オーストラリア辞典
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Sudds and Thompson Affair

サッズ=トンプソン事件


 ニューサウスウェールズ総督ラルフ・ダーリングが、兵役を逃れるために故意に犯罪を犯した2人の兵士を再発防止のため見せしめにしようとして論議を呼んだ事件。

 1826年12月7日、ニューサウスウェールズに駐留していた第57連隊に所属していたジョゼフ・サッズとパトリック・トンプソンが、兵役を逃れるために故意にシドニーの商店から布地を盗み、逮捕され、7年の流刑の判決を受けた。ニューサウスウェールズ総督のダーリングは、こうした事件が2度と起こらぬよう見せしめにするために、流刑判決に代えて7年間の重労働の刑を課した。そして、ダーリングは、サッズとトンプソンの2名に鎖をつけたまま人目につく通りなどで労働させるように命令を出した。その命令の5日後、サッズは病院で死亡した。サッズは以前から体の不調を訴えており、ダーリングの命令が彼の死に関係していたわけではないが、『オーストラリアン』紙や『モニター』紙などのマスコミやW.C.ウェントワースをはじめとする、日ごろからダーリングに敵対していた人々は、サッズの死の責任がダーリングにあるとして非難キャンペーンを開始した。それに対してダーリングは、1827年に新聞規制法を可決させ、非難を封じ込めようとした。また同じ年に、トンプソンは、イギリス政府の命令で釈放され、元の部隊に戻った。ダーリングは、イギリスに帰国した後、調査委員会にかけられたが、その結果彼に非のないことが認められた。

 三木一太朗01