研究室だより (2009.4.〜9.)
目次

東洋史学研究室ほか 文学部棟へ帰還 (09.9.9-18)
撤収作業@イ号館
半年間お世話になったイ号館からの撤収作業
工事が終わり、荷物が搬入された新研究室
運用が始まった新研究室
(書籍配置の指示書きなどが書架に残る)

 耐震補強工事に伴い、イ号館・文系総合研究棟へ一時移転していた東洋史学研究室および各教授室が、およそ半年ぶりに元の場所へと帰還することとなった。2度目の移転作業は、日程的に少々厳しいものであったが、各員の協力とチームワークにより、ほぼ予定通りに完了した。

 改装後の室内は補強工事の影響により、主に書架を立てる位置などに制限が生じ、以前と全く同じ配置をするということは叶わなかった。そのため研究室は書架の大幅な配置転換が必要となった。

 研究室の各員にあっては、新たに生まれ変わった研究室を積極的に利用し、より使いやすいものへと整えていってほしい。(I.Y.)


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坂尻助教、国際敦煌学研討会にて研究報告 (09.9.3-5)
発表中の坂尻助教
発表中の坂尻助教

 9月3日〜5日に、ロシア・サンクトペテルブルクにて国際敦煌学研討会が開かれ、坂尻彰宏助教が研究報告を行った。"The Relationship between Upland Nomads and Oasis Sedentary People as seen from Dunhuang Manuscripts"と題された本報告は、山地遊牧民とオアシス定住民の共生関係について論じたものである。世界中から80人近い敦煌学研究者が参加した本学会には、研究室OB・OGの松井太(弘前大学・准教授)、笠井幸代(BBAW・研究員)、赤木崇敏(神戸市外国語大学・客員研究員)も参加・報告を行った。本学会のProceedingsは来年刊行予定。また、第二回大会が数年後にパリで開催される計画である。(A.T.)


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ベトナム調査 (09.9.1-23)

 9月1日から23日にかけて,桃木至朗教授がベトナムにて中・近世の遺跡と史料との調査を行った。調査には蓮田隆志(本研究室OB・現京都大学東南アジア研究所研究員),大谷昇平(M2),元廣ちひろ(学部3年)が同行した。

 調査の,前半はバクニン省・バクザン省・タイグエン省を巡り,李朝期・陳朝期の政治拠点跡や地元の博物館を訪れ,多くの碑文や古文書を見ることができた。また,地形や景観も観察することができた。後半は首都ハノイにある漢喃研究院などで資料収集を行った。

  9月22日には日本ベトナム友好協会大阪府連合会の結成50周年記念旅行団と合流し,桃木教授の案内でタンロン遺跡を見学後,ハノイ国家大学で日本語を学んでいるベトナム人学生との交流会に参加した。

 なお,調査中には,訪問先の関係者各位から多大なご協力を頂いた。(M.C.)


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台湾調査 (09.8.30-9.6)

 片山剛教授が台湾において学術調査を行った。本研究室からは大坪慶之(招へい研究員)が参加した。

 今回の調査は、昨年度に終了した科学研究費補助金(基盤研究A)「1930年代広東省土地調査冊の整理・分析と活用」における研究プロジェクトの成果を発展・深化させことを目的としたものである。また、片山教授は期間中に、中央研究院近代史研究所にて講演され、昨年度までの研究成果について台湾の研究者と活発な議論を交わされた。(O.Y.)


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国際シンポジウム「現代『中国』の社会変容と東アジアの新環境」 (09.8.25-26)

 大阪大学の現代中国研究に関する部局横断的ネットワーク「中国文化フォーラム」と、南開大学歴史学院・東華大学歴史系の共催による国際シンポジウムが、JICA大阪にて開かれた(報告言語は中国語)。

 シンポジウムでは、本研究室の片山剛教授が、「共通論題:近代の変容と伝統の継続」で座長を務め、「自然の領有における階層構造:字の世界と一筆耕地の世界」と題する報告を行った。また大坪慶之(招へい研究員)が、分科会にて「垂簾聴政期、清朝中央の政策決定過程における召見・上奏・廷議」と題して発表した。

 本シンポジウムの成果は、論文集として2011年に中国で出版される予定である。(O.Y.)


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宋代史研究会夏合宿&にんぷろ法文化班研究会 (09.8.22-25)

 8月22日から24日にかけて、長野県戸隠・越志旅館にて第35回宋代史研究会夏合宿が行われた。本年度は大阪大学が幹事校であり、本研究室の青木敦准教授を中心に、伊藤一馬(東洋史・博士後期課程)・田由甲・横山博俊・西田祐子・旗手瞳(以上、東洋史・博士前期課程)・中村翼(日本史・博士前期課程)がスタッフとして運営に尽力した。本合宿では日本・台湾の若手研究者の報告4本のほか、「宋人の生真面目さについて」と題する座談会も企画され、主催者の青木准教授のほか、濱島敦俊名誉教授や浅見洋二准教授(大阪大学・中国文学)も報告し、活況を呈した。

 続いて25日には東京・国士舘大学で青木准教授主催のにんぷろ法文化班の研究会「《伝統中国の法と秩序》学術討論会」が行われ、伊藤・田・横山が参加・報告を行った。伊藤は修士論文提出後の研究成果を、田・横山は各自の修士論文へ向けた研究内容の一部を報告した。参加者からの忌憚のない意見やアドバイスを受けて活発な議論が展開され、三名にとっては非常に有益なものとなったことであろう。(I.K.)

(報告題目)

にんぷろ法文化班研究会:伊藤 にんぷろ法文化班研究会:田 にんぷろ法文化班研究会:横山
発表中の伊藤(左)・田(中央右)・横山(右)

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前期集中講義 (09.7.30-8.4)
講義中の稲田先生
講義中の稲田先生

 7月30日から8月4日にかけて,甲南大学から稲田清一先生をお招きして前期の集中講義が行われた。「清代中国の市鎮社会と地域リーダー」と題された本講義は,鎮董と呼ばれる地域エリートが果たした役割、およびその行動範囲や影響力についての考察を中心とするものであった。また講義は,先生の学生時代の思い出や調査の際の実体験も交えて進められた。(M.M.)


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卒論裏相談会 (09.7.29)

 毎年恒例の卒論裏相談会が開催された。今年は4回生の1名が練り上げてきた卒業論文の構想と成果を発表した。出席者からは、問題設定から史料の解釈、細かい語句、そして今後の展望にいたるまで、幅広く忌憚の無い意見や質問が寄せられた。学部生にとって卒業論文執筆はそれまでの勉学の集大成であると同時に関門でもある。関門を無事に突破するために、4回生は今後も周囲の助力を受けつつ、努力を重ねていって欲しい。(T.A.)


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第46回野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会) (09.7.18-20)
発表に臨む伊藤
発表に臨む伊藤

 7月18日から20日にかけて、第46回野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会)が、長野県北部の野尻湖湖畔にて開催され、全国より40名余が参集した。今年も昨年と同じく2泊3日の短期日程であり、この期間中に10名が口頭報告をおこなった。本研究室からは、博士後期課程の齊藤茂雄・伊藤一馬、および同前期課程の石川禎仁・西田祐子・旗手瞳が参加した。

 伊藤は19日午後、「北宋滅亡前後の陝西地域 ――対金、対西夏情勢をめぐって――」と題する報告をおこなった。本報告は、近年図版が公刊され、研究が進められている黒水城(カラホト)出土文書を用い、そこに描かれる陝西地域の軍事情勢から、宋代の軍事体制を解明しようとするものである。貴重な一次史料を用いた伊藤の研究は、フロアからも好評を博した。

 なお、各報告の概要・参加者全員のコンフェッション(近況紹介)の内容については佐藤貴保氏(本研究室OB・新潟大学超域研究機構准教授)の筆により、『東洋学報』の彙報欄に掲載される予定である。(I.Y.)

野尻湖。会期中いまひとつ天候に恵まれなかった。
野尻湖。会期中いまひとつ天候に恵まれなかった。

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満族史研究会で研究発表 (09.7.4)

 7月4日(土)、新型インフルエンザの影響で延期となっていた第24回満族史研究会大会が、大阪大学中之島センターにて開催された。

 本研究室からは招へい研究員の大坪慶之が参加、研究報告を行った。論題は「清末垂簾聴政における皇太后と親王―降旨の手続きを中心に―」であった。質疑応答の時間では、近年著しい進展を見せる清朝史研究の専門家との間で活発な議論が交わされ、報告者にとっても大変有意義なものとなった。(O.Y.)


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新見まどか(現・本研究室M1)、平成20年度文学部賞受賞

 本研究室の新見まどかが平成20年度文学部賞を受賞した。本賞は平成19年度に設けられ、毎年度の卒業生5名が受賞するもので、東洋史研究室からは初受賞である。新見は、九世紀の新羅商人の活動をテーマとする卒業論文「唐における新羅商人の活動――九世紀の山東半島を中心として――」を提出し、東北アジア・朝鮮半島周辺に注目して、唐代に展開された陸・海の交易活動について研究している。(I.K.)


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三年生論文紹介 (09.6.11-7.2)

 初夏から梅雨に移り変わる時期、恒例の三年生・新規マスターの論文紹介が、本年も実施された。発表者たちは四週間をかけ報告を行った。

 発表者たちにとっては、はじめて臨む合同演習の発表の場であるが、その多くは事前の準備に見合った成果を見せることができたようである。

 論文紹介はある意味、卒業論文を執筆するためのスタートダッシュに相当する。すでに合同演習の入門講座では、研究を進めるために極めて有用な手引きがコンパクトな形で示されている。短時間で効率よく調べ物ができれば、他の作業に費やせる時間は多くなる。こうした手引きを有効に活用し、ゴール地点である卒業論文執筆に向け、これからも精進を積み重ねて欲しい。(H.H.)

(選定論文)


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卒業論文・修士論文中間報告 (09.5.28-6.4)

 5月28日、6月4日の合同演習で卒業論文と修士論文との中間報告が行われた。

 両中間報告とも、テーマの絞り込み、先行研究の整理、具体的な論点および展望を提示することが求められる。さらに、修士論文中間報告では、史料批判と明確な論理展開に基づいた、よりオリジナリティーのある実証研究を提示することが求められている。

 いずれも口頭報告の終了後、学部二年生から大学院生・教員にいたる参加者から、基本的な語句の説明や概念の定義、論理展開・史料の読解などに関して、多岐にわたる質問・コメントがなされた。時には論理展開の矛盾の指摘や、素朴な(しかし恐ろしい!)質問に対して、発表者が答えに窮する一面も見られた。

 今発表により、今後の作業方針や方向性は固まりつつあるだろう。発表者各自は今発表で得られたアドバイスや問題点なども参考にし、作業を進めて欲しい。(I.K.)

 なお、中間報告の発表題目は以下の通り。


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程美宝教授(中山大学)、大阪大学で講演 (09.6.1)

 6月1日、程美宝教授(中山大学)を招いて、"Classifying Peoples: Ethnic Politics in Late Qing Native-place Textbooks and Gazetteers"と題する講演が行われた。

 本講演では、清末の清朝中央の学部が、各省や各県で郷土史・郷土地理に関する教科書編纂と郷土志編纂を行わせ、その際に従来の地方志にはない項目として「人類 race」を設けることを規定したこと、各省や県の教科書・郷土志編纂において、そこに居住する者を、「満州旗人、漢族、他種人」の3種類に大別させたことを、広東省の事例を取り上げて述べられた。最大の論点は、いわゆる広東語を話す広東人知識人が、広東人自身については漢族カテゴリーに入れたが、客家語を話す客家人や潮州語を話す潮州人(福佬人)を「他種人」に分類したということ、および自らは漢族と考えている客家人・潮州人の知識人が、かかる広東人の言動に激怒したこと、の2点である。

 講演会には本研究室の片山教授や西洋史の秋田教授をはじめ、東洋史・西洋史の院生が多く参加した。質疑応答の時間では中国近代史を研究している院生が積極的に質問を行い、予定の時間を超えて活発な議論が交わされた。

 また、講演会の後は、程教授を囲んで懇親会が行われ、講演会の内容、会に参加した学生の研究に関することなどが話題となり、非常に盛り上がった。(M.M.)


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アジア世界史学会第1回国際会議 (2009.5.29-31)
摩尼光佛を背景に発表する森安教授
摩尼光佛を背景に発表する森安教授

 5月29日から31日にかけて、大阪大学中之島センターにおいてアジア世界史学会(AAWH: The Asian Association of World Historians) 第1回国際会議が開催された。新型インフルエンザの影響により開催が危ぶまれていたが、予定通り開催され、200人程度の参加者が世界各国から集う盛会となった。

山内氏 向
発表中の山内氏 セッションを主宰した向

 本研究室からは、森安孝夫教授、荒川正晴教授、桃木至朗教授、青木敦准教授、向正樹(特任研究員)が報告者・コメンテーターとして参加し、森安教授は "Pre-modern Global History Reconstructed: New Perspectives from Nomadic and Oasis People"と題する大セッションを、向は "Asian Empires and Maritime Contacts before the Age of Commerce"(「交易の時代」以前のアジアの帝国と海を通した接触)と題するセッションを、桃木教授は"Education and World History: A Comparative Perspective"と題する国際シンポジウムを主催した。

 30日午後に行われた向主催のセッションでは、向および山内晋次氏(本研究室前助教、現・神戸女子大学准教授)の発表が行われた。向報告は、福建の外来商人およびその子孫の活動を分析することにより、従来断代史として捉えられてきた宋・元・明の間に、一定の連続性があるということを明らかにした。山内報告は、博多に関連する文献・考古学資料を通して、11〜13世紀の中国人商人居留地の形成や変容について論じた。このセッションは国内のみならず海外からも多くの研究者が参加する盛況ぶりで、海域を通じた移動や交流に対する関心の高さが窺えた。

各地域の度量衡システムを比較検討する松井氏
各地域の度量衡システムを
比較する松井氏
ソグド人俑を提示する荒川教授
ソグド人俑を提示する荒川教授

 30日夕方に行われた森安教授主催の大セッションでは、森安・荒川両教授と松井太氏(本研究室OB、現・弘前大学准教授)の報告が行われた。森安教授は、これまで仏画と見做されてきた大和文華館所蔵の絵画が、構成要素の考察からマニ教のものであると提示し、南中国における「夷教」の実態について報告した。荒川教授の報告では、ソグド人の、商業のみならず政治・外交・文化など各方面での活発な活動を、主に西突厥・唐との関わりから論じた。松井氏は、通貨および度量衡システムを手がかりに、モンゴル時代のダイナミックな交流の様相を明らかにした。

 31日午後に行われた歴史教育に関する国際シンポジウム(桃木教授主催)では、最初の報告として桃木教授の報告が行われた。桃木教授は明治以降の近代日本における歴史研究・歴史教育の展開・発展と、それらが現在危機に陥っている諸相を報告した。また、そうした危機の克服を試みる活動の一環として、大阪大学で行われているカリキュラム・授業改革と大阪大学歴史教育研究会の活動とを取り上げた。さらに、大阪大学発の大学・高校双方を繋ぐ世界史教育改革の取り組みを紹介した。このシンポジウムではその他にも韓国や中国、そして高校の現場における世界史教育に関する報告がなされた。

歴史教育について発表する桃木教授
歴史研究について発表する桃木教授

 本学会の最後を締めくくるシンポジウムとして、国内外からの多数の出席者が会場を埋め尽くし、質疑応答では活発な議論が行われた。その中で、一国家・一地域偏重に陥らずに、初等教育から高等教育に至るまでの過程において、世界史教育を如何に構築・実践していくのかが、研究・教育に関わる者にとって共通の重要課題であることが認識された。

 「世界史研究と世界史教育」を共通テーマに掲げて行われた本会議に、世界各国からさまざまな時代や地域を扱う研究者および教育関係者らが参加したことは、世界史像をめぐる分野横断的な議論の必要性が世界規模で共通認識となっていることを表していよう。次回会議は、2012年に韓国・梨花女子大学(ソウル)で開催される予定である。

 なお、会議の開催に当たっては本研究室の院生たちも冨田暁(博士後期課程・特任研究員)の指揮のもと、会議の運営に活躍したことを付言しておく。

 各報告のタイトルは以下の通り

(I.K., N.M., I.Y., T.A., M.M.)


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合同演習入門講座 (09.4.23-5.14)

 本年度も合同演習で、博士後期課程の学生による入門講座が4月23日、5月7日、5月14日の計3回行われた。入門講座とは、東洋史の学生に研究を行う上での基本的事項・知識を紹介する場であると同時に、担当者にとってはそれらを体系的に人に伝えるトレーニングを積む場である。毎年合同演習の初回を飾る名物講座である。

 今年度の題目は以下のとおりである。

 今年度の史学史では、「近代日本」における東洋史学史に重点が置かれ、その成立と展開に関して説明がなされた。工具書・漢籍紹介では、学部生が基本的事項を理解することに重点をおき、文献・史料収集のイロハから、工具書・漢籍の種類・内容にわたる解説が行われた。(T.A.)


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桃木至朗教授著『わかる歴史 面白い歴史 役に立つ歴史』が出版 (09.5)
書影

 桃木至朗教授の新著『わかる歴史 面白い歴史 役に立つ歴史:歴史学と歴史教育の再生をめざして』大阪大学出版会、2009年4月)が出版された。

 桃木教授は大阪大学歴史教育研究会を主宰し、歴史学と歴史研究の見直しや歴史教育における高大連携などの活動に取り組んできた。そして、現在これらの活動は歴史学界や歴史教育の現場に大きな反響を呼び、これに答える動きが各所に広がっている。本書はその成果を踏まえ、副題の通り「歴史学と歴史教育の再生をめざして」出版されたものである。

 本書の前半部では、現在の歴史学の課題と、その解決の方法とが提案され、後半部では東南アジア史を題材として「わかる 面白い 役に立つ」歴史とその教え方・学び方が提示されている。

 様々な「挑戦」に満ちた本書をぜひ手にとってもらいたい。(I.T.)


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春季ソフトボール大会 (09.4.29)

 大型連休の初日に当たる4月29日、猪名川河川敷グラウンドにて文院協主催のソフトボール大会が行われた。昨秋は開催されなかったため、一年ぶりの大会である。なお、今回は東洋史・日本史・日本学・日本語学・哲学の5チーム総当たり形式で行われた。

 我が東洋史は昨春の前回大会まで三連覇を達成して「最強のド素人集団」の名をほしいままにしていたが、昨年度で主力が大幅に抜けたために新戦力を加えた「新生東洋史」として大会に臨んだ。

 初戦の日本史戦は、新チームゆえの緊張からかミスが目立ち、序盤から失点を重ねた。終盤粘りを見せるも、最後は力尽きて7−11(+2)で宿敵に完敗した。しかも二戦目の哲学戦では「黒い快速球投手」と対する羽目に…。ホームランも飛び出し、なんとか粘りの試合運びで接戦に持ち込むも、3−4(+1)で一歩及ばず敗れた。三戦目の日本語学戦はうって変わって序盤から点の取り合いに。ようやく目覚めた東洋史打線が爆発し、18(+1)−6(+2)で打ち勝った。最終戦の日本学戦では、すでに疲労困憊していた東洋史はなすすべもなく、辛くも1−14(+1)で完封負けを免れた。※(各試合スコアの(+)は女性点)

 最終順位は以下の通り。

  1位:哲学 2位:日本史 3位:日本学 4位:東洋史 5位:日本語学

 「新生東洋史」の初陣はなんとも残念な結果に終わったが、まだまだ強くなる可能性を大いに秘めている。秋季大会に向けて練習を積み、再び「最強のド素人集団」を目指して欲しい。(I.K.)

softball

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春の遠足・新入生歓迎コンパ (09.4.16)
「朝日新聞社見学記念新聞」
「朝日新聞社見学記念新聞」
東洋史学研究室の面々が記事に!

 4月16日、東洋史研究室恒例・春の遠足が開催された。

 本年は、朝日新聞社の見学ののち、大阪造幣局の「桜の通り抜け」を訪れた。

 朝日新聞社(大阪本社:大阪市北区中之島)では、数フロアをぶち抜く巨大な新聞印刷ラインや編集局などを、班に分かれて解説を受けながら見学した。2013年に朝日新聞社の新ビルが建築される際には大阪本社から印刷工場は廃されるとのことであり、この度の見学は貴重な体験となった。見学前に撮影された記念写真を大きく載せ我々の見学を伝える「号外」をお土産に一人ずつ頂戴し、次の目的地・造幣局へ移動した。

結ぶ花も艶やかに
結ぶ花も艶やかに

 造幣局(大阪市北区天満)で毎年開催されている「桜の通り抜け」は、造幣局構内の淀川沿い通路約500メートルを、桜を鑑賞しながら一方通行で通り抜けるものである。本研究室の新入生歓迎行事は例年5月中旬に開催されているが、今年度は研究室移転に伴う事情により1ヶ月繰り上げて行われているため、見事な八重桜の鑑賞を遠足に盛り込むことができた。当日の空は快晴とはゆかずに今にも雨が降り出しそうな生憎の曇天であったが、こぼれんばかりに咲き乱れた濃淡様々の桜には一同感嘆し、カメラを構えたり近寄ったりとそれぞれ思い思いに花見を楽しんだ。

 夕方からは北新地の会場で立食パーティーが催され、教員・学生からの歓迎の言葉が新入生に贈られた。今回は全出席者が名札を着用したため、新入生に限らず普段から顔を合わせたり席を共にしたりする機会の少ない学生・OB同士の交流も深まったに違いない。また、新入生自己紹介の場面では思いがけない質問も投げられ、大いに盛り上がった。

 今年度の新入生においては、研究室移転中につき、不便な環境からのスタートとなるが、是非足繁く通って研究室に慣れ親しんでほしい。(N.Y.)


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台湾調査 (09.4.1-4.6)

 4月1日から6日にかけて、徳島大学の荒武達朗准教授が台湾で学術調査を行った。本研究室からは、神野麻衣(博士前期課程2年)と田由甲(博士前期課程2年)の2名が同行した。

 今回の調査では、中央研究院・国立中央図書館台湾分館・国立台湾大学法律曁社会科学院図書分館を利用し、日本統治期の台湾東部における官営移民に関する資料の収集を主に行った。同時に、本研究室の片山剛教授が研究代表者を務める科学研究費補助金の研究課題「1930年代広東省土地調査冊の整理・分析と活用」(基盤研究(A))の一環として、荒武准教授が監訳を行っている單維廉(シュラーマイエル)著・周龍章訳『徳領膠州湾(青島)之地政資料』(中国地政研究所、1980年)に関する資料の収集も行い、充実した調査となった。(J.M.)


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新年度ガイダンス (09.4.3)

 桜が見頃を迎えた4月3日(金)、毎年恒例の東洋史研究室ガイダンスが行われた。本年度は新2回生5名、新マスター4名(うち外部進学者1名)、新ドクター2名(うち社会人ドクター1名)が新たに研究室に加わり、新年度のスタートとなった。ガイダンスでは、本研究室の教育・研究方針、各演習・講義の紹介、研究室使用に関しての諸注意がなされ、新年度を迎える心構えを新たにした。特に今年度の前半期は、文学研究科本館の耐震補強工事にともない研究室が仮に移転したため、仮研究室利用の諸注意が綿密になされた。

 なお今年度は、集中講義を行っていただく非常勤講師として、稲田清一先生(甲南大学・中国近世、近代社会史)と、菅原由美先生(天理大学・東南アジア近代史)をお招きする予定である。(S.S.)


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大阪大学大学院・文学研究科・東洋史学研究室