オーストラリアの流刑囚のうち善行を行ったものに与えられた許可証である。このチケットによって囚人が自ら仕事を探して移動し、雇用者を選択して賃金のために働き、また個人で居住することが許された。仮赦免状を獲得した囚人たちは強制労働を免れることができたが、規定の刑期を終えるまでは公的な管理下に置かれていた。そのため所定の地域に住み、定期的に警察に報告を行う必要があり、また不当行為に際しては許可証が撤回されることもあった。

　キング総督はこの仮赦免状を自立できる囚人に与えたが、それは政府による囚人への食糧配給の増加を抑えるためでもあった。基本的には情報提供や山賊の逮捕などの、政府に有益な行為への報酬として与えられた。またジェントルマンの囚人には、オーストラリアに到着するとともにこのチケットが与えられることが多かった。

　イギリス本国ではこの仮赦免状が容易に発行されすぎており、流刑制度を無意味にしているという批判が起こった。そのためマクウォリー総督は、チケットの発行資格を得るには最低3年間の服役が必要と規定した。その後、ブリスベン総督はチケットの発行資格を最終的に規定し、それは発行されるまでの服役期間を、7年の流刑囚は4年間、14年の流刑囚は6年間、終身刑と判決された囚人は8年間というものであった。

　この仮赦免状はオーストラリアにおける囚人管理システムの代表的なものとなり、後の執行猶予システムの原型となった。善行に対して与えられるこのチケットは、ムチ打ちの脅威よりも囚人管理に際して効果的であったとされる。　　　　　　　　　　　　　

　菅原潤哉00