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 「ドリーミングには幾つかの意味があります」ガイドの男は答えた。「一つはある部族の神話上の祖先です。たとえばワラビーというドリーミングを持っている部族にとって、ワラビーとは自分たちの部族の始祖なのです」
 「ワラビーって、動物の? 」アキの母親が口を挟んだ。
 「いいえ、この場合のワラビーはドリーミングとしてのワラビー、彼らの神話的な祖先のことです。この祖先が、動物のワラビーと彼らを創造したのです。彼らと動物のワラビーは、ともに始祖ワラビーの末裔ということになります。本文P188 l8
壁画

From Fujikawa

ドリーミングの意味については、藤川隆男編『オーストラリアの歴史』のp15のコラムを読んでみてね。国立民族学博物館の松山先生が解説しているよ。松山先生は一見アボリジナルのような風貌をしている先生だよ。

ところで「部族」という言葉を使うのはあまり感心しないね。ウールルー(エアーズロック)周辺の先住民は言語集団には属しているけれど、それが部族というような単位をつくっているわけではないんだ。ヨーロッパ人の思い込みの産物さ。それに部族という言葉自体も、文明化していないとされた集団に対する差別語だと思うよ。

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