オーストラリア辞典
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Tyson, James

タイソン、ジェームズ


1819-1898
ナレランの近郊、ニューサウスウェールズ生まれ。
企業家。


 ニューサウスウェールズに生まれ、オーストラリアで初の百万長者になった人物である。父は自由移民、母は元流刑囚である。

 一時的な徒弟修業などもした後に、牧場の労働者となり、1840年代後半には兄のウィリアムやジョンと共に牧場の経営を始めた。1852年にゴールドラッシュに沸くベンディゴウに牛の群れと共に到着し、食肉販売を始めた。この事業が約8万ポンドの利益を生み、これを利用してジョンとジェームズで3つの牧場の経営者となった。1860年ジョンが死ぬと、ジェームズはその遺産を継承し、牧場経営の規模の拡大に乗り出した。1898年までに約35万エーカーの土地を所有し、500万エーカー以上の牧場を保有する大富豪となった。その牧場はヴィクトリアからニューサウスウェールズ、クィーンズランドにまたがって存在した。この他サトウキビ・プランテーションやブリスベンなどの都市の不動産にも投資していた。

 1893年から98年まではクィーンズランドの立法評議会の議員であったが、ほとんど議会活動することはなかった。

 彼の生涯については、富や能率、その吝嗇さに関する伝説が生まれ、『ブレティン』誌は「ハングリー・タイソン」とあだ名をつけた。独身であり、しかも遺言を残すことなく死亡した。そのため、相続争いが起こり、200万ポンドに達する遺産は長い法廷闘争の後に分割された。

 遠藤貴弘1201