ダグラス・クレジットとも称される。ダグラスの思想は1920年代にオーストラリアで普及していたが、それらは大恐慌まで影響力をもたなかった。ソーシャル・クレジット系の組織は、1930年代から形成されはじめる。『新世代』New Era、『自由』Freedom（のちの『新経済』New Economics）、『新時代』New Times、『新世界』New Worldなどのソーシャル・クレジット系新聞が発刊された。ダグラス自身は1934年にオーストラリアを訪れている。ダグラス・クレジット党などのソーシャル・クレジット系政治団体も結成された。しかし、正式なソーシャル・クレジット系の候補者が議会選挙に当選することはなかった。ソーシャル・クレジット運動は1940年までに実質上オーストラリアから姿を消し、その支持者たちは他の組織に糾合されていった。例外はクィーンズランドである。そこでは1960年代まで運動が続けられた。

　松田真00