研究室だより (2011.4.〜9.)
目次

海外調査、2011年夏(2011.7月-9月)

 今夏も、本研究室所属の教員・学生による積極的な海外調査がおこなわれた。各々の概要は以下の通りである。なお、そのうち赤木・伊藤・西田の三名がOVCプログラム(「多言語多文化研究に向けた複合型派遣プログラム」)を利用した。(Y.K.)

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齊藤茂雄(博士後期課程)、国際学会にて研究発表(2011.8.15-19)

 博士後期課程の齊藤茂雄は、8月15〜19日にモンゴル国のウランバートルで開催された国際学会、International Conference on Stages of Development of Turkic Culture: The Beginnings and the Era of Inscriptionsに参加し、"A Report on the Rubbings of the Orkhon Inscriptions belonging to the Institute of Oriental Manuscripts in St. Petersburg"と題する発表を行った。学会は15、16日の2日間にわたって行われ、歴史・考古・言語・美術などの各分野で議論が白熱した。さらに、17〜19日にはエクスカーションが設けられ、カラ=バルガスン遺跡やホショー=ツァイダム遺跡を含むオルホン渓谷を訪れた。(S.S.)

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田由甲(博士後期課程)、明清史夏合宿にて研究発表(2011.8.10-12)
研究発表をおこなう田
研究発表をおこなう田

 8月10〜12日に京都で開催された明清史夏合宿において、本研究室の田由甲(D2、日本学術振興会特別研究員)が「明清時期、福建沿海地域における「境」」と題する研究報告をおこなった。

 田はこれまでに、福建の地方史料にみえる「境」という地縁単位を切り口として、フィールドワークもおこないつつ、福建沿海地域における基層社会のあり方を分析してきた。
本報告において田は、都市部の事例と農村部の事例を比較しつつ、江南などとは異なる福建独自の社会構造のモデルを提示した。(Y.K.)

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西田祐子(博士後期課程)、野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会)にて研究発表(2011.7.16)

 7月16日から18日にかけて第48回野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会)が野尻湖畔の藤屋旅館で開催され、初日の16日にD1の西田祐子が「唐の第三次阿史那賀魯征討と西突厥の牙庭について――『新唐書』記事の基礎的分析を手がかりに――」と題する研究発表を行った。本発表は、『新唐書』阿史那賀魯征討関連記事の原史料の徹底的な調査に基づき、それらを比較・検証して征討軍の進軍路に見える地名を比定し直すことで、阿史那賀魯時代すなわち西突厥末期の根拠地の場所の再検討を迫るものであった。(I.K.)

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桃木教授、世界史学会にてコメント(2011.7.8-10)

 2011年7月8〜10日に、世界史学会(20th Annual World History Association Conference)が北京で開催された。本研究室からは桃木至朗教授と吉川和希(M2)が、"Reconsidering "Early Age of Commerce" in wider regional and historical context"と題するパネルにおいて、それぞれコメントと資料提供をおこなった。

 本パネルは、向正樹氏(本学招聘研究員)がオーガナイザーを務め、ジェフ・ウェイド氏(Institute of Southeast Asian Studies, National University of Singapore)によって提唱された東南アジアにおける10〜13世紀の「初期交易の時代」をより広い時間と空間の中で捉えなおす主旨のものである。その中で、桃木教授は交易と農業社会との相互作用の重要性などを指摘し、吉川は"An overview of the controversy over 'An early age of commerce in Southeast Asia'"と題して議論の前提となる情報を参考資料として提供した。(Y.K.)

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岡田、日本医史学会研究大会にて報告(2011.6.12)

 本研究室の博士後期課程の岡田雅志が、去る6月12日に順天堂大学(東京、本郷キャンパス)で開催された第112回日本医史学会研究大会において、「18-19世紀ベトナム産肉桂の流通からみた東アジアの生薬交易」と題する研究発表を行った。本発表は、本学コミュニケーションデザイン・センター特任講師内野花氏(東アジア伝統医薬学史)との共同発表である。

 これまで肉桂(シナモン)は、大航海時代のスパイス交易で注目されることが多かったが、実際には、近世東アジアの生薬交易においても重要な位置を占めていた商品である。発表では、日本へのベトナム産肉桂の流入を取り上げて、当時の肉桂流通の概況とともに、その背景に、当時の疾病・気候環境、さらにベトナム及び日本の政治・経済状況などの諸変化があることを明らかにした。(O.M.)

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桃木教授、東南アジア学会にて報告(2011.6.11-12)

 6月11・12日に北海道大学でおこなわれた東南アジア学会第85回研究大会において、桃木至朗教授らが中心となって企画した「北海道でどのように東南アジアを教えるか/学ぶか」という表題のパネル・ディスカッションが開催された。

 桃木教授が高大連携による東南アジア教育の改善に関する取り組みをもとにして東南アジア学会でのパネル・ディスカッションの開催に携わるのは、第79回研究大会(2008年6月)、第83回研究大会(2010年6月)に続いて三度目である。

 今回桃木教授は、冒頭で問題提起と趣旨説明をおこなった後、「日本列島北方史と東南アジア史を比較する歴史教育の試み」と題して吉嶺茂樹氏(札幌北高等学校教諭・北海道大学非常勤講師)との共同報告をおこなった。(Y.K.)

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冨田、国際東方学者会議にて研究発表(2011.5.20)

 本研究室の博士後期課程所属の冨田暁が、去る5月20日に東京の日本教育会館で開催された、第56回国際東方学者会議のシンポジウム1「東南アジア港市国家論」において研究発表を行った。
発表タイトルは以下のとおりである。"West Borneo in the "Age of Development" and Its Port States: The Founding of Pontianak and Maritime Southeast Asia in the Late Early Modern Era"

 発表者にとっては初めての英語発表であり悪戦苦闘を重ねたが、シンポジウムは参加者の熱気と議論によって活気に満ちたものとなった。

 また、翌日5月21日には立教大学池袋キャンパス太刀川記念館において、シンポジウム「アジア海域世界の港市国家」が開催され、「「開発の時代」の西ボルネオと港市国家:ポンティアナックの成立と近世後期東南アジア海域世界」というタイトルで発表を行った。 (T. A.)

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新入生歓迎遠足・コンパ(2011.5.19)

 5月19日、東洋史研究室恒例の新入生歓迎遠足が行われた。

2011年度遠足集合写真
国宝 唐門の前で集合写真

 本年は京都を訪れ、龍谷大学の入澤崇教授と西本願寺のご厚意により、本来非公開である西本願寺飛雲閣(国宝)を特別に拝観させて頂いた。また、4月にオープンしたばかりの龍谷ミュージアムのガンダーラ関係資料・ベゼクリク石窟寺院復元図などを、入澤教授の解説とともに見学させて頂いた。その後、特別展「釈尊と親鸞」を見学した。

 遠足の後は恒例の新入生歓迎コンパが梅田で開催され、新入学部生・新PDに向けて教員や学生代表から歓迎の言葉が贈られた。新入学部生・新PDの自己紹介の場面では、おのおのが個性的な自己紹介をし、会場は大いに盛り上がった。(M.C.)

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春季ソフトボール大会(2011.5.5)

 GW最終日、猪名川河川敷運動場にて恒例のソフトボール大会が開催された。4月までの肌寒さとは打って変わった強い日差しのもと、6チームにより優勝が争われた。

2011年度春期ソフトボール大会集合写真
2011年度春期ソフトボール大会集合写真

 大会の結果は以下の通り。(+数字は女性点)

・第1試合(対文学・語学連合):○14対2(+2)(初回に一挙7点を奪う。守っても投手を中心に堅い守りで反撃を抑え、新主将T(M1)の初陣を勝利で飾る)
・第2試合(対哲学):●4対5(初回に敵投手の彗星1号から3点を奪いKOするも、リリーフの彗星2号に1点に抑えられる。最後はプッシュバント(!)に屈し、無念の逆転負け)
・3位決定戦(対日本学):○12対0(+2)(打っては3HR、守っては強打の日本学打線を完封リレー。投打が見事にかみ合う)

優勝:日本史(秋春連覇)/2位:哲学/3位:東洋史/4位:日本学/5位:文学・語学連合/6位:西洋史・英文連合

 東洋史は3位決定戦に勝利し、久々の入賞を果たした。決勝は大接戦の末に日本史がサヨナラ勝ちを収め、春秋連覇を達成した。

 今季は打線も好調で、守備も無駄なエラーは無かった。さらに投手陣は3試合で7失点と好投が光った。哲学には惜敗したものの、上位3チームの力量は伯仲している。東洋史の王座奪還の日は近い!(I.K.)

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卒業論文中間報告(2011.4.29)

 4月29日、恒例の卒論大会(第二回卒業論文中間報告)が行われた。今回発表したのは中国史分野の四回生4人である。

 いずれも、学部二回生から大学院生、教員にいたるたくさんの参加者から、語句説明、論理展開など様々な質問・コメントが寄せられた。

 題目は以下の通り。

 発表者は、今回の発表で得られたアドバイス、問題点を参考に、これからの卒業論文に向かって雄飛していってほしい。

 なお、卒論大会の後、来たるソフトボール大会(5/5)に向けての練習が行われた。(A.R.)

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新年度ガイダンス(2011.4.4)

 4月4日、毎年恒例の東洋史研究室ガイダンスがおこなわれた。本年度は、新2年生の6名と、日本学術振興会特別研究員PDの岡田友和(仏領インドシナ史)と宮内肇(中国民国史)2名が研究室の一員に新たに加わったほか、博士前期課程に3名、後期課程に4名が進学した。

 なお、本年度は非常勤講師として、田口宏二朗(追手門学院大学・中国近世史)先生には前期に漢文演習を、岡本隆司(京都府立大学・中国近代史)先生には前期に講義を、内野花(本学CSCD特任講師・中国伝統医学史)先生には後期に講義を、向正樹(本学招聘研究員・モンゴル時代史)先生には通年で英語演習を、それぞれお願いしている。(Y.K.)

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大阪大学大学院・文学研究科・東洋史学研究室