研究室だより(2003.3〜)

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■ソフトボール練習(2003.6.30)

 6月から始まった毎週日曜日のソフトボール練習。この日も,時折小雨がぱらつく悪天候であったが,多くのメンバーが集まった。 練習は森安総監督の指導のもと,いつもの守備・打撃練習に加え,内角打ち・前後左右にダッシュしてキャッチする振り子ノックといった特別メニューが組み込まれた。非常にハードな内容ではあったが,一つ一つの練習を確実にこなすナインの姿は,頼もしい限りである。特にレギュラー組の動きは軽快で,主将も「不安材料は一切ない!!」と豪語する。  今の東洋史ナインに,「油断」という言葉は存在しない。しかし,連覇を成し遂げるために敢えて言おう。「連覇を達成するには, 前回以上の戦力が必要である」と。個々が自覚を持って,今後も気を抜かずに邁進してほしい。

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■第一回修士論文中間報告(03.6.12-19.)

 6月12日と19日の合同演習で,第一回の修士論文中間報告が行われた。今年の修論執筆予定者は4人であり,各々修論の全体構想や研究の一部を披露し,質問やアドバイスを受けていた。一月の論文提出まで,力の限り戦い抜いてほしい。各発表者とその発表題目は以下の通り。

  宅見有子 「契丹前期における皇后・皇太后の政治関与」
  山本明志 「13・14世紀におけるチベット人の大元ウルス進出─臨洮の検討を中心に─」
  田村健 「ハザルにおける二重王権─カガン・ベク・シャド号についての考察─」
  田先千春 「コータン出土の板絵の "Silk God" について」

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■三回生論文紹介(2003.5.29&6.5)

 5月29日・6月5日の二回にわたり,毎年恒例の論文紹介が行われた。論文紹介とは,学部三回生が個々の興味・関心に従って論文を選定し,その内容紹介や研究史上における位置づけなどを報告するものである。
 三回生にとっては,初めての発表ということもあり,報告中かたさも見られ,また質疑応答に戸惑う場面もあった。
 報告者は今回の発表を足がかりに学術研究の基礎をマスターし,卒業論文の執筆などに備えて欲しい。

○選定論文(発表順)

・久保亨「日中関税協定と一九三〇年関税」『東洋史研究』56-1, 1997年, pp. 127-154.
・中村淳「モンゴル時代の『道仏論争』の実像―クビライの中国支配への道―」『東洋学報』75-3/4, 1994年,pp. 33-63.
・山下将司「唐初における『貞観氏族志』の編纂と「八柱国家」の誕生」『史学雑誌』111-2, 2002年, pp. 136-166.
・内藤みどり「突厥カプガン可汗の北庭攻撃」『東洋学報』76-3/4, 1995年, pp. 27-57.
・小谷仲男「死者の口に貨幣を含ませる習俗」『富山大学人文学部紀要』13,1998年,pp. 1-20.
・前田直典「十世紀時代の九族達靼―蒙古人の蒙古地方の成立―」同『元朝史の研究』東京大学出版会,1973年,東京,pp. 233-263. [初出:『東洋学報』32-1,1948年,pp. 62-91. ]

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■桃木教授,東南アジア史学会で司会(2003.6.1)

 5月31日,6月1日の両日にわたり,東京外国語大学にて第69回東南アジア史学会研究大会が開催された。本学からも教官・院生が複数参加した。2日目午前中のシンポジウムでは本学で毎月開催している海域アジア史研究会のメンバーが中心となって,「東・東南アジア近世海域世界」の成立,を開催し,桃木教授が司会を務めた。

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■森安教授,コレージュ・ド・フランス及びギメ美術館で講演(2003.5.30)

 森安孝夫教授は5月5日〜30日パリに滞在し,コレージュ・ド・フランス及びギメ美術館で講演を行ない,日本の東洋史学の水準の高さを示された。また,コレージュ・ド・フランスでは外国人招待講演者にのみ授与される名誉ある記念メダルを授与された。

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■片山教授、東洋文庫で講演(2003.5.20)

 春期の東洋文庫創立80周年記念講演会が、東洋文庫で「中国地方志・族譜の伝統」というテーマで開催された。5月20日の講演は明清期の珠江デルタ研究の第一人者である,本研究室の片山剛教授が「珠江デルタから考える中国の地域史」という題目で行った。

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■桃木教授,国際東方学者会議で司会(2003.5.16)

 5月16日,東京にて第48回国際東方学者会議(ICES)が開催された。SYMPOSIUMT: ベトナムの東アジア史――中国化と脱中国化(Vietnam’s East Asian History: Sinicization and De-Sinicization)では,桃木教授がChairpersonとして司会進行役を務めた。SARSのため,中国,台湾,アメリカからの参加者がペーパー参加となったのは残念だったが,日本・ベトナムの研究者が,北属期ベトナムに関して最新の成果を引っさげて意見交換を行い,大いに盛り上がった。

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■祝 ソフトボール大会優勝!(2003.5.1)

 感動の瞬間がやって来た!連休の真っ只中に行なわれた文学部院生協議会主催ソフトボール大会で東洋史研究室チームが優勝したのだ。東洋史研究室の優勝12年ぶりであり,ここ一年ほど成績が低迷していただけに感動もひとしお。3試合を投げぬいたエース,4年越しの夢をかなえた主将をはじめ,全員が勝利の喜びをかみしめていた。なお,東洋史優勝への軌跡は『続ソフトボール実録長篇』巻三,二〇〇三年春之条を参照のこと。

 第一試合 対日本語学 7対7(東洋史判定勝ち!?)
 第二試合 対中文国文 6対5(決勝進出)
 第三試合 対哲学  11対6(優勝!!!)
 
優勝を記念して!

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■2003年度 第1回卒業論文相談会(2003.4.28)

 新歓コンパの昂奮も醒めやらぬ4月28日(日),本年度第一回目の卒業論文相談会が行われた。
 この相談会は,本年度,卒業論文を提出する学生に与えられた最初の中間発表の機会である。卒論提出者はこの春の相談会と秋(10月中旬予定)との合計二度の相談会で,研究室一同の前で卒論の作業状況や今後の見通しなどを発表することが義務づけられている。そこでは指導教官をはじめとするメンバー全員によって執筆者それぞれの発表内容について検討が行なわれる。特に第一回目の相談会は、卒論に臨む関心の所在,卒論の全体的な構想,参考文献の把握状況,今後の展開などを検討することに主眼が置かれ,各執筆者にとっては,まとまった作業時間のとられるゴールデンウィークや夏期休業を前に,自分の作業状況を客観的に問われる好機なのである。
 第一回目の今回は,10名がエントリーし,それぞれ30分の時間が与えられた。例年に比べ持ち時間が短縮されていたが,おおむね発表者全員が簡潔に要点を押さえることに心がけ,持ち時間を大幅に超過するものはいなかった。また数日前から院生やお互いのハンドアウトをチェックしあう近年の慣行によってか,おおむね発表形式や体裁は高い水準にあったと言えよう。質疑応答には各自の理解度などが反映されるのであるが,適切な受け答えが出来なかった者は,早急にその点を再点検,検討することが望まれる。今回指摘された事項を未確認,未検討のまま次回の中間発表に望むことはあってはならないのだから。
 相談会終了後,研究室では各発表者と院生との討論が一時間以上にわたり続き,時間の限られた相談会では述べきれなかった,あるいは検討しきれなかった問題が噴出していた。学部生から院生までが集う我が研究室ならではのひとこまであった。
 今回の発表は,いわば卒論執筆の入り口である。来年1月の提出日まで作業は続くのであるが,この発表で得られた成果を取り込んで,卒論に反映させて欲しい。なお,夏期休業中には院生・学部生有志によって自主中間発表会が例年通り企画されているが,ひとりでも多くの学生が「勝負」に臨むことを期待されている。

追記:相談会終了後,T口助手の号令のもと,多くの学生・院生がソフトボール演習へと出かけていった。数日後のソフトボール大会にて先年度の雪辱は果たせるのであろうか?!
 なお,彼らはすっかり暗くなってしまっても帰ってこなかったという。

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■研究室ガイダンス(2003.4.4)

 今年度最初のガイダンスが4/4に行なわれた。
 今年の東洋史研究室の構成は以下の通り。
  教官5名
  助手1名
  サバティカル研究員1名
  学振研究員 2名
  客員研究員 2名
  博士後期課程 15名(内1名 ドイツ留学)
  博士前期課程 12名(内1名 ベトナム留学)
  4回生 16名
  3回生 5名
  2回生 8名

 新たに2回生 8人,学士入学3回生 1人,M1 4名を研究室の新たなメンバーとして迎えた。博士前期課程には4名,博士後期課程に3名の計7名が進学している。
 本年度は非常勤講師として青山亨先生(鹿児島大学)と小牧昌平先生(上智大学)を,またサバティカル研究員として稲田清一先生(甲南大学)お招きしている。

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■平成14年度、卒業式及び学位授与式(03.3.25)

 今年度,阪大東洋史からの修了・卒業生は15名であった。修了・卒業生の氏名は以下の通り(五十音順)。

 ○博士後期課程修了者3名
  ・石川亮太 ・坂尻彰宏 ・林淑美
 ○博士前期課程修了者3名
  ・大坪慶之 ・梶原真  ・鈴木宏節
 ○学部卒業生9名
  ・打越貴子 ・川村力応 ・小林正人 ・濱田啓介 ・伏見真理子 ・細見昌史
  ・山尾拓也 ・山田美由紀 ・吉村奈津

 卒業式は吹田キャンパスの体育館で行なわれた。午前は学部生の卒業式が,午後には博士前期・後期修了生の学位授与式が行われた。当日は卒業生の前途を祝すかのような曇天であり,学位授与式が終了して暫くすると,激しいにわか雨にも見舞われ,踏んだり蹴ったりであった。
 例年,式終了後,東洋史の卒業生・修了生は研究室に戻ってきて,茶話会を開くことになっている。ここ数年,少子化のあおりを受けて(?),卒業生がほとんどいない茶話会がしめやかに行なわれていたが,今年度は研究室の一室に入りきらないほどの多くの人数が集まり,盛り上がりのある会となったのである。とりわけ,就職して研究室を後にする者は指導教官に長年の指導の感謝を込めて花束を手渡したり,記念の写真を撮ったりと,別れを惜しむ涙ぐましい場面も見られた。その一方で,ネクタイを頭に巻き,場に水をさした者がいたことを特記しておこう。
 卒業生・修了生の進路は様々であるが,各々の場でのこれからの活躍を期待したい。

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■研究室図書インスペクション(2003.3.5-7)

 3月5〜7日の三日間,恒例のインスペクションが行われた。インスペクションとは阪大東洋史研究室が独自に行っている蔵書整理であり,研究室備え付けの図書カードと研究室に配架されている図書現物とを実際に対照させ,登録された図書と書名カードが遺漏なく存在するか等を調査する年度末の一大行事である(過去の研究室便りも参照されたい)。
今年度は,大きく和漢書・洋書・共通教育・地図の4班に分かれて,それぞれ作業を行なった。人員の多くが投入される和漢書のインスペクションは,ここ数年の蔵書量の増大に伴なって作業は難航した。 指揮をとる院生はわずか三日間という作業時間と膨大な作業量を前に絶望感を募らせるかと思いきや,その並々ならぬ使命感のために人格を豹変させてまでも任務を遂行した。一方洋書班は順調に作業を進め,ここ数年の不明本を数多く発見・照合するという大きな成果を残した。また,昨年に引き続き地図整理のために特別部隊が編成され,目録作りが行われた。この地図類の中には現在では入手不可能な貴重なものも多く,今後の研究に大きく資するであろう。
インスペクションとは,精確かつ迅速な作業が求められる過酷なものである。そのため, 今年度も院生の怒号飛び交う張り詰めた緊張感の中で行われた。院生と学部生との間には上下関係を無視した言葉の使用も許されており,特に作業の難航した和漢書班が作業を行なった研究室は,まさに仁義無き世界であった。院生と一部の学部生の気迫に,多くの学部生が圧倒され恐怖さえ覚えたことであろう。しかし,それがインスペクションの本来の姿である。 そのことを心に留め, 来年の作業につなげてもらいたい。

 最終日はインスペクション終了後に,これまた恒例の追い出しコンパが構内の待兼山会館で開催された。各卒業・修了生は別れの挨拶として,研究室での思い出や学んだことなどを思いのままに語った。卒業生各位の今後の活躍を祈るばかりである。なお,進学して大学に残る者は,院生としての自覚を持ち,今後更なる精進を期待したい。

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■坂尻(学振)・佐藤(D3)・赤木(D1),海外調査へ(2003.2.1-3.13)

 本研究室の坂尻彰宏(学振特別研究員)・佐藤貴保(D3)・赤木崇敏(D1)が,21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」の一環として,海外研究機関に所蔵される中央アジア出土文書の調査を行なった。

  坂尻彰宏 2/22〜3/13 フランス国立図書館……敦煌文献の調査
  佐藤貴保 2/20〜3/12 ロシア科学アカデミー東方学研究所……西夏文書の調査 
  赤木崇敏 2/ 1〜2/22 大英図書館……敦煌文献の調査
          2/23〜3/13 フランス国立図書館……敦煌文献の調査

 今回の調査成果は,年度末のCOE報告書にてまとめられる予定である。

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大阪大学大学院・文学研究科・東洋史学研究室