研究室だより (2010.10.〜2011.3.)
目次

桃木至朗教授、著書出版(2011.02.28)
表紙写真

 桃木至朗教授の『中世大越国家の成立と変容』(大阪大学出版会、2011年2月)が出版された。

 本書のおもな研究対象は李朝(1009-1226)・陳朝(1226-1400)期の北部ベトナムであり、第一部では農業社会の経済構造、国際環境と対外関係、第二部では中央と地方の政治史を扱っている。桃木教授のこれまでの研究成果をまとめたうえで、高麗・日本との比較などの提言も多数盛り込んだ著作であり、東洋史学、とりわけベトナム史研究を志す学生にとっては必読の書であろう。(Y.K.)

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坂尻助教・齊藤茂雄(D4)・伊藤一馬(D2)、ロシア調査(2011.02.6-21)
凍てつくネヴァ河とオーロラ号(齊藤撮影)
凍てつくネヴァ河とオーロラ号(齊藤撮影)

 2月6日から2月14日の先発隊と2月13日から21日の後発隊に分かれ、本研究室の齊藤茂雄(博士後期課程、先発隊)、坂尻彰宏(助教、後発隊)・伊藤一馬(博士後期課程、同)が、サンクトペテルブルクのロシア科学アカデミー東方文献研究所にて資料調査を行った。齊藤は松井太(弘前大学)、荒川慎太郎(東京外国語大学)、佐藤貴保(新潟大学)各氏と、坂尻・伊藤は、赤木崇敏(神戸市外国語大学)・岩本篤志(新潟大学)両氏および先発隊から引き続き調査を継続した佐藤貴保氏と同行した。齊藤は突厥碑文の拓本を、坂尻は敦煌文献を、伊藤はカラホト文献をそれぞれ実見した。先発隊滞在中の初めの数日は気温が0度前後まで上がることがあったものの、それ以降は常にマイナス15度を下回るという極寒の中であったが、各自希望した資料を実見することができ、有意義な調査となった。(S.S./I.K.)

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坂尻助教、敦煌石窟調査に参加(2010.12.22-31)
雪中の敦煌莫高窟九層楼(坂尻撮影)
雪中の敦煌莫高窟九層楼(坂尻撮影)

 坂尻彰宏助教は、敦煌莫高窟、楡林窟の銘文・図像調査隊に参加した。 隊には、松井太(弘前大)、荒川慎太郎(東京外大)、佐藤貴保(新潟大)、岩尾一史(神戸市外大)、赤木崇敏(神戸市外大)、白玉冬(内蒙古大)の諸氏も加わり、胡語銘文(ウイグル語、モンゴル語、西夏語、チベット語)や供養人像の調査を精力的に行った。作業中には厳しい寒さや積雪に見舞われたが、全員の協力によって無事に大きな成果をあげることができた。

 なお、本調査は、荒川正晴教授を代表とする科研調査「シルクロード東部の文字資料と遺跡の調査:新たな歴史像と出土史料学の構築に向けて」(2010年度〜2013年度)の一環である。(S.A.)

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上田新也(学振研究員)、ベトナム調査(2011.1.3-19)
嘉隆10年(1811)の土地売買文書
嘉隆10年(1811)の土地売買文書。
今回の調査で収集した史料では一番古い。

 上田新也(学振研究員)は、1月3日から19日にかけて、ベトナム・フエおよびハノイにおいて史料調査をおこなった。今回の調査では、フエ付近の農村に残る家譜を収集するとともに、ハノイの第一国家公文書館にては、地簿などの土地関係文書を中心に調査した。得るところも多く有意義な調査であったが、困難も多く、結果的に3kgの減量に成功した。(U.S.)

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森安教授・桃木教授、内陸アジア史学会で講演(2010.11.13)
森安教授 桃木教授

 11月13日に開催された内陸アジア史学会50周年記念シンポジウム「内陸アジア史研究の課題と展望」(於早稲田大学)において、森安教授が「モンゴル時代までの東部内陸アジア史:実証研究から世界史教育の現場へ」と題して基調講演を行った。また桃木教授が同シンポジウムの総合コメンテーターとして参加した。会場には例年を上まわる多数の聴衆がつめかけ、熱気あふれる盛会となった。

 なお、森安教授の講演内容は、来年刊行の『内陸アジア史研究』第26号に掲載される予定である。(A.T.)

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秋季ソフトボール大会(2010.11.3)
雪辱を誓う!!
雪辱を誓う集合写真

 肌寒い秋晴れの中、猪名川河川敷運動場にて恒例の文院協主催のソフトボール大会が行われた。今季も春季に続き東洋史、日本史、日本学、哲学、文学・語学連合の5チーム総当りにより優勝が争われた。

 東洋史の試合結果は以下の通り。(+数字は女性点)

 優勝:日本史/2位:哲学/3位:日本学/4位:文学・語学連合/5位:東洋史

 東洋史は4戦全敗で最下位に沈んだ。勝利を目前にしながら2試合連続でサヨナラ負けを喫するなど、非常に悔しい結果に終わってしまった。この悔しさを糧に、チーム一丸となって来季は雪辱を果たして欲しい!(I.K.)

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田由甲(D1)・山本一(D3)、上海交通大学との研究交流セミナーにて研究報告(2010.10.22-23)
報告に臨む田由甲
報告に臨む山本一
発表に臨む田由甲(上)と山本一(下)

 本研究室の田由甲(D1)と山本一(D3)が、上海交通大学で開かれた研究交流セミナーにおいて研究報告を行った。本セミナーは、上海交通大学と大阪大学との間で、主に理系の分野で1996年より毎年行われていたものであり、上海交通大学歴史系と本研究室の間での研究交流セミナーは、去年に続いて2回目である。

 田と山本はそれぞれ中国語で報告を行い、上海交通大学の先生方や大学院生と活発な議論が交わされた。両者の報告とも中国の現地調査に基づき新資料を用いた新鮮なテーマであり、上海交通大学歴史系の参加者からも高く評価された。

 それぞれの報告題目は以下の通りである。

 なお両者の報告とも、本年度開始の「多言語多文化研究に向けた複合型派遣プログラム」(略称:OVCプログラム)による中国調査を踏まえたものである。海外で調査を行い、その成果を日本国内のみならず国外へ外国語で発信するというOVCプログラムの目的に合致した報告であったといえよう。(H.Y.)

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大阪大学大学院・文学研究科・東洋史学研究室