研究室だより (2012.4.〜9.)
目次

荒川教授海外調査(2012.9.4-10)
トクスンオアシスの古城址を調査中の荒川教授(右)と白玉冬氏(左)。(中国新疆ウイグル自治区托克遜県・2012年9月7日・石川禎仁撮影)
トクスンオアシスの古城址を調査中の荒川教授(右)と白玉冬氏(左)。
(中国新疆ウイグル自治区托克遜県・2012年9月7日・石川禎仁撮影)

 9月4日から10日にかけて、荒川正晴教授がトゥルファンにおいて現地調査を行い、白玉冬氏(2009年度博士後期課程修了、現・内蒙古大学蒙古学学院講師)と石川禎仁(博士後期課程)が参加した。

 本調査では、トゥルファン盆地のピチャン・トクスンオアシスにおいて、墳墓や城郭都市遺跡を踏査したほか、トゥルファン博物館所蔵の文書および文物の実見調査を行った。(I.Y.)

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片山教授台湾調査(2012.8.28-9.11)

 8月28日から9月11日の約2週間、台湾の國史館において本研究室の片山剛教授が史料調査を実施し、本研究室・田口宏二朗准教授、三重大学・大坪慶之准教授(本研究室OB)、山本一(特任研究員)、下岸廉(学部3回生)等が参加した。

 この調査は2011年に採択された科学研究費補助金(基盤研究A)「中国における土地領有の慣習的構造と土地制度近代化の試み」の一環として行われたもので、今回の調査で対象とした史料は、民国時期の南京市街地における土地一筆ごとの戸地図及び土地所有権等の登記の際に所管機関に提出された詳細な文書等である。

 次年度以降もこの史料群の調査を継続する予定である。また、今年度中に南京市及び広東省でも史料調査と農村実地調査を行うことになっている。

 なお片山教授は、台湾の東華大学で開催された「第6回現代中国社会変動と東アジアの新環境」国際学術シンポジウム(8.21-8.23)にも参加し、「開荒,環境保護,地主和農民」(中国語)と題する報告を行った。また、9月9日から9月19日の11日間、文学研究科「多言語多文化研究に向けた複合的派遣プログラム」の横断的研究視察(台北スタディ・ツアー)において、文学部・文学研究科の学生6名を引率し、台北の中央研究院・故宮博物院などの研究機関・資料収蔵機関で資料調査を指導した。本研究室からも田由甲(博士後期課程院生)、多賀良寛(博士前期課程院生)が本ツアーに参加した。(S.R.)

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海外調査、2012年夏(2012.7月-9月)

 この夏も、本研究室所属のメンバーが、大阪大学文学研究科(「多言語多文化研究に向けた複合型派遣プログラム」(OVCプログラム)の一環として、海外調査を行った。(M.N.)

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荒川正晴教授 シルクロード・天山を駆ける(12.8.12-20)
大ユルドゥズ草原
大ユルドゥズ草原(赤木崇敏撮影)

 8月12日から20日にかけて、本研究室の荒川正晴教授が代表をつとめる科研費研究(基盤研究A)「シルクロード東部の文字資料と遺跡の調査」による現地調査が実施された。2010年度に開始された本プロジェクトも三年目を迎え、今回の調査地は中華人民共和国新疆ウイグル自治区のユルドゥズ草原とその周辺オアシスが選定された。

 調査には、本学の高橋照彦准教授(考古学講座)と坂尻彰宏准教授(教育推進機構)、赤木崇敏助教、弘前大学の松井太教授、内蒙古大学の白玉冬講師に加え、鈴木宏節(招聘研究員)、齊藤茂雄(甲南大学非常勤講師)、西田祐子(学振DC2)、木嶋咲子(学部生)も参加し、総勢10名の調査隊が編成された。

 旅程としては、まず北京経由でウイグル自治区の首府ウルムチ(烏魯木斉)入りした後、天山山脈を縦断、トクスン県を経由して和静県に到着。そこから再び天山山中に入り、ユルドゥズ河の源流であるバインブラク(巴音布魯克)に長駆した。帰路は、ボスタン湖にのぞむオアシスである焉耆にも立ち寄り、再度天山を縦断してウルムチまで帰投した。

 ユーラシア大陸の中央部、天山山脈山中に所在するバインブラク草原は標高2500メートルを越え、その南麓のオアシス焉耆も約1200メートルに位置する。15日と17日に通過した天山のチャガンノール(察漢努尓/標高3000メートル)峠は、気温16度、湿度20%であり、これは単純に大阪の1/2、1/4である。またムスリムの断食が明ける19日に通過したトゥルファン盆地西部、トクスン県の日中気温は42度に達した。一行は天山山脈に育まれた草原世界とともに、山麓のオアシス都市をつぶさに観察することになった。(S.K.)

天山山中のオボー
天山山中のオボー(木嶋咲子撮影)
草原を疾駆する牧民
草原を疾駆する牧民(木嶋咲子撮影)
九曲十八弯
九曲十八弯(鈴木宏節撮影)
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石川禎仁(博士後期課程)・旗手瞳(博士後期課程・学術振興会特別研究員DC2)、野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会)にて研究発表(2012.7.16)
発表中の旗手
発表中の旗手

 7月14日から16日にかけて、長野県の野尻湖湖畔の藤屋旅館において、第49回野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会)が開催され、最終日の16日に、石川禎仁(D2)が「10世紀・敦煌オアシスの農地と人びと ──敦煌文献にみえる索氏一族の活動を手がかりに──」、また旗手瞳(D2)が「吐谷渾からアシャ国('A zha yul)へ ──7〜9世紀の青海省東北地域──」と題して研究発表をおこなった。

旅館から望む野尻湖 発表中の石川
旅館から望む野尻湖 / 発表中の石川
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上田新也(日本学術振興会特別研究員(PD))、元廣ちひろ(博士前期課程)、東南アジア学会にてパネル報告(2012.6.3)

 6月3日(日)、京都文教大学にて第87回東南アジア学会が開催され、パネル「ベトナム中・南部集落の形成と歴史的展開:フエ都城北郊域とドンタップムオイ開拓村域の比較から」において、本研究室の上田新也(学振PD)と元廣ちひろ(M2)が「村落文書よりみた阮朝期フエ北郊の村落社会」と題する共同報告を行った。

 本報告では、フエ北郊の各村落の保存文書や聞き取り調査に基づき、19世紀のフエ周辺域の社会状況を地縁集団や血縁集団の形成、集落と国家の関係などに焦点を当てつつ具体的に明らかにするものであった。(U.S.)

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多賀良ェ(博士前期課程)、東南アジア学会関東例会にて発表(2012.5.26)

 2012年5月26日、東京外国語大学・本郷サテライトキャンパスにて東南アジア学会関東例会が開催され、本研究室の多賀良寛(M2)が発表を行った。例会はシンポジウム形式で行われ、ベトナムとビルマの具体的事例が紹介された後、インド貨幣史の専門家がそれにコメントを加えた。

 発表者はベトナム貨幣史の立場から、「19世紀ベトナムにおける銀流通の構造と変容−阮朝の成立からピアストル本位制の確立まで」という表題で報告を行い、19世紀のベトナムで流通していた多様な銀貨幣の共存関係と、19世紀後半の植民地化による在来貨幣流通の変容過程を明らかにした。また比較を通してベトナムとビルマとの共通点が予想以上に浮かび上がり、非常に収穫の多いシンポジウムとなった。(T.Y.)

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合同演習入門講座(2012.4.12-5.17)

 合同演習が始まり、恒例の「入門講座」が4回にわたって開催された。

 この入門講座は、歴史学の流れや漢籍・工具書の特徴など、研究に際しての基本的な事項・知識、そして卒業論文作成法を学部院生に紹介するものである。

 今年度は、下記の様な構成で開催された。

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新入生歓迎遠足・コンパ(2012.5.10)

 5月10日、毎年恒例の新入生歓迎遠足が行われた。

 今年は大阪市立美術館にて開催中の特別展「草原の王朝 契丹」を見学した。契丹の皇女のためのものとされる豪華絢爛な「彩色木棺」、黄金・銀・琥珀などで出来た副葬品の数々は、往時の契丹の繁栄を十全にしのばせるものであった。

 その後、天王寺動物園に移動し、一同思い思いに動物達との触れ合いを楽しんだ。澄みきった晴天の下、愛らしい動物達に囲まれ、心癒された者も多かったのではなかろうか。

 遠足の後、梅田にて新入生歓迎コンパが行われた。自己紹介の場面では、新入生、新マスター生、そして新しく着任された田口先生に対し学生から多数の質問が飛び交った。合同演習を髣髴とさせる怒涛の質問攻めに対し、初めは固い面持ちであった新入生達も、次第に積極的に切り返しを行うようになり、会場は大いに盛り上がった。(A.R.)


春季ソフトボール大会(2012.5.4)
集合写真
集合写真

 さる5月4日、猪名川河川敷のグラウンドにて文学部対抗の春季ソフトボール大会が開催された。大会当日は強い日差しが射すかと思えば、霧雨と強風が吹きすさぶという天候不順に見舞われたが、それをものともしない6チームによる熱戦が繰り広げられた。

 大会の結果は以下の通り。

 東洋史は予選リーグで強敵と目されていた2チームに勝利して勢いに乗るも、決勝戦で去年の秋には勝つことができた西洋史に敗れ、2位に終わった。

 今大会では上位打線だけでなく下位打線も安定してヒットを出すことができ、そのことが予選リーグでの理想的な試合展開を生み出した。しかし、試合形式での練習不足からか、諸所で守備のミスが見られたことが惜しまれる。そうした反省点を基に臥薪嘗胆の日々を送ることで、秋季大会では優勝杯を奪還したい。(M.N.)

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新年度ガイダンス(2012.4.5)

 4月5日(木)、毎年恒例の東洋史研究室ガイダンスがおこなわれた。本年度は田口宏二朗准教授(中国近世史)と新2回生の8名が新たに研究室の一員として加わり、外部から博士前期課程に1名、内部から前期課程に1名、後期課程に1名が進学した。ガイダンスでは、本研究室の教育・研究の方針や各演習・講義の説明、研究室利用上の諸注意と、新たに加入した学生の自己紹介が行われた。

 なお、本年度は非常勤講師として、森安孝夫先生(近畿大学・中央アジア史)と河上麻由子先生(日本学術振興会)には前期に講義を、岡田友和先生(CSCD所属・仏領インドシナ史)には前期にフランス語演習を、それぞれお願いしている。(M.N.)

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大阪大学大学院・文学研究科・東洋史学研究室