『續ソフトボール實録長編』卷四,二〇〇七年春之條

 

○第一試合(対日本史学戦)

 

1

2

3

4

5

6

7

日本史学

0

0

3

1

0

0

2

6

東洋史学

1

2

3

5

0

0

×

11

 

 初戦の相手はK泊助教率いる宿敵・日本史.近年,強力打線を看板に東洋史の前に立ちはだかり,昨秋のじゃんけんによる敗北など,ここ3年で54敗という相性の悪さである.初回,先攻の東洋史は一番・Y本(一)がラッキーなツーベースヒットで出塁するも,二番・三番がフライアウトになる不穏な展開.しかしこの状況を打破したのは我らが番長,今季から四番に座るO谷の先制タイムリーであった.その後も新戦力のT田,ベテランS木(K)を中心に中軸・下位打線で得点を重ね,調子がさっぱり上がらず凡打の山を築く上位打線の不振を感じさせなかった.守っては帰ってきたエース山Oが,日本史の強力打線を相手に打たせて取るピッチング.野手陣も期待に応え,ヒットは許すものの要所を締めて日本史に大量点を与えない.4回裏に5点を奪って試合の趨勢を決め,最後は強烈な打球がファースト・O谷のミットに収まりゲームセット.昨秋の雪辱を果たす完全な勝利であった.

 

 

第二試合(対日本語学戦)   ※「+」得点は女性点

 

1

2

3

4

5

6

7

日本語学

0

0

0

0

0

2

0

2+4

東洋史学

2

4

0

0

2

3

×

11

 

 二戦目の相手は日本語学.この試合に勝利すれば決勝進出であるが,最初から女性点4点のハンディを負う試合となった.相手の速球投手に対して,調子を取り戻した(かもしれない)O坪,絶好調T辺4打数4安打),さらに初出場M原らの活躍で初回から得点を重ね,一気にリードを奪った.一方,この試合先発のS藤には,いかに相手の女性陣を打ち取り打線を分断するかが求められた.ところがその女性陣の予想以上に狭いストライクゾーンに苦しみ,六球(四球)などでランナーが溜まり,一打大量失点のピンチがたびたびおとずれる.しかし再三のピンチをショートI藤・キャッチャーY本(1)の息の合ったホームゲッツーや,レフトT辺の的確な打球処理など,守備陣の好守によって切り抜ける.終盤にO坪・T田のホームランでダメを押すという理想の試合展開で決勝進出を決めた.終わってみれば先発S藤は72失点の完投勝利であった.

 

 

○決勝戦(対国文学戦)   ※「+」得点は女性点

 

1

2

3

4

5

6

7

東洋史学

5

0

0

1

0

0

0

6

国文学

0

2

0

0

2

0

0

4+1

 

 決勝戦に進んだ東洋史に立ちはだかるのは国文学の剛速球投手,赤い彗星.相変わらず速い,と思ったら全く不可解なことに(それともなめられたのか)初回は手抜きの投球.となればここぞとばかりに奮起した東洋史打線が猛攻を浴びせ,打者一巡で一挙5を奪う.このリードを粘りのピッチングをみせるエース山Oを中心に守備陣が守り抜く.毎回ランナーを背負う苦しい展開ながらも,Y本(1)・I藤の急造二遊間,レフトT辺が再三の好守で山Oを盛り立て,じわりじわりと点差を詰める相手の強力打線に大量点を許さない.4回表には山O自らがタイムリーを放って貴重な追加点を挙げ,優勝をぐっと引き寄せる.最終回も一打逆転サヨナラの大ピンチをしのぎきり,最後はY本(1)がグラブからこぼしそうになりながらも何とか放さずにウイニングボールをキャッチ,36季ぶりの優勝を,文字通り掴み取ったのである.

 

 本来攻撃の核となるべき上位打線が全く機能しないという予想だにしなかった状況下で優勝を掴み取ったのは,エースY尾の丁寧なピッチングと日頃の訓練の成果を最大限に発揮してY尾を盛り立てた守備陣,さらには中軸・下位打線の繋がりのおかげである.選手はもちろんベンチで声援を送り続けた者,さらには遠く勝利を祈り続けた者も含め,まさに東洋史がチーム一丸となって掴み取った優勝であったと言えるだろう.

 

 

○祝勝会

 試合後,東洋史研究室で祝勝会が行われた.残念ながら総監督である森安先生のご臨席はならなかったが,久しぶりの優勝の喜びを皆で分かち合った.しかし驕ってはいけない.就任後初優勝を飾った主将I藤には自らの打撃不振の解消とともに,毎年主力の引退と高齢化に悩まされるチームの改革に向けて,戦力の底上げと新人の発掘という課題が課されるのである.また各人にはさらなるレベルアップと永遠の課題である体力強化が求められる.そして未だ達成したことのない連覇,さらには東洋史黄金時代を目指し,研鑽を続けていかなければならない.

(なお,毎回恒例であった起居注官による成績発表/戦評は起居注の紛失という事態により見送られた.MVPは山O,新人王はM原が受賞した.後日発見された起居注によれば,首位打者は山O(.625),打点王はO坪(7),最高出塁率はT辺(.667)である)

 

 

〈打撃志〉   赤字は一位青字は二位

 

 

成績

打率

出塁率

打点

Y本(1)

14打数4安打

.286

.357

1

O坪

12打数6安打

.500

.615

7

I藤

13打数3安打

.231

.462

1

O谷

12打数6安打

.500

.583

3

T辺

12打数7安打

.583

.667

3

山O

8打数5安打

.625

.625

3

T田

9打数3安打

.333

.500

5

K川

3打数2安打

.667

.667

1

S木(K)

6打数3安打

.500

.500

3

M原

8打数3安打

.375

.444

0

3木

7打数1安打

.143

.286

0

S藤

4打数0安打

.000

.000

0

U川

0打数0安打

―――

1.000

0

全体

108打数43安打

.398

.500

27

 

 

〈選手伝〉

Y本(1)(D2 和泉の人.不動の1番,遊撃手.前回大会で左打ちを極めたかに思われたが,今回はフライを打ち上げるシーンが目立った.しかし決勝戦では初回の大量五点の口火を切るなど,ここ一番での出塁が多く,東洋史に不可欠の切り込み隊長となった.守備では本職の遊撃手以外にも捕手,二塁手をこなし鉄壁の内野陣の中核を担った.その守備範囲の広さにより,二塁手へのコンバートも考えられている.

 

O坪(D5         近江の満洲人.2番,中堅手.東洋史の「ソフトボール衙門大臣」兼「ジェネラルマネージャー」として今回もフル出場を果たす.その権力を笠に着て起居注官に記録の改竄を強要するという大罪を犯すも,チームトップの7打点を上げたことで不問に付される.不振のように見えてもちゃっかり結果を残すあたりがにくい.しかしながら同期のS木(K)から守備範囲が狭くなったと言われるなど,衰えも見える.次回に向けて日々鍛錬を積み,過去の輝きを取り戻して欲しい.

 

I藤(M1         大和の人.三塁手.東洋史ソフトボール部主将.今季より文院協役員となりいよいよ実権を掌握する.三塁手・遊撃手をこなし,再三の好守で投手を盛り立てる鉄壁の守備陣の要であるが,極度の打撃不振に陥り,打てない上位打線の象徴ともなった.主将就任三年目で優勝を飾ったものの,常に自らの進退を賭けるつもりで今後もチームを引っ張っていって欲しい.なお,前回4戦全敗であったじゃんけんは,今回31勝であった.まだまだ修行が足りないであろう.目指せ全勝.

 

O谷(M1         言わずと知れた東洋史の番長.4番,一塁手.今季より4番に座り,その打棒を見せつける.嫌な空気を一振りで振り払う打撃はまさに4番の仕事.東洋史自慢の鉄壁の内野陣を支えるのは,彼が全ての送球を受け止めてくれるという絶対の信頼感である.彼がチームに与える安心感は計り知れず,チームの精神的主柱である.祝勝会では打撃不振の主将I藤に苦言を呈し,その奮起を促した.

 

T辺(M2         武蔵の西域胡人.5番,左翼手.東洋史の成長株.右翼手から左翼手にコンバートされるも,練習の成果を最大限に発揮し,守備も打撃も大活躍.守っては縦横無尽に駆け回り,レフトに上がった飛球をことごとくキャッチし,投手を大いに盛り立てる.打ってもチーム二位の打率を残し,安打数,出塁率はチームトップである.皆も彼を見習って大いに練習に励んで欲しい.練習量は嘘をつかないのである.

 

山O(???          和泉のモンゴル人.帰ってきた大エース,優勝請負人今回三年ぶりの参戦となるも,そのコーナーを丁寧に突き緩急自在の投球術は健在.日本史・国文学の強力打線を相手に粘り強く打たせて取るピッチングを展開.打撃でも好調を維持し,決勝では国文の赤い彗星を相手に4打数4安打とカモにした.首位打者を獲得し,満場一致でMVPにも選出される.いつでも帰って来てください.

 

T田(D1         越中のインドネシア人.7番,三塁手.今季,岡山大学より移籍.彼の加入により内野陣が一層磐石となった.打撃面でも本塁打を放つなど大きな戦力となり,初参加にして優勝に貢献.今後さらなる活躍を期待されるが,健康を維持してチームの中核を担っていって欲しい.

 

K川(4            摂津の人.8番,二塁手.日頃の練習の成果で守備が大いにレベルアップ.後方に飛んだ飛球を見事にキャッチするなど,随所に光るプレーを魅せる.一試合の出場にとどまるも,2安打を放ち打撃でも活躍.次回は送球を磨き,レギュラー獲りを狙って欲しい.

 

S木(K)(D5 參洲は加茂の突厥人.9番,捕手.学部生の3木の台頭やチーム事情により出場機会は減ったものの,その俊足巧打は健在.依然として高い出塁率を誇る.今回はバント戦法に加えて流し打ちも披露.常に大声を出してチームを鼓舞してくれる貴重な存在.本人は世代交代を切望するも,これがあるから代えられない.

 

M原(4            摂津の人.右翼手.腰痛を抱えていたため出場を見合わせていたが,今季ついに初出場を果たす.東洋史唯一の現役スポーツマン.その類稀なセンスと俊足を武器に一気にレギュラーを奪取.敵も味方も落ちたと思う飛球をいち早く落下点に到達してことごとくキャッチ.打撃でも俊足を生かし高い出塁率を残し,見事新人王を獲得.次回は中堅手の座を虎視眈々と狙っている.くれぐれも腰に気をつけてください.

 

3木(3            播磨の人.二塁手.昨秋巧打を魅せて華々しいデビューを飾り新人王を獲得するも,今季は打撃不振に.決勝戦では途中から出場するも赤い彗星相手に2三振を喫し,早くも次回大会での雪辱を誓っている.内外野ともにこなせる貴重な戦力だけに,復調して次回に望んで欲しい.

 

S藤(D1         武蔵の突厥人.投手.二試合目に先発.相手の女性陣に意外と苦しめられるも,72失点で見事完投勝利をあげる.投球に神経を使いすぎたため打撃では調子が出ず,相手の好守にも阻まれる不運もあった.今回山Oの投球術を目の当たりにしたことで,多くのことを学んだであろう.次回,この経験を大いに生かしてくれるだろう.

 

U川(???          肥後の人.謎の商社マン.昨年に続き応援に駆けつけ,ベンチから爽やかな声援を送る.打撃不振の後輩・伊藤を激励して奮起を促すも効果は無かった.決勝戦の最終回代打で登場し赤い彗星と因縁の対決が実現するも結果は六球.その裏二塁の守備につきいきなり失策と,周囲を驚かせるも事なきを得た.いまだ健在の「東洋史のプリンス」と呼ばれた彼の爽やかさに触れたものは幸せである.

 

〈応援伝〉 たびたびの買出しありがとうございました.

I野(4            摂津の人.昨年に続いて応援に駆けつけてくれた.今季より応援団のリーダーに(勝手に)任命される.今回出場はならなかったが,貴重な左利きの戦力としてひそかに期待されている.

 

S木(R)(3   三河の人.今回初観戦.初参加で優勝の瞬間を目撃する幸運の持ち主.新たな勝利の女神の誕生であろうか.次回以降も応援に駆けつけ,東洋史に勝利をもたらして欲しい.

 

〈図録:それぞれのおひるやすみ〉

 

 

 

 

 

 

↑番長の御昼寝

 

 

 

 

 

 

↑投球練習

 

 

 

 

 

 

↑仲良くお昼ご飯