研究室だより (2009.10.〜2010.3.)
目次

卒業式・学位授与式&研究室追い出しコンパ (10.3.23)

 3月23日、大阪城ホールで大阪大学の卒業式・学位授与式が行われた。本研究室からは3名の卒業生のほか、大谷昇平・田由甲・藤澤聖哉の3名が修士号を、白玉冬が博士号を取得した。なお、田由甲は修士論文「宋元時代における福建地域と王氏家族の盛衰」によって文学研究科賞を受賞した。

 夜には待兼山会館にて「追い出しコンパ」が催された。卒業生・修了生は研究室での思い出や今後の抱負を語った。また、本年度限りで大阪大学を離れることとなった青木敦准教授と大坪慶之(招へい研究員)も、新天地での活躍を誓った。研究室に残る学生や教員からも送辞が述べられ、新たな門出を迎える面々の前途を祝した。(I.K.)


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新見まどか(M1)遼金西夏史研究会大会で研究発表 (10.3.21)
発表中の新見
発表中の新見

 3月21・22日に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所にて開催された第10回遼金西夏史研究会大会で、新見まどか(M1)が研究発表を行った。「唐代の藩鎮間交渉とその背景――成徳節度使を中心として――」と題した新見発表は、来年度執筆予定の修士論文の骨格となるものである。50名以上が参加した会場から次々と質問・コメントがあり、活発な議論が行われた。(I.K.)


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研究室インスペクション(10.3.8-10)

 3月8日から10日にかけて、2年ぶりに恒例のインスペクション(蔵書点検)が行われた。インスペクションとは、東洋史研究室に所蔵される図書の現物と研究室備え付けの図書カードとを対照させ、研究室の財産である図書がきちんと揃っているかどうかを確認する作業である。さらに、この作業を通じて学生が研究室にどのような図書があるのかを知り、学習効果を上げることも目的としている。

読み上げられる本をカードを繰って探す
読み上げられる本をカードを繰って探す

 昨年度は耐震補強工事にともなう引越し作業のためインスペクションは行われず、今回の参加者の大半ははじめてのインスペクションとなった。また、研究室のレイアウトが大きく変わったため、作業の進め方自体を見直す必要もあった。そのため今年度は、今後のインスペクションのノウハウを作り上げることも目的としつつ、手探りの中で作業が開始された。最初は経験豊富な院生が見本を見せつつ作業を行っていたが、そこはさすが阪大東洋史、進行していくうちに新人たちのペースも上がっていった。全員の奮闘により、終わってみれば当初の懸念をよそに目標どおり完遂することができた。

 今年度は研究室の和漢中文書と洋書のみの点検を行い、同時に、2007年度以降に登録されたカードの作成されていない図書のリスト作りも行われた。今回の作業では阪大東洋史の伝統が生き続けていることを確認できたが、来年度以降に向けて新しいインスペクションの形、新しい伝統を作っていく必要があろう。(I.K.)


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伊藤一馬(D1)、ロシア調査 (10.2.19-28)

 2月19日から28日にかけて、伊藤一馬(D1)が荒川慎太郎(東京外国語大学)・佐藤貴保(新潟大学)・赤木崇敏(神戸市外国語大学)氏とともにサンクトペテルブルグのロシア科学アカデミー東方文献研究所にて史料調査を行った。伊藤は、「宋西北辺境軍政文書」を実見した。本文書群は、20世紀初頭にロシアのコズロフ探検隊がエチナ河下流域の黒水城遺址(カラホト)で発見・将来したものであり、一次史料の乏しい宋代史研究においては非常に貴重な史料群であると言える。今後、今回の調査で得られた成果を発表していくことが期待される。(I.K.)


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白玉冬博士論文公開試問 (10.2.16)
試問に臨む白(右)と森安教授(左)
試問に臨む白(右)と森安教授(左)

 2月16日に大阪大学文学研究科棟2階大会議室において、白玉冬の博士論文「8〜10世紀における三十姓タタル=室韋史研究――モンゴル民族勃興前史として――」の公開試問が行われた。試問は、申請者の論文概要の報告から始まり、主査の森安孝夫教授、副査の荒川正晴・桃木至朗両教授、最後にフロアからの質疑応答が行われた。当日は遠方からの出席者も多く、予定時間を30分超過するほど白熱した議論が交わされた。(S.S.)


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栄新江教授、文書ゼミに参加 (10.1.23)
コメントをする栄新江教授
コメントをする栄新江教授(左より2人目)

 1月23日に行われた西域出土漢文文書ゼミに、北京大学の栄新江教授が参加された。

 栄新江教授は中国唐代史・内陸アジア史・敦煌学を専門にされ、常に最先端の研究を行っている世界的研究者である。

 今回のゼミではP. 2992v(2)文書を取り上げ、曹氏帰義軍節度使政権や甘州ウイグルと中原王朝とのあいだで朔方節度使が果たした役割や、本文書の性格について活発な議論が交わされた。

 参加した学生は栄新江教授の該博な知識に触れ、大いに刺激を受けたことであろう。(N.M.)


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研究室紹介 (09.12.25)

 『東方学会報』第97号に、「研究室便り・第71回 大阪大学大学院文学研究科におけるアジア研究」が掲載された。この紹介記事では本学文学研究科の東洋史学・中国哲学・中国文学・インド哲学の4研究室が紹介されている。東洋史学研究室については、森安教授の執筆により、創立以来の研究室の体制の変遷や、近年の世界史教育に対する取り組みについて述べられている。「阪大東洋史」の歴史の約半分を体験した森安教授の文章からは、研究室の歴史の重みが感じられる。当HPの「研究室の歴史」もあわせて参照されたい。(I.K.)


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『モンゴル国現存遺蹟・碑文調査研究報告』 大阪大学学術情報庫(OUKA)掲載 (09.12.18)

 森安孝夫・A. オチル(共編)『モンゴル国現存遺蹟・碑文調査研究報告』(1999年発行)が、大阪大学学術情報庫OUKA(桜華)で公開されることになった。

 本書は、森安孝夫教授が研究代表者となり、1996年度から1998年度にかけて日本とモンゴル国の共同で実施された、突厥・ウイグル・モンゴル帝国時代の碑文および遺蹟に関する歴史学・文献学的調査プロジェクトの報告書である。

この調査プロジェクトは「ビチェース」と名付けられ、モンゴル国内における古代遊牧民に関係する遺蹟・碑文が建造された歴史背景や自然環境を探索することによって、ユーラシアの草原世界を中心に活躍した遊牧民の歴史を再構築するために実施されたものである。

 本書には、行動記録、碑文等のテキストと訳注、各遺蹟・碑文についての文献リストや研究史、計測値やスケッチなどが多数採録されており、多方面にわたり学問的な影響を及ぼしている。

 この度、本書が電子化(PDFファイル化)され、広く世界からアクセスが可能になったことで、斯学にいっそう裨益することを切に望む次第である。(S.K.)


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OUKA(桜華)にCOE報告書掲載 (09.11.20)

 大阪大学学術情報庫 OUKA(桜華)に大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」報告書が掲載された。2002−2003年度報告書である『シルクロードと世界史』(森安孝夫・坂尻彰宏(共編))、2004−2006年度報告書である『世界システムと海域アジア交通』(桃木至朗(編))もそれぞれアップロードされている。両報告書は最新の歴史学の成果のみならず、本COEプログラムの一環として開催された全国高等学校歴史教員研修会など、歴史学の見直しや歴史教育における高大連携という試みにも関する内容であり、森安・桃木両教授をはじめとして東洋史研究室の関係者が多く執筆している。非売品であるため、非常に有意義な内容であるにも関わらず入手は困難であったが、それも解消されることであろう。学界に裨益せんことを願うばかりである。(I.K.)


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秋季ソフトボール大会 (09.11.4)

 寒さも増し冬の足音が聞こえ始めた11月4日、猪名川河川敷グラウンドにて毎年恒例のソフトボール大会が開催された。今大会は、東洋史のほか、日本史・日本学・哲学・倫理学が参戦し、5チームによる総当たり戦で優勝が争われた。

 初戦の相手は日本学。序盤から失点を重ねて、4−6の6点ビハインドで最終回を迎える。ここで驚異の粘りを見せ、3点を返しなおも二死満塁の大チャンスをつくるも最後の打者が打ち取られゲームセット、7−10で初戦を落とした。二戦目は因縁の日本史戦。初回に4点を先制するも、その裏になんと打者三巡の猛攻撃を受け16失点…二回以降は持ちこたえ、打線も奮起したものの初回の失点があまりにも重くのしかかり10−22で惨敗を喫した。三戦目は倫理学戦。序盤から一進一退の打撃戦となり、9−8の1点リードで最終回へ。ここでなんと連打を浴び同点とされ、さらに一死満塁のサヨナラのピンチ。バッターボックスにはN教授という場面で、打球はなんと三塁線に力なく転がるボテボテのゴロ…これが内野安打となり9−10のサヨナラ負け。あまりにもあっけない幕切れであった。最終戦は春の覇者・哲学戦。序盤は制球に苦しむ相手投手を攻め得点を重ねるが、東洋史に疲れの見え始めた中盤からは徐々に相手ペースに。その後逆転を許すとあっさりと突き放され、結局5−11で押し切られ、1勝も挙げることなく4戦全敗で大会を終えた。なお大会結果は以下の通り。

試合終了後、記念撮影
試合終了後、記念撮影

 1位:日本学 2位:倫理学 3位:日本史 4位:哲学 5位:東洋史

 近年「高齢化」が囁かれ、世代交代の必要性が叫ばれ続けている東洋史。3連覇を達成した黄金時代が遠い昔のようにも感じられるが、今大会では若手台頭の兆しも見え始めた。今大会で得られた収穫と課題を糧とし、某球団のようにベテランと若手がうまく融合すれば、近い将来再び東洋史黄金時代を築くことができるかもしれない、いや築いていって欲しい!(I.K.)


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森安教授、東洋史研究会大会で研究発表 (09.11.3)

 11月3日の文化の日に,京都大学において恒例の東洋史研究会大会が開催され,森安孝夫教授が「中央アジア出土古ウイグル手紙文書の書式研究・序説」と題して研究発表を行った。発表ではウイグル文手紙文書の構成や定型語句について整理され,手紙書式を手がかりにした中央アジアの文化交流史研究への見通しが示された。当日は冬を先取りしたような寒さの中,多くの聴衆が集まり,盛況を博した。(S.S.)


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神野麻衣(M2) 台湾留学 (09.10)
台湾師範大学
台湾師範大学(神野撮影)

 当研究室所属の神野麻衣(M2)が台湾留学へ出発してから1ヶ月が経過した。

 神野は,台湾師範大学(国語教学中心)において1年間かけて中国語の修練を積むことになっている。留学先では台湾語の講習なども開かれているようで,非常に興味深い。台湾近現代史を専門領域とする神野にとって台湾はまさに貴重な現地調査の場であり,史料収集にも意欲を示している。帰国は2010年8月の予定。(写真:台湾師範大学)

 なお,現在当研究室からは神野を含め4名が留学生として海外で学んでいる。(オーストラリア1名,浙江大学1名,台湾師範大学1名,チュラロンコン大1名)(N.Y.)


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大阪大学大学院・文学研究科・東洋史学研究室