オーストラリア辞典
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Uniform taxation

統一課税


 1942年からオーストラリアで施行されている個人所得税、法人税の課税方式の一般的な呼び方。このシステムの下で、連邦は所得税の分野で事実上の独占権を握った。

 各植民地(州)政府は1884年から1902年の間に所得税を導入し、連邦政府は、第1次世界大戦中の1915年に導入した。この所得税は1942年まで徴収されたが、各州で税率は異なっていた。しかし1942年カーティン労働党政府のとき、戦時立法として統一課税が導入された。この法律は、州の所得税担当部局の連邦への移行、従来の連邦と州の所得税を合わせたよりも高いレベルでの課税、連邦への所得税収納の優先権の賦与、所得税を課さない州への連邦からの税の一部の払い戻しを規定していた。これによって州は事実上、所得税を課すことができなくなったのである。南オーストラリア、ヴィクトリア、クィーンズランド、西オーストラリアは、1942年に連邦最高裁でその法的効力に挑戦したが、その効力は認められ、徴税機関の譲渡のみが戦時の特別権に依存するとされた。ヴィクトリアとニューサウスウェールズは1957年にも最高裁にこの制度の非合法性を訴えたが、優先事項を除いて法の効力が認められた。現在、各州がそれぞれの所得税を徴収できるようにするべきとの提案もあるが、連邦の独占状態は続いている。統一課税の導入は、財政面における連邦の力を大きく拡大したと言える。

 山崎雅子1101